いつ襲ってくるか分からない水害!自動車保険の補償はどうなる?

地球温暖化の影響か、台風の大型化や強力化が進むなどして毎年のように大規模な水害を引き起こしています。最近も西日本を未曽有の大水害が襲ったばかりですね。濁流に家や車が流される映像をニュースで見たりしました。またもっと日常的なところでも、線路のガード下で停車中、ゲリラ豪雨に襲われて車が水没といったニュースも耳にします。このような天災による水害時、車が流されたり水没した場合、自動車保険で補償してもらえるのでしょうか? 今回の記事では、水害のときに自動車保険で補償はしてもらえるのかなど、水害と自動車保険の関係について解説します。いつ水害が自分の身に降りかかるかわからない今、必読の内容です。

本サービス内ではアフィリエイト広告を利用しています

  • 2248
  • 9
  • 0
  • いいね
  • クリップ

自動車保険で水害時に補償の対象となるのは?

自動車保険は、対人・対物賠償保険、車両保険、人身傷害保険など、いくつもの保険から構成されますが、水害の時に補償対象となるのは以下の3種類の保険です。

車両保険

車両保険とは契約車両が事故や災害で壊れてしまった場合、その修理費を補償する保険です。契約時に保険金額を設定しておくと、その範囲内の金額が支払われます。

車両保険には一般的な事故の場合は全て補償される「一般型(フルカバータイプ)」と、自分で電柱にぶつかった場合や、車以外との接触(自転車など)、相手の分からない当て逃げなどは補償されない「エコノミー型(車対車+A)」がありますが、水害の場合はどちらも補償対象となっています。

人身傷害保険

人身傷害保険とは、車に乗っている間に自分や同乗者が死傷した場合、死亡保障や治療費、休業損害を補償する保険です。通常自動車保険には責任割合という考え方が適用され、相手が8割、自分が2割悪いという責任割合だと、治療費が100万円かかっても、80万円しかもらえません。

しかし人身傷害保険の場合、実際にかかった費用を全額受け取ることができます。

搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険は、車に乗っていた時限定の「入院保険」と考えると分かりやすいかと思います。

人身傷害保険が実際にかかった費用を支払うのに対し、搭乗者傷害保険の場合は「入院日額1万円」「骨折の場合は10万円」といったように、あらかじめ決められた額が支払われます。

対人・対物賠償保険は適用されない

通常の事故の際、車で人にぶつかってケガをさせたり、家屋や建造物にぶつかって壊してしまった場合などは、対人・対物賠償保険で損害賠償相当額が補償されます。

しかし、水害で流された車が人にぶつかってケガをさせたり、他の車や家屋にぶつかった時の相手方への賠償は、自動車保険では補償されません。なぜならこのような場合はそもそも法律上、賠償責任が発生しないと考えられているからです。

災害の原因によって同じ水害でも補償が効く場合、効かない場合がある

●台風や高潮による水没、ゲリラ豪雨は補償される
台風での河川の氾濫や高潮による水没、ゲリラ豪雨による水没などは自動車保険で補償されます。

●地震が原因となる津波による水害は補償の対象外
地震が原因となる津波による水害は規模が大きくなる傾向にあります。例えば東日本大震災のような場合、すべての契約者の補償をしていると、保険会社が資金を払い尽くしてしまい、経営が成り立たなくなってしまう可能性があります。

そのため地震や火山の噴火などを原因とする大災害については、自動車保険では補償されません。

地震が原因の場合も補償が必要な場合は特約で対応する

東日本大震災をきっかけに、地震やそれを原因とする津波などによって車両が被害を受けた場合、自動車保険でも補償を可能とするために、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」という特約を多くの保険会社が用意するようになりました。

保険金が支払われるのは「全損」とみなされた時のみ

ほとんどの保険会社ではこの特約で保険金が支払われるのは「全損」のときのみです。

ここでいう全損とは、津波で車が流されてしまって、埋没して見つからない場合や車のほとんどが水没してしまい、再び車を使用することが困難な場合などを指します。

ほとんどの保険会社では補償金額は上限50万円

ほとんどの保険会社では、この特約を付けて津波などで車が全損になっても、補償される金額の上限は「50万円」です。これは先ほど説明したように、地震による津波のような大災害の場合、全額を補償していると保険会社の経営が危うくなってしまうという事情があります。そのため補償というより「お見舞金」の性格が強い特約となっています。

エコノミー型の車両保険には特約が付けられない場合がある

車両保険が一般型(フルカバータイプ)ではなく、自損事故などの場合補償の効かないエコノミー型(限定タイプ)の場合、この特約が付けられないとしている保険会社も多く見られます。

これらの対応をみると、東日本大震災があったため商品として出さざるを得なかったものの、(財務的な事情で)あまり積極的には販売しなくないことがうかがい知れます。

例えばどんな時に補償されるのか

・ガード下の冠水で水没した場合
・機械式駐車場ごと水没してしまった場合 など

水害時、自動車保険で補償される内容

車両保険の場合

水没してしまったり土砂に埋まってしまった場合など、車の損傷が著しい時は、「全損」扱いとなります。

「全損」とは?

全損とは損害額や修理費が車両保険の補償金額を超えてしまうことをいいます。

全損の場合は免責金額が引かれることなく、車両保険の補償額が全額支払われますが、修理費用や新車購入費が補償額を超えていても、それ以上は支払われません。

全損以外の場合

全損以外の場合は実際にかかった修理代を限度として補償されます。

人身傷害保険・搭乗者傷害保険の場合

運転中に車が水没し、逃げるときにケガをしてしまったような場合、人身傷害保険・搭乗者傷害保険が適用されます。

人身傷害保険であれば実際にかかった入院費、治療費、入院などで休んだ期間の休業補償などが補償されます。

搭乗者傷害保険では入院・手術代金などあらかじめ決められた額が支払われます。

補償された場合次年度の等級はどうなるか

災害時に保険で補償を受けられるのはありがたいのですが、気になるのは自動車保険の割引制度であるノンフリート等級です。

通常自動車事故などで保険を使用すると、次年度は3等級下がってしまいます。等級を上げる時は1年に1等級ずつしか上がりませんから、3等級のダウンはかなりきついペナルティです。ただ水害という自然災害によるものなので、ペナルティも最小限となっています。

・車両保険……翌年のノンフリート等級1等級ダウン、事故あり係数適用期間が1年加算される
・人身傷害保険・搭乗者傷害保険……ノーカウント事故として扱われ、次年度も等級は下がらない(通常と同様なので逆に1等級上がる)

車は自動車保険で補償されるのでまずは命を大切に!

水害のとき、濁流に巻き込まれて車が動かなくなっても、「車のことが気になって」といってなかなか脱出せず、それで命を落とす人がいるそうです。今回見てきたとおり、車は自動車保険で補償されます。またたとえ補償されないとしても、車はまた購入すればいいだけです。

車の備えは保険に任せて、有事の際は自分や家族の命を最優先にできるよう準備しておきましょう。

プロフィール

杉浦 直樹
AFP FP2級
元歌舞伎役者のファイナンシャルプランナー。以前ソニー生命に勤務していたため保険商品に強い。

JSA認定ソムリエの資格も持つ

  • 2248
  • 9
  • いいね
  • クリップ
コンテンツを違反報告する

あなたにおすすめ

関連キーワード

関連アイデア

カテゴリ

このアイデアを投稿したユーザー

暮らしに関するお役立ち情報お届けします。節約や子育て術、家事全般、お掃除や収納の詳しいテクニック、ペットとの快適な暮らしのヒントなど、生活に役立つ情報を見つけて…

LIMIA 暮らしのお役立ち情報部さんの他のアイデア

生活の知恵のデイリーランキング

おすすめのアイデア