気高く香る夏の女王、ユリと過ごす夏のリビング|花のある週末、はじめませんか Vol.3

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こんにちは! 「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?

7月第3週のおすすめは「ユリ」

7月のウィークエンドフラワー.ユリ(百合、Lily)
・原産国:日本、アジア、ヨーロッパ、北アメリカなど
・主な生産地:新潟県、高知県

暑く湿った空気に溶けあい、誘うような甘い香り。狂おしさと安らぎを併せもつ特別な花…。

一年中フラワーショップに並ぶユリですが、最旬は夏。この時季は特に、濃い緑色の葉にも野生の艶が宿ります。

夏の女王、ともいわれるユリ。その圧倒的な存在感から、自分のために購入するにはちょっと敷居が高くて…と思われがちですが、じつは手間いらず。ズボラさんでも大丈夫!な、夏にぴったりのリビングフラワーなのです。

まず、水中に発生するバクテリアの影響を受けにくいので、水替えが面倒な方におすすめ。そして、1本さらりといけるだけで絵になり、つぼみが順々と咲いていくので長く楽しめます。しかも、旬の季節はいつもより若干お買い得に! 今こそユリを飾るチャンスですね。

ユリと聞いてイメ―ジするのは、懐かしき(笑)バブル時代に、一世を風靡した大輪の‘カサブランカ’でしょうか。まさにゴージャスな花の代名詞。その‘カサブランカ’と同じ“オリエンタル・ハイブリット系”のユリには、20年来の定番‘ルレーブ’、‘マルコポーロ’、‘ソルボンヌ’といったピンク系の名花がたくさんあります。今回紹介する‘ニンフ’は、2010年ごろからの話題の品種です。

「ニンフ」とは、ギリシャ神話に登場する、若く美しい女性の姿をした精霊。淡いクリーム色にブラシでさっと紅色をのせたような花色が珍しく、花芯の黄緑色も涼しげ。やさしさのなかに、セクシーな表情もある魅力的なユリです。‘ニンフ’とは絶妙なネーミングですね。

大輪系のユリの多くは、甘く強い芳香があることから、食事の席やお見舞いには不向きと敬遠されますが、‘ニンフ’なら心配ありません。パウダリーで爽やかな芳香が、なにより人気なのです。フラワーショップで出合えたら、ぜひ香りを感じてみてくださいね♪

‘ニンフ’に合わせたいのは、花弁にさっとひかれた紅色を繰り返す、シックな濃赤系のモダンな葉フィロデンドロン‘レッドダッチェス’。熱帯を彷彿とさせる肉厚な大きな葉が、夏のユリを引き立ててくれます。モンステラやアンスリウムの葉でも、同じような雰囲気に。フォルムは異なりますが、濃赤色のドラセナ‘パープルコンパクタ’もおすすめです。

今回は‘ニンフ’の花に含まれる明るい黄緑色に合わせて、グリーンのカンガルーポーをチョイスして爽やかに。一般的によく見かける濃赤色を合わせれば、シックにまとまります。

カンガルーポーは、花の形がカンガルーの前足に似ていることからこの名前が付けられたそう。オーストラリア原産の個性的な花々(総称:ワイルドフラワー/ネイティブフラワー)はこれからが旬! 南半球はまもなく花溢れる春を迎えるため、北半球の日本では秋口から輸入のワイルドフラワーが豊富に出回るというわけです。

■材料(花材費合計=1000~1500円)

●花材
ユリ‘ニンフ’/1本 *茎がしっかりした、つぼみが膨らみ色づいたものを選びましょう
カンガルーポー(グリーン)/1本
ブロンズ色の葉=フィロデンドロン‘レッドダッチェス’/1本
(左下に転がっているのは小さなスイカ、かわいいですよね)

●器について

大輪のユリは花が重たいので、画像のような台形の安定感のある器がひとつあると便利です。陶器や透明ガラスでも素敵ですが、カラーガラスの器もおすすめ。茶系やグリーン系ならどんな植物にもよく馴染み、花が入っていない時でもインテリアのアクセントになります。

■3ステップでアレンジ

①器の高さの2倍ほどの長さになるよう、ユリの茎をカットします。夏のユリは葉も美しいので、葉を適度に残しながら水に浸かる下葉を取り除きます。雄しべの葯を取り除くか残すかはお好みで! もし取り除く場合は、指でそっと引っ張るか、ピンセットを使うとよいでしょう。

②ブロンズ色の葉フィロデンドロン‘レッドダッチェス’を、器の真上から縁にのせるようにあしらい、①でカットしたユリをやや傾けていけます。

③カンガルーポーの枝を、2~3分割し、ユリの合間合間にいけます。器の口元がすかすかにならないように、‘レッドダッチェス’をユリの合間にも小さくあしらうとよいでしょう。

*ユリは室温が高いと早く開花するので涼しい場所に。切花鮮度保持剤を使うと、開花してからも長く楽しめます。

これだけ気をつければ花はぐっと長もち♪

✔ 花をいける器は清潔に! きれいに洗いましょう。

✔茎はよく切れる「花専⽤のハサミ」か「フローリストナイフ」で、スパッと斜めにカットしましょう。⽔を吸う⾯積が⼤きくなり、花もちが違ってきます。

✔⽔に浸かる部分の葉は取り除きましょう。葉が⽔に浸かっていると、⽔が早く濁りやすくなります。

✔最近は花を購⼊すると切花鮮度保持剤の⼩袋を付けてくれるフラワーショップが増えました。花を咲かせる栄養補給と、⽔の中のバクテリアの繁殖を抑える効果があり、花をぐっと⻑く楽しめます。正しく希釈して活⽤しましょう︕ 切花鮮度保持剤を⼊れた場合は、花器の⽔替えは3〜4⽇に一度で⼤丈夫です。

✔なるべく、直射⽇光が当たらず、エアコンの⾵が直接当たらない涼しい場所に飾るとよいでしょう。タバコやお線⾹などの煙、果物から出るエチレンガスも苦⼿なので、近づけない⽅がベターです。

ユリといえば花粉問題…! を解消する「ノンパウダーリリー」

ユリの花粉が洋服などについてしまった際は、濡れ布巾などでこすって拭き取ろうとすると、かえって黄色いシミになってしまいます。ガムテープやセロハンテープなどで、ちょんちょんと軽く押さえて花粉を取り除くのがよい方法です。花びらに花粉がついてしまった場合も、同じように取り除きましょう。

とはいえ、ユリという花は、この「葯(ヤク)」がついた状態のほうが、野性的なユリ本来の魅力があって素敵だなあと思うのです。ヨーロッパのフローリストたちは、ユリの雄しべの葯を取り除くことをほとんどしません。花粉で花弁が汚れる前に葯を全部取ってしまおう~というのは、日本人ならではの神経質さゆえかもしれませんが、ここにきて朗報が…!

品種改良が進み、葯の中に花粉がない“無花粉のユリ”が登場し始めているのです。生産地やフラワーショップでは「ノンパウダーのユリです」と紹介されていくそうです。まだ出回りは少ないようですが、これからどんどん増えていくことでしょう。葯を取らなくていいので、ユリらしい表情が楽しめるようになりますね!

写真は、新潟県魚沼市ユリ生産者・鈴木健一さん(豪雪は百合籠グループ)より、ノンパウダーリリー‘オカヤマ’という品種だそうです。花粉を気にしなくていい、純白のユリの登場なんて、期待大ですね!!

1本のままから小分けへ…その時間も楽しんで

海外のインテリア雑誌などでは、長いユリをさらっと活けてあるリビングがよく紹介されています。その雰囲気が素敵だなーと思って、いつも眺めていました。今回はそんなイメージで、‘ニンフ’を1本テーブルの上に。マイルドな香りが心地よく漂います。

花を長く飾る大きめの花器がなくても、ワインボトルなどお酒の瓶に飾るのもさりげなくて粋な感じです(画像はボトル型の花器なのですが)。ボトルにはユリ1本、器の高さの2倍ほどの長さなら倒れずに耐えられます。夏の山野に凛と咲く野生のユリのように、その美しい立ち姿を格好よく活けてみてください!

そして、咲き進んできて、最後の1輪を咲かせたい! といったタイミングになったら、小分けにカットして、小さく活け直すのもよいですね。ブロンズ色の葉フィロデンドロン‘レッドダッチェス’は、最初に紹介したアレンジと同じように、器の口元にあしらっています。こちらではアクセントに山イチゴをあわせてみました。野性味がある毛深い実(笑)が、ワイルドな夏のユリにお似合いです。

日本の山野、じつはユリの宝庫です

日本には数多くのユリの原種が自生しています。初夏から盛夏にかけて、スカシユリ、ササユリ、テッポウユリ、ヤマユリなど、さまざまなユリを楽しむことができる、ユリの聖地でもあります。

現在、世界に流通するユリは100品種以上。19世紀に植物学者のシーボルト博士が日本の原種をヨーロッパに持ち帰って以来、園芸品種の改良が進んだとのこと、日本古来のユリが近代のユリの世界を作ったといっても過言ではないでしょう。

ユリ界の金字塔‘カサブランカ’も、じつは日本の山野に自生するヤマユリやカノコユリなど原種数種を交配した品種であるということは、あまり知られていません。昨今は八重咲きの「ローズリリー」や、無花粉タイプの「ノンパウダーリリー」など品種開発もますます盛んで、ユリから目が離せません。ぜひフラワーショップで、旬のユリを手に取ってみてくださいね!

ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

Credit

記事協力

小川典子

(一社)花の国日本協議会プロモーション推進室長/

フラワーシーンプロデューサー。会社勤めの傍ら23歳から本格的

にフラワーアレンジを学び、(株)ワコール、キリンビール(株)

の花部門、食品部門のマーケティング職を経て、2010年より「

フラワーバレンタイン」や「WEEKEND FLOWER」など、花の消費拡大プロモーションを担う。雑誌、

WEBなどの連載、講演多数。

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