Nez-T House/ Nez-T 邸 こだわりと想い[その1]

東京、城東エリアの趣のある閑静な住宅街を立地とした新築二世帯戸建住宅。
高騰する建設費を鑑みRC同等性能の木造SE構法を採用、世帯間の距離感をアプローチ/外観・外構へ反映し、木造に制限の多い開口部を内外ともに密な設計を施した。
木造では珍しい軒高約10mのロフト付3階建二世帯住宅でRFテラス付等、発生する様々な法規制をデザインに落とし込み、クリアしていった。

Nez-T邸にこめたこだわりと想いを2つの記事に分けて。

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きっかけ

「二世帯住宅がほしい。この元オフィスビルをリノベーションしたい!」
そんな電話から始まったこのプロジェクト、結局リノベーションではなく新築となったのですが、はじめはハウスメーカーとのコンペが行われていました。鉄骨造を提案するハウスメーカーに対して、弊社は鉄骨の値上がりをふまえ木造のSE構造案を提示。防火・耐震に関しての不安を解消し、またハウスメーカでは現実できない自由な設計を売りに交渉を進めたところ、私たちの方を選んでいただけました。

ちなみに弊社に連絡を取ろうと思ったきっかけは他のプロジェクト、国際コンペA+Awardsのファイナリスト作品にも選ばれた押上のカフェ&イベントスペースや、清澄の鍼灸院&カフェ&ギャラリーを奥様が前からご存知だったから、だそう。過去の作品たちがつないでくれたご縁でした。

「家がほしい」から「家をつくろう」へ

「家がほしい」そう言っていた施主さんが明らかに変わり始めたのは模型を見せたとき。
木造SE構造でのメリットを生かしデメリットを解決した様々な提案をさせていただいたのですが、そこで「自由設計」のおもしろさに気付かされたのかもしれません。自由がきくということは要望を引き出すのでしょう。そのときから施主さんの「こうしたい!」という希望が溢れるようになりました。

また木造では大工さんの作業が多く、手作業で様々なものが作られていきます。その光景も、家は「買う」ものではなく「つくる」ものであるということを実感するポイントだったのかもしれません。

木造なのにRCっぽい

もともとはオフィスビルのリノベーションを考えていた施主さんにとって、コンクリートのような塗装とビルのような造りである外観は興味を惹かれるポイントだったそうです。木造でもこのような見た目が現実可能だということを伝えることができました。

2面のファサード

子世帯の玄関面だけでなく親世帯の玄関の面も正面と感じてもらえるように、そしてそれぞれ異なる表情を持つように工夫しました。子世帯の生活空間の外壁の色は黒、親世帯は白、その中間に少しだけグレーで仕上げた部分。お孫さんが歩けるようになったときは、グレーの箇所を行き来することになります。移動スペース確保のために斜めに切った勝手口でしたが、親世帯のご夫婦の関心を誘うことができました。

おしゃれなだけではない、規制を解決するデザイン

木造9メートル超物件にかかる法による制限。上下階の窓を離すか庇をつけるか。そこで考案したのが、上階の窓の出っ張りが下の窓の庇代わりになるというでこぼこデザイン。変化のある見た目がおしゃれというだけでなく、出窓と(あえていうならば)入窓を交互に織り交ぜることによって必要離隔距離を処理することができました。

おかえりの明かり

たくさんの窓からもれだす光。閑静な住宅街には、強烈な明かるさではなくぽつぽつと灯る明かりが最適だと考えました。屋内に引っ込んだ窓の斜めカットは、光を直接外に放たず柔らかにしてくれる効果もあります。周辺環境への配慮だけではなく、ぽっと灯る家庭的で暖かい明かりで建物からの「おかえり」の挨拶を演出しました。

風も緑も取り込む窓

施主さんの強い要望のひとつが風通しの良さ。そのため正面の南側だけでなく、北側にも小さな窓をたくさん設置しました。さらに、南側の窓からは風だけでなく緑まで取り込むことができます。ほぼ全ての部屋が借景を持ったお家。贅沢、かつ風流です。

②へ続く

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