大切に使いたい漆器のお手入れ方法
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大切に使いたい漆器のお手入れ方法
英語でJAPANというと漆器のことを指すほど、世界的にも日本を代表する工芸として知られている漆器。高価なものなので特別な時に使おうと、普段はしまっておきがちだが、漆器の良さを増すためには実は日常使いしたほうがよいという。漆器の美しさを長持ちさせるお手入れ方法などを紹介する。
1. 漆器ができるまで
漆器は木などでできた素地に漆を塗り重ねて作る工芸品のこと。30~40の大変多岐に渡る工程を経て完成する。漆器ができるまでの工程を簡単に紹介する。
素地(木地)を作る
漆器の素材となるものを素地といい、木製の素地は木地ともいう。漆器は、丸物と板物に分けられる。碗物などの丸物は天然木で大雑把な形をつくり6ヶ月~1年乾燥させた後、ろくろで回しながら削ってつくる。箱、盆などの板物は、板の状態で1年ほど乾燥させた天然木を裁断し、削り、組み立てる。木や合成樹脂の粉を熱加工してつくった、合成樹脂製もある。
下地付け
漆を塗る前の木地の状態を整えて、補強する工程。油煙を塗り付けた後、研ぎを繰り返し、柿渋などを塗り重ねる渋下地、生漆にとの粉を混ぜたものを塗り付ける錆地、つなぎ目に布を漆のりで貼り付ける布着せなど、さまざまな工程がある。
漆塗り
下塗りと上塗りに分けられる。塗り、乾燥、研ぎ、を何度も繰り返す。とくに上塗りは、熟練した職人技に加え、温度・湿度が一定に保たれている厳密な環境などが必要。塗りの作業だけで3ヶ月ほど要する。
加飾
漆器の加飾で有名なのは、蒔絵と沈金。蒔絵は、筆を使って漆で模様を描き、金粉や銀粉などを蒔き付けて、研ぎ・磨きを繰り返してつくる。沈金は、刃物で絵柄を彫り、金箔や銀箔、金粉、銀粉、顔料などを漆で接着させる。
2. 漆器のお手入れ
厳密に管理された環境で、特別な過程を経てつくられる漆器。お手入れにも気を使わないと... と思う人も多いはず。
しかし、いくつかのポイントをおさえれば、漆器のお手入れはそれほど特別なことはない。
① 洗う時は、通常の食器と同じようにスポンジと洗剤で。ただし、スポンジは柔らかいもので。熱すぎるお湯は変色の可能性もあるので、ぬるま湯程度で洗うこと。
② 傷があった場合に水が浸み込み、漆が剥がれることもあるため、長時間のつけ置きは注意する。
③ 洗った後は、柔らかい布で水分を拭き取ることで光沢が保たれる。
④ 直射日光、著しい乾燥、湿気を避けて保管する。
⑤ しまう時は漆器同士で重ねると、傷が付きにくい。瀬戸物や金属製品と重ねると傷がついてしまうので注意が必要だ。
3. 漆器の特徴と使い方
使用する時もそれほど繊細になる必要はない。漆器の特徴と使い方を見ていこう。
高い断熱性と保温性
漆には断熱性があるため、お椀が熱くて持てないということがない。さらに保温性に優れているため、冷めにくい。椀物にはぴったりの素材というわけだ。
高い耐久性
塗り重ねた漆のおかげで、割れにくく欠けにくい。ただし、フォークなど先端が鋭いものを使うのは避けよう。
欠けてしまったら、漆を塗りなおして新品同様にリペアできるのも漆器のよいところだ。
使うほどに艶が出る
漆器の魅力でもある美しい艶。天然漆は、使い続けるほどに艶が増す。逆にしまい込むと艶がくすんだり、カビや乾燥などの一因にもなったりする。
特別な日だけに使うよりも、日常使いしたほうが、漆器にとってもよいのだ。
冷蔵庫・電子レンジはNG
天然素材でできた漆器は、冷蔵庫内の乾燥状態が苦手。また蒔絵や沈金などに金属を使っているので、電子レンジは使用できない。合成樹脂製品などは、冷蔵庫(まれに電子レンジも)で使用可能なものもある。
4. こんな時はどうしよう?
気軽に使って、お手入れもそれほど難しくない漆器。使っているうちに起こりうるトラブル、その対策も知っておくと安心だ。
汚れのこびりつき
傷が付いていなければ、1日くらい水に浸けても大丈夫。ゴシゴシと取ろうとするよりも、水に浸けてふやかしてから洗おう。
白っぽい変色
熱い飲み物などを漆器のお盆に置くなどすると、漆が焼けて白いシミができることがある。シミを作らないために、茶托などにのせてから、お盆にのせるようにしよう。ただ、シミができても漆を塗りなおせばキレイになる。
カビ
中性洗剤で洗うと案外取れることも多い。それでも取れなければ、お店に持参して塗り直しを相談してみよう。
傷・欠け
漆に傷が付いたり、欠けたりしたら、なるべく早めに塗り直しに出すこと。そのままにすると、傷が広がったり、木地が見えてしまったり、修理に時間がかかることになる。
結論
高級品で繊細そうな印象の漆器だが、実はとても丈夫できちんとお手入れすれば長く使える。考えようによってはコストパフォーマンスのよい食器だと言える。まだ持っていない人は、まず自分と家族用に漆器の碗を買いそろえてはいかがだろうか。
投稿者:
オリーブオイルをひとまわし編集部
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