認知症になる前の財産管理対策!「任意後見制度」ってどんな制度?

老後に認知症を発症すると、本人であっても預金を引き出すことや口座解約手続きをすることができなくなってしまいます。いわば、資産が凍結状態となってしまうのです。その対策として、現在「成年後見制度」という制度が注目を浴びています。これには、認知症を発症した人が利用する「法定後見制...

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老後に認知症を発症すると、本人であっても預金を引き出すことや口座解約手続きをすることができなくなってしまいます。いわば、資産が凍結状態となってしまうのです。その対策として、現在「成年後見制度」という制度が注目を浴びています。これには、認知症を発症した人が利用する「法定後見制度」と、意思判断能力があるうちに後見人を決めておく「任意後見制度」の2つがあります。今回は「任意後見制度」について、ファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が解説いたします。

■任意後見制度とは?

任意後見制度とは、認知症を発症する前など、意思判断能力がしっかりしているうちに財産管理対策として利用できる制度のことです。こちらの場合、法定後見制度とは異なり、本人が希望した人に後見人として就任してもらうことが基本的には可能です。つまり、未成年者や破産者、過去に後見人を解任されたことがあるなど、一部の条件を除けば誰でも後見人になってもらうことができるというわけです。

後見人が決まった後、被後見人と後見人で後見の内容や報酬の条件等を設定します。重要な契約となるため、契約の際には「公正証書」を利用することが一般的です。公正証書とは、公証役場で作成する書類のことです。公証役場には、公証人と呼ばれる元裁判官や元判事などの法律の専門家がおり、彼らの立会いの下で書類を作成します。原本は公証役場に保管されるため、改ざんなどのリスクもなく、非常に信用度が高い書類といえます。

また、公正証書の作成には数万円程度の費用がかかります。基本的には公証役場に訪問して書類を作成することになりますが、訪問が難しい場合は別途出張費を支払うことで、公証人を自宅や病院などに呼ぶことも可能です。

なお、後見人を設定するにあたって“任意後見監督人”という立場の方が必要となります。任意後見監督人とは、後見人がしっかりやっているのか?をチェック(監督)する人のことで、家庭裁判所が選出することになります。士業の方などが選任されることが多く、報酬は被後見人の財産状況などに応じて家庭裁判所が決定します。一般的には、月額1~3万円の報酬を支払う必要があります。そして、任意後見監督人のチェックにより後見人の不正や職務怠慢が発覚した場合、任意後見監督人は家庭裁判所に解任を請求することができます。

■後見人に支払う報酬の目安はどれくらい?

法定後見制度とは異なり、被後見人と後見人で後見の内容や報酬の条件等を決めることになります。そのため、家族が後見人になった場合などは無償とすることも可能です。とはいえ、後見人や後見監督人に支払う報酬を考えると、後見期間が長期に及んだ場合はそれなりの費用が発生することがわかりますね。

■任意後見制度の申請方法と流れとは

【1】準備

まず、被後見人が後見人に指名したいと思う人を決めます。そして、後見人からの許諾を得ましょう。準備段階で一番大事なこと、それは将来の不安や心配ごとを明確にし、それに対してどんなサポートを望んでいるのか?をしっかりと後見人に伝えることです。

任意後見人というと家族をイメージする方もいらっしゃるかと思いますが、子どもに手間をかけさせたくないという思いから、士業やヘルパーなどの第三者に任せたいというケースもあります。そのため、必ずしも家族を後見人に選ぶ必要はありません。

【2】契約

サポート内容や報酬について合意に達したら、被後見人と後見人が「任意後見契約」を結びます。ある程度法的な信用を担保するために、被後見人と後見人が公証役場に一緒に出向いて公正証書を作成します。

任意後見契約の場合、そもそも被後見人には意思判断能力があることから、後見人の業務はしばらく発生しないことが一般的です。そのため、任意後見契約時に、意思判断能力に大きな問題が出るまでの財産管理や、見守りなどの委任契約も合わせて結ぶこともあります。任意後見契約はまさに「終活」になるので、なかには葬儀や散骨など死後に関することを契約で結ぶ方もいらっしゃいます。

そして、公正証書で結んだ任意後見契約は法務局にて登記されることになります。

【3】申立

実際に被後見人の意思判断能力が低下し、後見の必要が発生した場合、後見人は被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所にて、任意後見制度を利用する申し立てを実施します。家族を含め信頼できる人に任意後見を任せたとしても、家庭裁判所に任意後見監督人を選出してもらう必要があることを考えると、任意後見制度の申し立ては後見人ではなく任意後見監督人を選出してもらうための申し立てと言えるかもしれません。

【4】選任

申し立てを受け、家庭裁判所が任意後見監督人を選出します。ちなみに、任意後見監督人の報酬は、被後見人の財産状況などに応じて家庭裁判所が決定します。

【5】後見活動開始

任意後見契約に基づいて後見活動を開始します。法定後見制度と同様に、被後見人が死亡した場合には後見活動が終了となります。ただし、後見監督人により任意後見人が解任された場合や、任意後見人が破産した場合などは、被後見人が存命中であっても任意後見は終了となります。

いかがでしたでしょうか?今回は、任意後見制度について解説しました。ご自身の財産を守るためにも、意思判断能力がしっかりしているうちに、事前に対策を打っておくことが大切ですね。

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