にぎやかなターミナルと、人情味あふれる商店街のある街。「ひばりが丘」に住もう。
こんな町に住みたいんだ。
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こんにちは、ライターの渡辺平日と申します。休日はもっぱら日用品の研究と町歩きをしています。この連載では、個人的に好きな町や住みたい町を、じっくりと這うように案内していきます。
今回取り上げるのは西東京市のひばりが丘。レトロな団地が多数あり、町歩きするたびに新しい発見のある面白い町です。物の本によると、かつてこのエリアにひばりがたくさん生息していたことから、このような名前になったとか。
さあ町歩き開始です。ちなみに、町の名前は〈ひばりが丘〉ですが、駅の名前は〈ひばりヶ丘〉です。
新宿や渋谷、池袋方面にお勤めの方におすすめのエリアです
いきなり現実的な話になってしまって恐縮ですが、住むお部屋を決めるとき、職場への移動時間は最重要ポイントになりますよね。今回案内するひばりが丘の交通事情はどうでしょうか?
駅は全体的に整然とした雰囲気でした。
ひばりが丘に住んでいる友人曰く、「近年、駅構内のバリアフリー化が進み、利便性も向上している」とのこと。
ひばりヶ丘駅では西武池袋線が利用可能。西武池袋線は副都心線や東急東横線、みなとみらい線など様々な路線に乗り入れているため、新宿や渋谷などの主要都市へ最短30分程度でアクセスできます。また、一時間程度かかりますが、横浜方面にも乗り換え無しで行けますので、お休みの日は中華街へお出かけというのも良さそうですよ。
駅周辺はかなり賑やか
交通利便性はまずまずといったところ。さて、次に気になるのは町の様子ではないでしょうか。ひばりが丘は駅周辺がかなり盛り上がっているので、まずはその辺りを散策することとしましょう。
駅から出るとすぐに西友。普段のお買い物は安泰ですね。
西友の反対側にはPARCOもあります。こちらには無印良品やABCマートなど専門店が揃っています。
団地を中心に発展したという経緯もあり、バス路線も発展しています。友人曰く、「東西の移動には鉄道を、南北の移動にはバスを使うと便利」とのこと。
このままフラッとバスに乗り込みたいという衝動を抑え、取材を続けます。
歴史を感じさせるひばりが丘北通り
駅周辺だけを見ると完全に〈街〉でしたね。普段のお買い物には不便しそうにありません。しかし、これはひばりが丘のほんの一面に過ぎません。次は、僕が特に好きな北口側を案内します。
北口側の商店街。かなり狭めですが、そのおかげかレトロな雰囲気が残っています。
入り口付近は普通の繁華街という感じですが、進むほどに個人店が目立ってきます。ほら、良さそうなお店がありましたよ。
かなり渋いお茶屋もありました。お菓子屋とセットで常連になりたい。
子どもが「お団子食べたいなあ!」と言っていたので(団子屋があるのかな?)と思っていたら本当にありました。手前にある惣菜屋も美味しそうです。
入り口から5分くらい歩くとかなり静かに。住むならこの辺りが良さそうですよ。
昔ながらの青果店と、新しいスーパーが並びあっています。青果店の前ではお母さんたちが「それを酢で煮てね……」などと楽しそうにお喋りしていました。
もうひとつローカルな青果店を発見。ちなみに、西東京市は面積の約10%が田畑と、農業が非常に盛んな地域で、地場産の野菜を安く買い求めることができます。
災い転じて福となす
老舗の喫茶店があると聞いてテクテクと歩いていましたが、なんと、残念ながら閉店していました……。ほぼ下調べ無しで取材に来ているので、他のお店の候補もありません。
そんなとき、非常にいい感じの精肉店を発見。ここでなにか買って、食べ歩きでもしようかな……。
なんだか懐かしい雰囲気。実家の近くにあったお店にそっくりです。カウンターの向こうではお母さんが忙しそうに働いていました。
照明がナイス・レトロ。
おっ、やっぱりテイクアウトできるようですね。
(ひょっとしてイートインできるのかな?)と思ってお母さんに尋ねたところ、「お酒を飲まなかったら大丈夫よ」とのこと。
悩みに悩んでハムカツとカニクリームを注文。
〈ごちそうとんかつ〉という響きが実に甘美。
席について数分後、注文したカツとフライが完成。なにもかけなくても、そのままで美味しい。野山を駆け巡っていた少年時代を思いだすような、そんな懐かしい味がしました。
後ろを振り返るとガランとしたスペースが。「ここはもともとはスーパーでね、昔は八百屋とか魚屋とかがあって。前の通りにはいつも人がいっぱいでね。……いい時代だったんだよ」と、お母さんが在りし日の様子を教えてくれました。
軽く買い物をするつもりだったのに、すっかり話し込んでしまいました。これが無計画な町歩きの醍醐味だったりします。会話の中で、このお店の歴史も教えてもらいました。この精肉店ができたのは今から約半世紀前。それからずっと、この地域の台所を支えてきたそうです。三代で通っている常連さんもいて、住民に愛されているお店なんだなあと感じました。そして、(ずっと、この風景が残っていけばいいのに)と、心から思いました。
「お兄さんと出会えてよかったよ。お店も長く続けるものね。また、この町に来てね」
お店を出るとき、お母さんが笑顔でそう言いました。うまく言葉にできませんが、なにか大事なものを受け取ったような、そんな気がします。
お土産で肉まんを購入。「お兄さんは力持ちそうだから、いちばん大きいやつを持って帰りなよ」
ちょっと変わった図書館を見に行く
すっかりお腹が膨れたところで、ちょっと寄り道することにしましょう。駅の近くにちょっと面白い図書館があるので、ぜひ紹介させてください。
こちらが駅から徒歩数分のところにあるひばりが丘図書館です。一見普通に見えますが……
なんと、上のフロアは居住スペースになっています。一体どういう経緯でこうなったのかが気になります。
その近くにはこれまた雰囲気のいい公園が。
図書館で本を借りて、公園でゆっくり読書するのも良さそうですね。
さいごに
ひばりが丘はどうでしたか? ちょっとでも「住みたくなったなあ」と思っていただけたら嬉しいです。
……取材が終わったあと、精肉店のお母さんから〈受け取ったもの〉について、ずっと思いを巡らせていました。それは、きっと、〈バトン〉のようなものではないかと考えています。時代の流れとともに人は移ろい、町の風景はどんどん変わっていきます。誰にもそれを止めることはできません。でも、次の世代にバトンを託すことはできます。それを渡す人がいて、それを受け取る人がいる限り、町がどれだけ変わっても大切なものは残り続ける。少なくとも僕はそう信じています。
ひばりが丘で、バトンを受け取ってみませんか?
text : 渡辺平日
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