虫が大嫌いな母VS虫にハマる息子!ひと夏の経験で訪れた変化とは
小さなころから虫が大の苦手だった私。そんな私に、「息子が昆虫にハマる」というもっとも恐れていた事態がやってきました。好きなことはとことんハマってほしいと思う親心と、嫌いなものは嫌いという私自身の気持ち。いくら親であっても、子どもの興味や行動に制限をかけてよいものかと葛藤しながら過ごしたこの夏。そこで得た思いもよらぬ成長と変化とは…。
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小さなころから虫が大の苦手だった私。そんな私に、「息子が昆虫にハマる」というもっとも恐れていた事態がやってきました。
好きなことはとことんハマってほしいと思う親心と、嫌いなものは嫌いという私自身の気持ち。
いくら親であっても、子どもの興味や行動に制限をかけてよいものかと葛藤しながら過ごしたこの夏。そこで得た思いもよらぬ成長と変化とは…。
子どもの意思をひとりの人間としてきちんと尊重しなければならないなと思わせてくれた経験を紹介します。
蚊も殺せなかったほどの筋金入りの虫嫌い
私は、子どもが生まれて、やっと素手で蚊を退治できるようになりましたが、昔から小さな虫はもちろん大きな虫は見るだけでも失神しそうなほど苦手でした。
息子が産まれてからずっと、「この子が大の昆虫好きになったらどうしよう」と漠然とした不安を抱えていました。
その一方で、「虫を嫌がる私を見て虫嫌いの男の子になったらどうしようと」いう矛盾した不安も。
そして幼稚園の年中になった今年の春、近所のおじいさんに虫かごをもらったのをきっかけに、突然その日はやってきました。
息子はダンゴムシ、テントウムシ、青虫、チョウなどを捕まえることにどんどん夢中になり、ついに「持って帰る!家で飼う!」と言い出したのです。
昆虫で深まった父と息子の絆
当初、私は「虫を飼うのはイヤだ」と主張。しかし、夫は、「生き物を飼うことも大事な勉強になるし、本人も望んでいるのにその機会を奪うのか」とケンカに。
そこで、私は一切関与せず、夫と息子が一緒に世話をするという条件で、渋々、玄関の外で虫を飼うのをOKしました。
すると、今までママべったりだった息子に変化が。昆虫担当のパパと2人で早起きをしてお世話をするようになり、父子の絆がぐーーっと深まったのです。
夜中のカブトムシ狩りにも挑戦!
そして夏休みのある日、暗いのが苦手でママべったりで甘えん坊の息子が、パパと2人だけで夜中のカブトムシ狩りにいくことに!
行く直前までは、「やっぱり行かない」「ママも一緒に来て」「車で待ってるから、パパが取ってきて」と葛藤を繰り返していましたが、最後は自分で行く!と決めて出発しました。
途中で泣かないかな、眠くなってぐずらないかな…と心配は尽きず、夫からのLINEでの報告を頼りに、眠れずに帰りを待ちました。
なんと帰ってきたのは夜中の2時! 何よりも驚いたのが、息子が目をキラキラと輝かせしっかりと起きて帰ってきたこと。
興奮冷めやらぬまま、今日起きたことを一生懸命話しながら寝入った姿を見て、私が昆虫を飼うことをダメと言っていたら、この子のこんな姿は見られなかったのだなとしみじみ。
イヤイヤながらも、息子の好きなことをやらせてあげてよかったなと、心から思った瞬間でした。
それでも私は虫が嫌い。でもうれしいことも!
息子には、正直に私は虫が苦手なことを伝えたうえで、息子の好きという気持ちを尊重するように心がけました。
息子も私は虫が苦手なことは理解し、
「家の中には絶対入れない」
「責任をもってお世話をして、死んでしまったとしてもその後まできちんと処理する」
「虫を触った後は手を洗う」
と決めたルールをきちんと守ってくれています。
このひと夏でセミを素手で捕まえることができるまでに成長した息子は、家に虫が現れたときに「オレに任せて!」と捕まえて窓の外に逃がしてくれるまでになりました!
ある日、公園でセミを捕まえた息子。2歳の妹のお友達に「見てみる?怖くない?触ってみる?」と聞きながらセミを見せてあげていました。
無理強いしたりすることなく、相手の好き嫌いや怖くないかを優しく聞く姿を見て、「みんなが昆虫を好きなわけではない」「好きな子も嫌いな子もいて、どちらが良いでも悪いでもない」ということを、息子なりに理解できていることを感じてとても嬉しくなりました。
虫を通して成長した夏
夏の初め、捕まえたセミはすべて持って帰りたいと言って聞かなかった息子。
いろいろな昆虫をお世話し、命のはかなさを知り、子孫を残す使命などを図鑑で学び、夏の終わりには捕まえたセミを観察した後に、「元気でねー!」と自分でリリースできるように成長しました。
真っ黒に焼けた肌で、この夏に出合った昆虫の絵を描く姿は、どこかもう立派な少年のようです。
自分の好きなことには、好きなだけ熱中してほしいと思っていましたが、昆虫に関しては自分の虫嫌いとの葛藤がありました。
虫捕りに行きたいとねだる息子に、どうしても気乗りしない私…。ひょいとバッタを捕まえるママ友を見て、息子に申し訳ない気持ちになった日もありました。
今回、昆虫をきっかけに、親である自分の気持ち以上に、子どもの好きな気持ちを尊重していかなければいけないと気づかせてもらいました。
子どもは親の望むように進むとは限りません。そんなとき、ひとりの人間として、その子の思いをきちんと尊重し、そしていつも最前列で応援していられる存在でいたいなと感じさせてくれたこの夏の経験でした。
私もほんの少し、親として成長できたかなと感じています。
<文・写真:ライター さつき>
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