これひとつで味わいが変わる!超料理道具専門店〔飯田屋〕で聞く《おろし器》の選び方

そうめんに冷奴。夏になると恋しくなるのが、さっぱりとしてのどごしのよい食べ物ですよね。そして、欠かせないのがショウガやワサビなどの薬味の存在です。柑橘類を想わせる爽やかな香りと、ピリリとした辛味が心地よいショウガ、豊かな香りとツーンとした鼻にくる辛さがクセになるワサビ。理想的な“薬味”にするには、おろし器選びが重要なのです。そこで今回は、合羽橋にある超料理道具専門店〔飯田屋〕の6代目社長にして、おろし器のスペシャリスト、飯田結太さんにお話を聞きました。

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おろし器だけで250もの種類を取り扱っています!

〔飯田屋〕があるのは、上野と浅草の中間、食に関連した道具を扱う専門店が集まる、かっぱ橋道具街の中。合羽橋交差点のすぐそばです。お店の外には業務用のずんどう鍋や、ウォーターピッチャー、また家庭でも使える季節もののガラス製品などが並び、店内には所せましと、さまざまな料理道具が用途ごとに分類して陳列されています。

もちろんおろし器コーナーも。一面すべて、さまざまな種類のおろし金で埋め尽くされています。

じっくりとお話を聞くために〔飯田屋〕の2階に上がると、テーブルの上に用意されていたのはたくさんのおろし金、おろし金、おろし金……! こんなにあるのかとおどろきました。

聞けば、店内にある250点のうち、ここに並べることができたのはその半分にも満たない、とのこと。どんな違いがあるのでしょうか。

知っておきたい、おろし器の基礎知識

まず、器具によって、大根おろしには次のような食感が生まれます。

1. フワフワ
2. フワシャキ
3. シャキフワ
4. シャキシャキ
5. ジャキジャキ

口の中に入れて、すぐに溶けてしまうような食感を持っているのが「フワフワ」なおろし。逆に、おろすというより大根を削ったような状態になり、繊維がしっかりと残っていて歯ごたえがあるおろしは「ジャキジャキ」と表現しています。

その中間にあるのが、フワフワ感の強いものから「フワシャキ」「シャキフワ」「シャキシャキ」。飯田さんは「フワッとした感触が強いか、シャキッとした感触が強いかの違いです」と教えてくれました。

「フワフワ」と「シャキシャキ」どちらかいいのか、という質問には「それぞれ好みがあるし、合わせる料理によっても違います」とのこと。では、どうすれば期待どおりのおろしを作れるのでしょうか。

まず、おろし器の素材に注目してみましょう。「おろし器には7つの種類がある」と飯田さん。その種類と特徴には、次のようなものがあります。

●天然素材(主に竹):北関東の郷土料理「しもつかれ」などに使われる「鬼おろし」づくりに使うものなど

●プラスチック:安価で手に入りやすい。使っていうるうちに目(トゲの部分)がすり減ってしまうため、ひんぱんに買い換える必要が生じる

●セラミック:非常に硬いため、長く使える。硬すぎる目が折れないように先端を丸めているためおろすのに力が必要。また素材を押しつぶしてしまうため、水っぽくなってしまう

●アルミ:比較的安価。素材自体が柔らかいため、使っているうちに目が寝てしまう。プラスチック製同様、短いスパンでの買い替えが必要になる

●ステンレス:剛性が高く、長持ち。業務用途が多い

●銅:柔らかすぎず硬すぎないのでおろし金にとって最適。水分がほとんど出ない、素材そのものの味を残したおろしが作れる

●チタン:現在のところ一社しか製造メーカーがないため、ほとんど流通しておらず、珍しい

次に関係してくるのが「目」。尖り方が同じでも、おろし器を正面に見て、目が斜めについていればシャキシャキ感の強いものが、真っ直ぐであればフワフワな食感の大根おろしができるんだそうです。素人では判断しづらい目の粗さより、こちらのほうがわかりやすくていいですね。

ちなみに、最高にフワフワな大根おろしを作れるのは《楽楽オロシてみま専科 極み》というおろし器。飯田さんも日常的に使っているそうです。

「大根も、山芋もフワッフワにおろせます。アツアツのご飯に、これで作った大根おろしを載せ、醤油を垂らしただけで、ごちそうになります。硬いパルミジャーノチーズも、これでおろせば粉雪みたいにフワッフワな仕上がりに。合わせる料理の食感に影響を与えず、チーズのコクをプラスできますよ」(飯田さん)

おろす素材ごとに道具を変えたい!

大根以外にも、ショウガやワサビなど、おろしたいものはいろいろありますね。それぞれ、どんなおろし器を使えばいいのでしょうか。

飯田さんは「必ずしも、これが正解、というものはないのですが」と前置きした上で「ショウガには《マイクロプレイン プレミアムゼスター》を、ワサビには《鮫皮おろし 長次郎》ですね」と、おすすめを教えてくれました。

《マイクロプレイン プレミアムゼスター》の目は、ちょっと見慣れない扇形をしています。飯田さんの言葉を借りれば「ひとつひとつが小さな包丁」のよう。通常のおろし器でショウガをおろすと、繊維がショウガ本体に残ったり、おろし器に引っかかったりしますよね。でも、《マイクロプレイン プレミアムゼスター》なら、包丁のような目が繊維を断ち切ってくれるため、トロトロ食感のショウガおろしができるんだそう。

「香り高く、舌にのせるとスッと溶けるショウガおろしができます。ジンジャーエールを手作りするなら、これが最高ですね」と飯田さん。「ただ、冷奴の付けあわせだと、このスッと溶けてしまうことが短所になるんです。醤油をかけたらいっぺんに溶けてお皿に落ちてしまいますから」とのこと。

また、ワサビは《鮫皮おろし 長次郎》でおろすことによって、空気がたくさん混ざり、香り高く、辛味の少ないワサビおろしができるのだとか。辛味より香りを重視したい刺し身に合わせるのに良いそうです。逆に、辛味をより強く出したい場合は、金物のおろし器でおろすのがベストとのこと。

「この素材にはこれ」と即答してくれる飯田さんが、おろし器の研究をはじめたはの今から9年前、入社後すぐのことだったとか。

「『やわらかい食感の出るおろし器はないか』と板前をやっているお客さまに聞かれたんです。当時、店にあった大・中・小のおろし器を試してみたけど、どれも柔らかく仕上がらない。メーカーに問い合わせても『わからない』と言われてしまったんです」(飯田さん)

誰もわからないのなら、自分で研究しよう、と数種類取り寄せたところ、それぞれ仕上がりに違いがあることが判明。そして、ついに飯田さんも愛用することになる、究極のフワフワ大根おろしを作れるおろし器《楽楽オロシてみま専科 極み》を見つけることができたのだそうです。

「おろし器なのに、5000円。おろし器界の〔ベンツ〕ですよね。先の板前さんに『見つけました!』と連絡したところ、即ご購入されました」(飯田さん)

そして、それからはおろし器の奥深さに魅了され、数百種類を取り寄せることに。10万円もするおろし器も含め、店頭にある250種類すべてを試したというからおどろきです。

おろし器による味の違いを実食してみました!

本当におろし器でそんなに変わるものなのか、大根とショウガを、いわゆる「普通の」おろし器と、飯田さんおすすめの「最適な」おろし器でおろしてもらって、見た目と食感の違いを比べてみることにしましたよ♪

まずは大根を「シャキシャキ」系のおろし器でおろしてもらいます。

できあがりは、ものすごく細い千切りのような雰囲気。食べると本当にシャキシャキしていて、大根の素材の主張が強く伝わってきます。

次に、究極のフワフワ系おろし器《楽楽オロシてみま専科 極み》でおろしてもらいました。

できあがりは本当にフワフワ。泡のあることから、いくらか空気を含んでいることがわかります。また、口当たりもやさしく、大根特有の辛味も少なく、まるでスムージーのようでした。おろし面や底面積が大きくどっしりしていることから、おろし器を押さえる力も、おろす力もあまりかけていないように見えたのが印象的でした。

次にショウガをおろしてもらいました。大根がシャキシャキになるおろし器でおろします。

おろしているときから気になっていた繊維が、おろし終わるとさらに主張しているのがわかります。全く切れていませんね。当然、食べたら口の中に繊維が残ります。

そして、飯田さんおすすめの《マイクロプレイン プレミアムゼスター》でもおろしてもらいました。

できあがったショウガおろしは、繊維が短くカットされているからか、トロトロしています。少量すくって口に運ぶと、なんとも言えないよい香りがし、口に入れると、さっと溶けていきました。これまで、ショウガおろしといえば、口の中に繊維が残りがちで「そのまま飲み込もうか、そっと取り出そうか?」という悩みがつきものだっただけに、こんな口どけのショウガおろしがあるのか、と軽く衝撃を受けてしまいました。

おろす素材や合わせる食材、また好みによっても選ぶおろし器は変わってくる、と飯田さんは言います。どれを選べばわからなくなったら「ぜひ相談してほしい」とのこと。

「プロじゃなくても、いいんですか?」との問いに「シェフも主婦も、大将もお父さんも、料理をする人はみんな料理人。料理人の期待に応えるのが〔飯田屋〕です」と頼もしく答えてくれました。

飯田さんが、「生まれ変わってもこの仕事をして、研究をしていきたい」というほど奥が深いおろし器。今回のお話を参考に、素材に合ったおろし器を新調してみるのはいかがでしょうか。

【飯田屋】
●住所:東京都台東区西浅草2-21-6
●電話:03-3842-3757
●営業時間:月~土曜10:00~19:00、日曜・祝日10:00~18:00
●定休日:なし

●ライター・写真 渡辺まりか


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