綿花から育て、紡ぐコットンクリエイターの自宅アトリエ【我が家の暮らし #7】

自ら栽培した綿花で布ナプキンなど小物を製作するコットンクリエイター・桑名聖子さん。栽培から収穫、種をとり、紡いでいく……と工程の多いお仕事だけに、専用の工房をお持ちかと思いきや「生活のなかで仕事をしたいから」と、作業は専ら自宅でするのだそう。そんな桑名さんのご自宅におじゃましてきました。

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手探りで始めた綿花の栽培

富山市新庄町に暮らす桑名さんは、種から無農薬で育てて糸を紡ぎ、布に織り、縫製まですべてを手作業で行なっています。桑名さんが綿花の栽培を始めたのは2012年のこと。友人たちと畑を共同で借りることになり、自分はなにを植えるかを考えたとき、ふと思いついたのが“綿花”だったのだそう。

もともと手芸など手仕事が大好きだったという桑名さん。

「最初は、綿花から布になる工程を知りたいと思ったのがきっかけでした。ちょうどそのときが4月で、綿花の時期で『綿を植えよう!』と思い立ち、種を買って植えました」

綿花を育てるのは初めてだったという桑名さん。当時は、綿花の育てかたに関する本も少なく、ネットで検索しても情報を得ることができなかったため手探りでスタート。その年は、多くの綿花が虫にやられてしまい、実がひとつ、ふたつ育っただけでうまくいかなかったのだそう。

2年目に向けて古い文献をあさり、育たなかった原因を調べて試行錯誤を繰り返した結果、綿花を育てることに成功。たくさんの綿を収穫することができたのだそうです。そして翌年も、たくさんの綿花を育てることができました。

たくさん育った綿花。桑名さんは、これだけの量をひとりで収穫するのは大変だと思い、綿摘みのイベントを企画。綿摘みを手伝ってくれた人のなかに、染物と織物をやっている方がいて、その方から糸車を借りたのだそうです。桑名さんはそこから綿糸を紡ぐことも覚えていきました。

綿花の栽培にのめりこんでいくなかで、桑名さんは布についての知識も深めていきました。そのなかで、布が体に害を与えるケースがあることを知り、食べ物にこだわるように、衣類も安全にこだわりたいと、本格的に布作りをスタート。

現在は、春に種を撒き、秋に収穫。綿花から種を取り除き、糸車で紡いで糸にして、織りは知人が手がけますが、縫製は桑名さんが行っています。

無農薬、無化学肥料で綿を育てて自分の手で紡ぎ、織り上げられた布。桑名さんはこれを生理用布ナプキンへと仕立てていきます。

リビングと“ミシン部屋”がワークスペース

桑名さんのワークスペースは自宅に2ヶ所。リビングの一角と、桑名さんが“ミシン部屋”と呼ぶ2階の部屋です。「いただきものの足踏みミシンは重くて動かせないのでリビングに置いています」と桑名さん。ふだんは、電動ミシンやロックミシン、道具箱などは別の部屋のクローゼットにしまっているそうです。

足踏みミシンで縫製をする桑名さん。この日は、明日からのイベント出店に向けて布ナプキンづくりをしています。ミシン台の脇にある棚は、桑名さんの手作り。ネットでいろいろ調べ、どんな棚がいいのか考え、長さもビシッと測ってつくったというだけあって、ぴったりフィットしています。使い勝手もとても良さそうです。

ミシンを使う際は、すぐ後ろにあるダイニングテーブルに道具一式を移動させ、ワークスペースを確保します。

「手を伸ばせばものがとれるので便利です。夕飯はここで食べるので、そのとき道具はいったん、片付けます」

収穫した綿から紡ぐ作業もここで行います。紡ぎ車を使い、ひたすら紡いでいくのだそう。「チマチマとする作業がとても好きです。一度始めると止まらなくて、気づくとすごい肩が凝っていたりします(笑)」と桑名さん。

完成した布ナプキンやマスクなどは(市販の布も使います)、パッケージし、カゴにまとめていきます。

「こうしておくと、イベントなどに出店するときはこのまま持って行けるし、店先に並べるときもこのまま置いて販売できるので便利なんです」

かさばるものは2階のミシン部屋へ

2階の寝室の奥にある部屋が、桑名さんのもうひとつのワークスペース“ミシン部屋”です。もともとここは、洗濯を干すランドリー部屋でしたが、桑名さんがゆくゆくはこの部屋をもの作りする場所として使えるように確保していたそうです。

部屋に入ると左手に作業台があります。ここで作業をすることもあるのだそう。「ものすごく集中して作業をしたいときはここでやることもありますが、小さい犬がいるので、目の届くところで作業をしないといけないので、だいたいの作業はリビングですることが多いです」と桑名さん。

部屋のコーナーを上手に利用して、道具の収納スペースをつくっています。古い裁縫箱を解体して壁に取り付け、糸を並べたり、L型受け金具の上に板をのせ、縫製道具を置いています。

パッケージするときなどによく使うマスキングテープ。散らばらないように、そしてカットしやすいようにと、空き箱に穴を開けて棒を通し、マスキングテープがくるくる回るようにして“テープカッター”を自作。カッターの部分は、サランランプの箱についているカッターを剥がし、ここに貼り付けています。

作業台の下には縫製道具や書類などをしまっています。カラーボックスを横置きにし、ファイルや本などを整理。

作業台になにか付いている、と思い桑名さんに聞いたところ「これは、メジャーを貼り付けています。ここに貼っておくと、布を裁断するときなどに便利なんですよ」とのこと。なるほど! これはぜひ取り入れたいアイデアですね。

たくさんの布は、このミシン部屋で管理しています。棚に並べ、カバーをかけて窓からの日差しで焼けないようにします。この棚も桑名さんの自作。スノコを組み合わせてつくったそうです。壁が珪藻土なので、擦れて粉で布が汚れるのを防ぐために、スノコに布を貼って対策をしています。

棚の下段には、むかし着物などを入れていたのではないかという、いただきものの衣装箱を置き、そこに道具や布などを収納しています。

部屋の奥から、布団屋さんで綿打ちしてもらったという綿布を出して来て見せてくれました。「いい香りがしますよ」と桑名さん。かがせてもらうと、青い草木の香りがほんのりしました。

それにしても……これだけ綿や布、道具がたくさんあると、家で作業をするには少々しんどいのではないかと思い、桑名さんに「どこかに工房をつくって、そこに通って作業をするということは考えないのですか?」と尋ねてみました。すると桑名さんからこんな答えが返ってきました。

「日常の延長というか、家のことをしながら隙間の時間で、家族をどこかに感じながら作業をするのが自分には合っているのだと思います」と。

桑名さんは以前に生死をさまようほどの大きなケガをしたことがあり、そのときを境に、自分のなかで大切にすべきことの優先順位が大きく変わったのだそうです。工房を構え、もっと大きく仕事をしたいという想いがないわけではないけれど、桑名さんにとっていちばん大切なのは“家族”。

「家の人たちには『ミシンがじゃまだ』って言われていますけどね」と微笑みながら糸を紡ぐ桑名さんの視線の先には、リビングで思い思いにくつろいでいる家族の姿がありました。

●取材協力 綿工房Sentoko

●写真・文 忍章子


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