生命保険の受取人変更は必要?税金で損しないために知っておきたいこと

「ご自身の生命保険の受取人は誰ですか」と聞かれたら、即答できますか? ほとんどの場合は配偶者やお子さんにされているとは思いますが、加入する際はあまり意識していなかったのではないでしょうか。ですが、独身時代に知人のお付き合いなどで加入したような場合、結婚後も見直しや変更をしておらず「実は受取人が父親になっていた」というケースもまた多いのです。生命保険は万一のときに、残された家族の生活のためにかけるもの。いざというときに奥さんやお子さんにお金が入らなかった、とならないように、受取人の変更方法や、受取人による税金の違いなどを解説していきたいと思います。

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生命保険の受取人とは?

まず、生命保険の用語を改めて確認しておきましょう。

●契約者:生命保険の名義人で、保険料を支払う人
●被保険者:保険をかけられる対象の人。契約者と被保険者が同じ場合がほとんどだが、夫が契約者で妻が被保険者などのパターンも多い
●保険金受取人:被保険者が死亡した際に保険金を受け取る人。満期以前に生命保険の解約をする場合の解約返戻金は、受取人ではなく契約者が受け取ります。

受取人は誰でもいいというわけではなく、指定できる人が決まっています。保険金受取人になれる人は、配偶者と二親等以内の血族です。二親等以内の血族とは、親・子ども・兄弟姉妹・祖父母・孫のことを指します。

例外として、二親等以内の血族がいないときは、甥や姪など三親等血族でも可能な場合がありますが、保険会社によって規定が違うので確認が必要です。また、子どもが二人いるときに「一人につき50%ずつ」、「長男と次男で7:3になるように」など割合を指定して、受取人を複数人にすることもできます。

保険会社にもよりますが、内縁関係のパートナーや婚約者も受取人に指定することが可能です。その最低限の条件は以下です。

・お互い独身であること
・2年以上生計を共に(同居)していること
・婚約の場合は一定期間内に結婚の予定があること

このように、受取人の指定には条件や決まりがあり、他人は指定できないようになっています。

どんなときに生命保険の受取人変更が必要になるの?

では、具体的にはどのような状況下で受取人の変更は必要になるのでしょうか。

例えば結婚したとき、今まで親を受取人にしていた場合は配偶者に変更した方がいいでしょう。逆に離婚したときは、それまで配偶者を受取人にしていた場合、子ども本人に変更した方がいいでしょう。子どもが未成年の場合は、面倒をみてもらえる親や兄弟などにしておいた方がいいですね。

他には受取人が死亡した場合、受取人の変更を忘れたままでいると、被保険者が死亡した際に保険金は法定相続人が受け取ることになり、トラブルの元になります。

保険金の受け取りに関してはやはりお金に関することですので、トラブルにならないようにきちんと必要な場面で変更するようにしましょう。

生命保険の受取人変更の手順に関して

次に受取人変更の手順についてみていきます。

まず、受取人を変更するには被保険者の同意が必要です。契約者=被保険者の場合は問題ないですが、そうでない場合は事前に被保険者の了承をとっておいてください。

【受取人変更に必要なもの】
・名義変更請求書
・契約者の本人確認書類
・印鑑
・保険証券

手続き自体は必要な書類を提出するだけで成立します。いざというときに保険金の請求がスムーズにいくように、新しく指定する受取人にも報告しておく方がいいですね。

受取人変更の際の注意点は?

受取人変更の際の注意点をまとめてみましょう。

・受取人指定できるのは二親等以内の血族
・受取人の変更には被保険者の同意が必要
・受取人の変更によって受け取りの際の税金の種類が変わる

1つめと2つめについては、上記で説明した通りです。では3つめの「受取人によって税金の種類が変わる」はいったいどういうことなのでしょうか。

●受取人によって税金の種類が変わる点に注意
保険金は受け取りの際に誰が受け取るのかによって、「相続税」「所得税」「贈与税」のいずれかがかかってきます。

①相続税になる場合
生命保険金受け取りでもっとも多いパターンが相続税です。
・契約者:夫(妻) 被保険者:夫(妻) 受取人:妻(夫)
・契約者:親 被保険者:親 受取人:子
・契約者:子 被保険者:子 受取人:親

生命保険金の相続税では、控除や軽減措置が受けられるため、他の税制より優遇されています。

生命保険非課税制度:法定相続人が受取人の場合、「500万円×相続人の人数分」が非課税になります。

相続税基礎控除:上記の非課税分以上の保険金がある場合も、全ての遺産から「3,000万円+600万円×法定相続人の人数分」を控除することができます。

配偶者の税額軽減制度:配偶者に相続する場合は1億6,000万円までが非課税となります。

これらの制度を使えば、保険金の金額によってはすべて非課税にすることもできます。

②所得税になる場合
保険料を負担していた人が保険金を受け取る場合は、所得税扱いになります。
・契約者:夫 被保険者:妻 受取人:夫
・契約者:親 被保険者:子 受取人:親
・契約者:子 被保険者:親 受取人:子

受取人の所得とみなされるので、他の所得と合算して税額を計算されます。

ですがこちらも軽減措置があり、「(保険金額−保険料総額−50万円)÷2」で計算されます。つまり、受け取る保険金から払い込んだ保険料を差し引いた額が50万円以内である場合は、税金はかからないということです。

③贈与税になる場合
契約者:夫 被保険者:妻 受取人:子

このような場合には、夫から子への贈与とみなされ贈与税の対象となります。贈与税は他の税制と比べて基礎控除額が非常に少なく、そのため多額の税金がかかる可能性があります。基礎控除は1年間で110万円までで、これを超えると税金がかかり、また受け取る金額が大きくなるほど税率も高くなります。

【基礎控除後の課税対象額】
・200万円以下:税率10%(控除なし)
・400万円以下:税率15%(10万円控除)
・600万円以下:税率20%(30万円控除)
・1,000万円以下:税率30%(90万円控除)
・1,500万円以下:税率40%(190万円控除)
・3,000万円以下:税率45%(265万円控除)
・4,500万円以下:税率50%(415万円控除)
・4,500万円超:税率55%(640万円控除)

生命保険の保険金は数千万円という高額な場合が多いので、贈与税の対象になってしまうと非常に多額の税金を納めなければなりません。

このような税制の違いを知らずに受取人を指定すると、思わぬ税金の負担を強いられることになりかねませんので、受取人を変更する際は実際に受け取る際のこともしっかり考えたうえで変更する必要がありますね。

思わぬ税金で損しないためにも、受取人についてもきちんと確認を

ライフステージの変わり目などに保障内容について見直しをすることは一般的になってきましたが、保険金の受取人については意外と見過ごされていることが多いものです。また、安易に変更することで、いざ受け取りの際に予想外に高額な税金の負担がかかってしまった! とならないように注意が必要です。

税金の話となると難しく思えるかもしれませんが、保険の見直し窓口などでファイナンシャルプランナーに相談すれば、アドバイスをもらえるので安心して変更できるのではないでしょうか。ぜひ検討してみてください。

■プロフィール

清水みちよ
学生時代にアジア滞在中、現地で感染症を患い生死をさまよう。奇跡的に生還するも保険の大切さを痛感し、卒業後は保険の代理店窓口等で働く。趣味は懲りずにアジアの発展途上国を訪れて刺激をもらうこと。犬好きのアラフォー女子。

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