トスカーナ(イタリア)――豊穣なる地に点在する中世の街

イタリア半島の中西部に位置し、陽光に輝き、自然と芸術が共存するトスカーナ地方。
豊かに広がる大地、その丘の上にあるのは中世の面影を色濃く残す家並みです。

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イタリア半島の中西部に位置するトスカーナ地方。ルネッサンスの中心となったフィレンツェをはじめ、多くの歴史的な街を擁しています。
豊かに広がる大地、その丘の上にあるのは中世の面影を色濃く残す家並みです。

陽光に輝き、自然と芸術が共存するトスカーナの街々を訪ねてみましょう。

花の女神の名を持つ美術館のような街~フィレンツェ

15世紀、ルネサンスの文化的中心地であったフィレンツェ。

旧市街には多くの芸術的なスポットが存在し、街は「屋根のない美術館」と言われています。

フィレンツェの街中を流れるアルノ川に架かるポンテ・ベッキオ。「古い橋」という意味を持つ、1345年に建造されたフィレンツェ最古の橋です。

橋の東側の2階には、ベッキオ宮からピッティ宮まで続く、当地を支配したメディチ家専用の通路だったヴァザーリの回廊があります。

中世のころ、ポンテ・ベッキオには魚屋や肉屋が並んでいましたが、フェルナンド1世が臭いを嫌って追放。装身具や金銀細工の店を入れました。今も橋の両側には、金銀などのアクセサリーを扱う店が並んでいます。

建物の間から姿をのぞかせる、フィレンツェの顔、ドゥオーモ(大聖堂)。

ピサやシエナにある大円蓋つきの大聖堂に劣らないものをつくることはフィレンツェにとって悲願だったといい、すべてが完成するまでに140年以上を要しました。

石畳の道を歩いていると、さまざまな歴史的建造物が次々に現れ、どれもとても身近に、手に取るように感じられます。

フィレンツェの街を抜けると広がる丘陵地帯。周辺はキャンティをはじめとするワインの生産地で、一面にぶどう畑が広がっています。

その丘の上にそびえ立つ、いくつもの塔。

中世そのままの街並みが残る塔の街~サン・ジミニャーノ

これが21世紀の風景?と疑いたくなるような塔の街、サン・ジミニャーノです。

フランス街道の要所にあった街は通商で潤い、貴族たちは富と権力の象徴として、競って塔を建てました。「より高い塔のある家を持つこと」が、ステータスでした。

街が最も反映したのは12~13世紀で、最盛期に建っていた塔は72本。

現在は14の塔が残っています。

16世紀になるとサン・ジミニャーノは衰退し、廃れた街となってしまいます。

経済的な余裕がなくなり、ほかの街のように「不要な塔」の取り壊しや再開発をすることができませんでした。それが幸いして、13~14世紀の街並みを現在でもよく残しているのです。

ゴシック風の街並みが残る中世の都市国家~シエナ

中世に都市国家として栄え、トスカーナ地方の覇権をフィレンツェと争ったシエナ。

12~15世紀にかけてのゴシック様式の街並みが残されているのは、フィレンツェのトスカーナ公国に組み入れられ、発展が止まったからです。

城壁に囲まれた周囲2km四方の小さな街。その規模は、中世の時代とほとんど変わりません。

「世界で一番美しいゴシック建築」と評価する人もいる、シエナのドゥオーモ(大聖堂)。

ファザードの装飾の美しさには目を奪われます。

シエナの中心部には、そのユニークな形状と美しさで有名なカンポ広場があります。

3つの丘が合流する窪地につくられた広場のため扇形になり、扇の付け根に向かって傾斜があります。

毎年、7月と8月には、ここでシエナの地区対抗の競馬パーリオが行われます。

丘の上に重なるように建つ家々~モンタルチ―ノ

カンポ広場近くの通り沿いに建ち並ぶ家々。

トスカーナに限らず、イタリアの家の窓にはたいてい鎧戸が設けられ、夏の強い日差しを遮ります。

トスカーナに滞在した夏の日、鎧戸のある厚い石壁の家に入ったとたんに感じた、ひんやりとした空気の心地よさを思い出します。

ぶどう畑とオリーブ畑が広がる丘の斜面。その丘の頂に重なるように家々が建つ姿は、トスカーナの街でよく見られる風景です。

かつて戦いが行われていたころ、こうした地形は天然の砦のような役目も果たしていました。今はのどかなモンタルチーノも要塞都市でした。街中には砦も残っています。

16世紀半ば、フィレンツェとの戦いで陥落したシエナを逃れた人々は、この街にたどり着いて抵抗しましたが、モンタルチーノは陥落してしまいます。

街並みが続く路地の奥には、どっしりとした要塞の塔が。現在、要塞はエノテカになっていて、ワインの試飲や購入ができます。

モンタルチーノは、イタリアを代表するワイン「ブルネロ・ディ・モンタルチーノ」の産地として世界的に有名。街の周辺にはぶどう畑が広がり、ファームハウスが点在しています。

ファームハウスは、農業に携わる人が住んでいるのはもちろんですが、古い農家や納屋だった建物を改装して、別荘として所有する人も少なくありません。

最近では、宿泊施設としてのファームハウスが増えており、手軽にトスカーナの田舎暮らしを体験できるアグリツーリズモ※が人気です。



上の写真は、トスカーナに広がるヴァル・ドルチャ(オルチャ渓谷)の田園風景。

牧歌的で美しい風景が農家や集落、街道と融合しながら保護されてきました。この景観は、人々がつくり上げてきたものとして世界遺産に登録されています。

※アグリカルチャー(農業)とツーリズモ(旅行)を組み合わせた造語で、気軽に田舎暮らしが体験できる旅行スタイルのこと。

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