杉の造作テーブルでくつろぎの団らん空間。ー「10年愛♡の家」Vol.2 ー

時を経ることでますます愛着が湧く家とはどんな家なのだろう、そんな疑問に迫る連載企画。第2回目は様々な工夫が凝らされたAさん宅。シンプルな白壁と杉でコーディネイトされたこちらのお宅は、様々なこだわりの詰まった「暮らしやすさ」を追求した住まいなのでした。

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重量木骨の家
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暮らしやすい生活空間を目指して限りあるスペースを自在にデザイン

大阪の郊外に建つ一軒家、Aさん宅。溢れんばかりの太陽の日差しと開放的な間取りが印象的なお宅です。建物の形は敷地部分を縦に割った長方形という、少し珍しい形をしています。決して広くはない間口ですが、玄関からリビングへと進んでいくと、縦方向に奥行きがあるのは当然としても不思議と外観から想像していた横幅の狭さも感じない、むしろ広々とした開放的な空間が広がっていました。

施主であるAさんはご夫婦とお子さん2人の4人家族。この家を建ててから今年で10年目だそうです。Aさんは建築関係のお仕事をされており、このお宅を建てるにあたっていくつかのこだわりを持っていたそうです。

「まず最初に考えたのが、家族4人で暮らすのに丁度いい家、というテーマです。それは広さはもちろん、生活空間としての使い勝手の良さや、長く快適に住める質の高さなど、家族が幸せに暮らせる空間造りがまず大前提としてありました。それには自由度の高い注文住宅がベストと当初から考えていましたね。そんなテーマを実現するために、この家にはたくさんのこだわりや工夫が盛り込まれています。工務店であるフクダ・ロングライフデザインさん、そして私たち自身も協力して発想したものなんです」

住みやすさ、の答えは最適解な設計にあり

四角い敷地を縦に割った長方形が印象的なAさん宅。南向きにスペースを作り、駐車場と洗濯物を干したりできるスペースとしている。外観はシンプルで飽きのこないデザインです。

自由度の高い注文住宅を希望していたAさんは、まず施工してくれる工務店を吟味したといいます。建築関係のお仕事をされているAさんの厳しいお眼鏡に叶ったのがフクダ・ロングライフデザインでした。伝統とともに革新を持って、いい家の本質を追求する、というフクダ・ロングライフデザインのコンセプトが気に入ったのだそうです。

そんなフクダ・ロングライフデザインの特質の一つに「最適解を導く設計思想」があります。一つとして同じ条件のない個人の注文住宅だからこそ、十人十色の要望を形にするにはデザイン、性能、そして機能性の最適解を導き出す、高度な設計力が必須となります。こちらのお宅はまさにその「最適解な設計」が存分に発揮された住宅なのです。

敷地を細長くタテに割って、北側に家屋を寄せる形で建てています。外観から想像する以上に開放的な空間が広がります。見事な設計といえます。

例えば先にも書いた長方形の建物形状。交通の便が良い住宅地ならではの傾向として、限られた敷地の中で日当り、採光をどのように確保するか、という課題があります。Aさん宅の敷地環境もまずそういった課題がありました。南向きには隣宅があり、Aさん宅側の敷地ギリギリまで隣宅の建物があるために、こちらも同じような設計をしてしまうと南側からの採光が期待できなくなってしまう。そんな理由を主としてこの形が採用されたそうです。

そしてこの制限が大きいと思われる長方形の建物形状で自在な設計プランを実現させているのが、「耐震構法 SE構法」だったのです。

自在な設計を可能にする「耐震構法 SE構法」

集成材を使用したラーメン構造がSE構法の大きな特徴。構造計算が可能なので、十分な耐震レベルを維持しながらも、設計の自由度が在来工法と比べて圧倒的に高いと言われています。

実はAさん、最初から「耐震構法 SE構法」で建てたい、と考えていたといいます。仕事柄、建築設計の専門知識に明るいAさんは、いざ自分の家を建てる、となった際に様々な構法を自分なりにリサーチ。そこから導き出した答えがこの「耐震構法 SE構法」だったのです。では、その「耐震構法 SE構法」とは一体どんなものなのでしょうか。

一般の木造2階建て住宅では、構造計算は必須とされていませんが、このSE構法は耐震構造を実現するには必須となる構造計算を一棟一棟行い、地震に負けない強さと木造の美しさを両立させるという木造建築における次世代の構法。使用される木材に一定の強度を持つ集成材を採用することで正確な構造計算を可能とし、木造による耐震構造を実現させた構法なのです。

集成材を結合するのは、従来のようなホゾ継ぎではなく、独自のSE金物を採用。これによりホゾ継ぎ工法よりも強度が取れるのです。

このSE構法の特性はもちろん地震に強いだけではありません。強度計算を可能にしたことで、在来のものとは比べ物にならないほど設計プランの自由度が高く取れる事も大きな特徴なのです。こちらのお宅は、その自由自在の設計プランニングを最大限活用した、暮らしやすい工夫がたっぷり詰まっているのです。

SE構法が生み出す開放感のある団らんスペース

外観からは想像も付かない開放的なリビングダイニング。細長い形状を最大限に活かす、玄関から真っ直ぐに繋がった動線の奥行きと南側全面から採光できるように考えられた設計がこの開放感を実現しているのです。

まずは上の写真を見て下さい。これはリビングの端から玄関側に向けて撮影した写真ですが、実はこの写真にはこのお宅の左右幅と奥行き全てが映っているのです。普通は遮るものがたくさんあり、圧迫感を与える要素があるものですが、一つの画角でここまで見せられること自体が驚きです。そして邪魔と感じる柱が一つもありません。このような空間設計こそSE構法ならではなのです。それにしてもこの開放的な空間はどうでしょう! 

キッチンの天井を一部吹き抜けとすることで、上方向からの採光も充分に確保。開放的な抜けの良さも加味してくれています。

たっぷりとした縦横方向の抜けの良さに更に吹き抜け天井を組み合わせることで、スペースのある南側からたっぷりの太陽光が差し込むように考えられた、明るく大きな団らんスペース。それは、SE構法が持つ自由度の高さが生み出しているのは間違いないのですが、加えてSE構法を使いこなすフクダ・ロングライフデザインならではの設計プランの先進性があってこそ生み出された工夫の一つなのです。

ライフスタイルの変化とともに間取りを変える

子供部屋とご夫婦の寝室は吹抜け脇の通路で繋がっています。その間には家族が交差する動線として本棚や勉強机などが造作で設置されています。家族が集まれるスペースを生み出しているわけですね。

SE構法が持つフレキシブルな設計プランは家族が長く住むからこその変化にも対応しています。例えば2人のお子さんが小さかった建築当時、2階の間取りはご夫婦の寝室&クローゼットに加え、大きな子供部屋が一部屋という設計でしたが、お子さんが成長した時の事を考えてその当時から2部屋に分割する前提で設計されたとのことです。つまり、将来的に分割した時の設計プランも当初からあらかじめ立てていたのです。

奥向きの子供部屋から1階へ繋がる階段を臨む。画面左側が北向きに設計された廊下部分なのですが、部屋を南向きにするため、あらかじめ配管動線なども含めて北側にまとめる設計をしたのだそうです。

例えば最終的に北側を廊下にする事を前提にあらかじめ配管動線を北側にまとめたり、部屋の仕切りの場所まで最初から考えて切り返しなどを造作しておいたとのこと。当初からそこまで考えて要望を出していたのも建築を生業とするAさんならではですが、そんな間取りの変化に対応できるように設計できるのもSE構法だから可能なのです。在来工法、特にこのような細長い案件ではどうしても取り払えない構造壁や構造柱が多く必要になってくるので状況によっては使い難い間取りとなってしまいます。つまり制限のあるスペースを有効活用するためにもSE構法が必須だったというわけですね。

お嬢さんの部屋。外観写真でも分かる通り、道路側の2階の出っ張り部分が中央のクローゼット部分となっています。元々は息子さんの部屋と合わせて一部屋だったものをお子さんが大きくなってきた5年前に分割。収納なども後付けのものは使わず、造作によって設置されています。
こちらが息子さんの部屋。こちらも収納棚やクローゼットなどは造作で設置。ブルーの壁は5年前に新たに造作したもの。
階段を上がって子供部屋と夫婦の寝室に向かう動線上には子供用の勉強机や本棚を設置。こちらも造作で制作しているので、テイストも統一されていてよりシンプルに見せる効果を醸し出しています。

このように、技術的にも熟練した工務店で建てられるSE構法の木の家は「重量木骨の家」と名付けられています。「重量木骨の家」を建てることが出来るのは、SE構法登録店の中でも、重量木骨プレミアムパートナーと呼ばれる全国から選び抜かれた64社の工務店のみ。もちろんこの家を建てたフクダ・ロングライフデザインもその一社なのです。

また、「重量木骨の家」は第三者機関による現場調査、完成保証、長期優良住宅認定等を備えていますから様々な面で安心して家づくりに臨めます。

暮らしやすさにこだわった設備の数々

建物の形や構造、間取りなど大枠の設計部分の他にも、暮らしやすさにこだわった沢山の工夫が施されています。内装の設計や造作家具類や設備など、実際に生活をイメージした時に大変に使い勝手が良いのに気付かされるのです。実はAさんご自身がお仕事の関係で引っ越しが多く、数年単位で幾度もの転居と様々な借家で実際に生活してきた中で「ここがこうだったら生活しやすいな」というような不満を多く抱えてきたそうです。つまりその不満を夢の一軒家たるこのご自宅を建てる際に活かしたのだそうです。

オリジナルで制作した長テーブルの先にあるリビング部分は階段によって若干の底上げがされています。これによりダイニングチェアに腰かけた人とリビングでの床座の目線が自然と同じ高さになるわけですね

例えばダイニングとリビングはちょっとした段差が作られ、リビングの方が若干高い位置にあるのです。これもダイニングで椅子に腰掛けている人と、ソファを置かないリビングで寛いでいる人の目線の高さを合わせる、といった狙いなのだそうです。つまり椅子に座る洋式スタイルと床面に直接座る和式スタイルを上手にハイブリッドさせた結果なのです。これも一重に家族の団らん、コミュニケーションを第一に考えておられるAさんならではのこだわり。

実際、お子さん達もこの居心地の良いリビングダイニングは大のお気に入りだそうで、自分達の部屋があるにも関わらず、ここに居る時間の方が長いそうです。

また、そのダイニングに造作で設置された杉のテーブルも秀逸。細長い家を象徴するようなものを、ということで設計士さんの方から提案されたそうですが、リビング側からもアクセスできる大きくて長いテーブルはまさに一家団らんの象徴。自然と家族がそこに集まってくる、暖かみの感じられるデザインがいいですよね。

こちらは目隠し戸を開けた状態のキッチン。かなりコンパクトに設計されています。目隠し戸を閉じると…

そんなダイニングの中でも一際創意工夫が施されたのがキッチン設備周り。一般的なシステムキッチンではスペース的に非効率ということで造作でコンパクトにまとめ、電子レンジやダストボックスまで収納できるようにした上で壁の中に収納できるように設計。

また冷蔵庫やストック用収納スペースを同様に壁に収納できるシステムとなっています。折りたたみ式の戸を設置され目隠しが出来るようになっており、一見すると何も無い壁のごとくスッキリ! キッチン収納状態では、ダイニングというよりもリビングとして使用できるという大変効率的な工夫が盛り込まれています。

このようにスッキリとした壁になります。来客などの時にはこの状態にしておけばキッチンスペースも気兼ねなくリビングとして使用できるわけですね。
冷蔵庫や収納スペースも壁に埋め込まれた形で設計されています。こちらも目隠し戸を占めると…
この通り! なんて合理的なアイデアなんでしょう。限りあるスペースを有効活用する斬新な発想が生み出した工夫なのです。
テーブルに隣接されているテーブル棚の下には食器を収納するスペースも。使えるスペースは効率的に使うという発想が徹底されているのです。

更にほぼ既存の家具は使わず、収納スペースは造作にて設置。また玄関とダイニングを仕切る壁のようになるドアや帰宅してすぐに上着が掛けられるようにダイニングにオープンクローゼットを設置するなど、合理的かつ効率的な工夫が満載。そのアイデアの中にはもちろんAさん夫妻が提案したものも多いのだそうです。

玄関から入ったキッチン手前には、カフェのように上着を掛けられるスペースも設置。帰宅してすぐに上着か掛けられるので、いちいち階段を上がって自室に戻らなくてもよいようになっています。人の動きや生活動線を充分理解しているからこそ出てくるアイデアです。ちなみにこのアイデアは奥様から出たものなのだそうです。流石ですね!
ひとつ上の写真のクローゼット脇にある白壁のような部分は、実は玄関に続くドアなのです。閉めれば壁になりますが、開くとこのように玄関からリビングまでを一望できます。しかも両開きなので便利! 使い勝手を追求した結果なのです。
リビングダイニングの明るく開放的なイメージを実現している吹抜け部分は、日が落ちるまで部屋の電気を点けなくてもいい程の明るさを与えてくれるのですが、完全に南向きのため、直射日光が当たる時間帯は少し暑過ぎます。その対処策としてオーニングが取り付けられているのです。
オーニングを閉めても明るさは確保でき、しかも直射日光は遮ってくれるのです。このように沢山の工夫で家族が集まりたくなる、過ごしやすいダイニングを実現しているのです。

杉材で統一された家具&造作が木の温もりを感じさせる

「木の家」のイメージを強く印象付けてくれるのは床材を始め、テーブルや棚などの造作家具まで全て同じモノを使ったという無垢の杉材。当初は床材として厚さ30mmの杉材をチョイス。これをAさんが気に入り、その他の造作家具や階段まで同じものを使用することにしたそうです。質感もあえてナチュラルな風合いを残し、経年変化をも楽しめるように仕上げています。

前述のキッチンテーブルも実は杉材で制作されたもの。キッチリ面取りをしてツルツルに仕上げるのではなく、あえて凹凸感の残した風合いが、自然な暖かみを感じさせてくれます。
もちろん床材を始め、玄関の造作&シューズボックスなども杉材を採用。飽きのこないシンプルなテイストで作られているのがいいですね。
階段も同じ杉材を使用。木の感触が伝わる心地よい仕上げは、あえて素足で感触を楽しみたくなりますね。
これだけではなく、本棚や収納、勉強机なども全て同じ杉材で制作されています。こちらは2階の勉強机の後ろに設置されている本棚。床材と同じ素材なので統一感もバッチリ。
上の本棚の側には杉材の収納棚も設置。基本的に家具類はこのようにあらかじめスペースのある場所に設計しています。建築関係のお仕事に携わっているご主人ならではの先を見据えたプランは大変参考になるのではないでしょうか。

家族を守り、そして幸せにしてくれる「木の家」

施主であるAさんと奥様、そしてお嬢さん。高校生のお嬢さんの最近の趣味は写真。撮影した作品をご両親に見せたりしながらダイニングで楽しい家族の会話を楽しんでいるのではないでしょうか。微笑ましい光景ですね。

限りあるスペースを有効に活用するための自在な設計。そして構造計算の出来る「重量木骨の家」。木の暖かみや親しみというものが我々日本人の心に根付いているからこそ生み出された耐震構造を持つ家は、長く住むことでより愛着が湧いてくるものなのではないでしょうか。

余談ですが、Aさんがこの土地を購入した際、当初は建築条件が付いていました。つまり指定の工務店で家を建てて下さい、という条件付きだったそうです。しかしすでにフクダ・ロングライフデザインに相談をして、SE構法での「重量木骨の家」と決めていたAさんは建築条件を外す為に交渉。当初より時間も手間も掛かってしまいましたが、それほどまでに”耐震構造を持つ木造住宅”にこだわっていたのだそうです。

結果として自由度の高い”最適解”な設計デザインに加え、注文住宅ならではの様々な暮らしやすい工夫も盛り込めることとなったのです。

「SE構法ならではの住みやすい空間作り、そして快適な暮らしを送るための様々な工夫は間違いなく家族を幸せにしてくれました。そしてきっとこれからも家族を守ってくれるでしょう。私が建築業界に関わっている分、どうしても譲れないこだわりがいくつもあったのですが、そんなこだわりの要望を全て実現してくれた『重量木骨の家』そして『フクダ・ロングライフデザイン』さんには感謝の気持ちでいっぱいです。これまで10年住んだのですが、いまだにこの家に対する愛情は日に日に大きくなっているのを感じます。これからも私たち家族を見守っていてくれるのではないでしょうか」

Text:藤川経雄
Pfoto:塩谷佳史

設計・施工:フクダ・ロングライフデザイン株式会社
大阪府大阪市福島区福島8丁目17番14号
TEL:0120-965-830
営業時間:9:00 - 19:00(水曜定休)

「10年愛♡の家」シリーズVol.1。梁がポイントの家族とともに育つ家。木のぬくもりと家族のぬくもりが交差する温かい空間です。
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「10年愛♡の家」シリーズVol.3。開放的な吹き抜けとホームシアター、オーダー家具でコーディネートされたこだわり空間。
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『10年愛♡の家』シリーズVol.4。たっぷりの採光で家の中で自然を感じる"陽だまりの家" グリーンのセンスも素晴らしい。
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