【命のてがみ #9】孤独と葛藤、愛と感動。私と夫と娘の「三人暮らし」の始まり

フォトグラファーのHAL KUZUYAさんが、出産から子育て中に感じた想いを綴る「命のてがみ」。連載9回目をお届けします。「三人」の家族の生活がスタートすると、慣れない子育てに葛藤と、孤独、戸惑いが生じます。SNSの世界が眩しく見えたり。新米お母さん、どう乗り越えるのでしょう?

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写真提供:HAL KUZUYA

何ヶ月分にも、何年分にも感じる長い長い二ヶ月
こんなにも、
家から出なかったことも、
こんなにも、近しい存在が全てだった事もない

それでも日々は目まぐるしく、
濃厚で
驚きと愛と感動に満ちていて
世界は深いんだと、初めて知った

夫との三人暮らしは、まだ体力の完全ではない私には、不安だらけのスタートだった

不安だということを、とにかく伝えるしかない
体調も悪いということを、一生懸命アピールするしかない

頑張らなくていい
頑張るのは、娘に対してだけでいい

そう決めて、それでもうまくいかなくて、何度か爆発
イクメン1日にしてならず
夫も慣れない家事と育児と、年齢的に頑張りたい仕事の狭間でバランスが取れない様子

仕事に少しづつ復帰した私自身も
予想よりもない体力と、クリアにならない頭を抱え
うまく立ち回れないで失敗して
世の中はそんなフォローはしてくれないし
気遣いすらないし
愚痴を言うわけにもいかず、ただただ必死で耐えてやり過ごす

いつだって、三人でいるのが幸せだね
そう言い続けて、なんとかこの危機を乗り越えなば
娘にも、私にも、今はここしかない
この場所が愛と平和に満ちていなければならないのです

世の中の、多分日本で子供を産んで育てている女性が
きっとみんな持っているであろう、孤独と葛藤
専業主婦であれば、世の中かから取り残されたような、疎外感
一人ぼっちでどうしたら良いのかわからない
でも、外に出る勇気も気力もない
大なり小なり、そんな孤独を感じているのではないかなと思う

今まで働いてきた女性なら、仲間たちに置いていかれたような不安
社会復帰できるのかと言う焦り
今までのようにクリアに働かない思考回路と、湧いてこない気力に
自分が自分で無くなったような、絶望のようなものを
感じることは一度や二度ではないと思う

ホルモンのせいなのか、日本のこの育児システムのせいなのか
社会のせいなのか、自分のせいなのか
それすらもわからない

こんなにも幸せで、満ち足りて
何よりも大切な存在を胸に抱きながらも
頭のどこかを不安がよぎり、
心のどこかを孤独が支配する

今手に持っている幸せだけを
きちんと見つめて、味わって
それで満足できる
その上で少しの高みを目指して頑張る

しなければならないことは明確だ

インスタを見ても、フェイスブックを見ても
なんだかみんな幸せそうで
たくさんのものを持っていて
いろんな場所に出かけて
たくさんのキラキラした友人と
きらびやかな時を過ごしているように見える

そんなものが、とても羨ましく思える時もあるけれど
本当にそうなんだろうか?

あの、タイムライン上の人たちが、なんの悩みもなくポジティブに
毎日を華やかに生きているのだろうか

いや、そんなことすらどうでも良い

私の日々は、今ここにある
腕の中の小さな命と
居心地の良部屋と
幸せすぎる時間だ

胸を張って迷いもなく
そう思って
皆が過ごせるようになるといい

私も含め世の中の
新米お母さんたち
世界は深いんです

たとえ今は狭く感じても
頭上には広大な宇宙が広がっていて
手の中にも大切な小宇宙がいます
そして、愛は深いんです

今は、一瞬で通り過ぎる
切なすぎるほど愛おしい時間

●文、写真 HAL KUZUYA
フォトグラファー。東京と京都に拠点を置き、主にファッション、広告の分野で活動中。

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