公的医療保険で扶養に入るメリットってなに?医療保険と扶養の関係

会社に勤めている人は企業や団体の健康保険組合、自営業の人は国民健康保険組合を通じて「公的医療保険」に加入することが義務付けられています。これは日本が「国民皆保険制度」を取っているためです。

ところで現在働いていない人はどうすればいいのでしょうか。自分で国民健康保険に加入するという手段もありますが、保険料が負担になります。もし保険料が心配ならば「扶養」に入れるかを確認してください。家族の扶養に入れば家計負担を軽くすることも可能です。今回は、よく聞くけれど知らないことも多い「医療保険と扶養の関係」について解説していきます。

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扶養に入れるのはどういう人?

まず、「扶養」という制度があるのは民間企業の従業員が入る「健康保険組合」や「協会けんぽ」、公務員が入る「共済組合」です。自営業者が入る国民健康保険には扶養する・されるという仕組みがないことを覚えておきましょう。

また「扶養に入る」という言葉はよく使われていますが、いくつかの意味があることをご存知でしょうか。「税法上の扶養」と「社会保険での扶養」です。それぞれ適用条件が違いますが、今回は公的医療保険に関係する社会保険での扶養について見ていきます。

社会保険上の扶養、誰が入れるの?

被保険者の家族ならば扶養に入れるのではないとも思われていますが、認められるにはさまざまな条件があります。まずは以下に該当するかを確認しましょう。

●同居・別居に関わらず扶養が認められる人
●配偶者(内縁を含む)
●子(養子)
●孫
●兄弟姉妹
●父母(養父母)や祖父母

●同居が条件で扶養が認められる人
●義父母など三親等内の親族(上記以外)
●内縁の配偶者の父母や子ども
●内縁の配偶者が亡くなった後の父母や子ども

同居家族でも75歳以上の人は扶養を認められません。その理由ですが、75歳になれば後期高齢者医療制度の対象になるためです。

また健康保険組合によっては18歳以上を働ける年齢だとみなして扶養を認めていない場合があります。子どもが学生で18歳を過ぎても扶養に入れたいときは、在学証明など身分を証明できる書類の提出を求める健康保険組合もあるので注意が必要です。

所得と扶養、その関係とは?

扶養に入るためは被保険者との関係以外にも条件があります。それは所得金額です。扶養に入りたいのならば収入が年間130万円までという制限があります。(60歳以上の人、または障害を持っている人は180万円)

給与所得の場合は月額10万8,333円以下でないといけません。さらに給与だけでなく雇用保険の失業給付金、出産手当金、年金等の受給でも収入額制限はあるので気を付けましょう。

扶養される人の収入は、月額はもちろん、日額でも判断されることがあります。最近仕事を始めた、失業給付をもらい始めたという人でも気にかけておいてください。

扶養に入ることの利点と欠点

扶養に入ることのメリットとは?

社会保険の扶養に入るとメリットは多くあります。まずは金銭負担なしに公的医療保険の保険証を持てることです。企業の健康保険組合・協会けんぽ、共済組合は組合員の保険料を補助しないといけないという決まりがあります。そのため組合員の被扶養者もその恩恵にあずかれるのです。

また健康保険組合によっては、組合員だけでなく家族にも健康診断や人間ドック受診をすすめるところがあります。受診費用の補助を出す組合もありますので、該当するならばぜひ利用してください。

扶養に入ることにデメリットはある?

扶養に入ることの利点をお伝えしましたが、反対にデメリットはあるのでしょうか。考えられるものとしては「扶養のために年収を130万円以下に抑える必要がある」という点です。130万円を少しでも超えると扶養から外れ、自分で国民健康保険組合、もしくは勤め先の健康保険組合・協会けんぽに加入しないといけません。収入によっては手取り金額が少なくなることもあります。

そして医療保険とは少々ずれますが、扶養されていると将来の年金受取額が少なくなるという点も見逃せません。社会保険の被扶養者は国民年金の第3号被保険者という扱いになります。社会保険の被保険者(この場合は扶養している人)は国民年金第2号被保険者、すなわち厚生年金受給者となりますので、将来の年金額に差が出てしまいます。

年齢等から考えて、扶養される人の方が長生きする可能性が高いならば、老後や残された場合の生活資金のことも考えておく必要があるでしょう。

扶養に入れない場合もある? こんな人は要注意!

年齢や収入が条件を満たしていても扶養に入れないこともあります。それは扶養される人が起業した場合です。

健康保険組合によっては開業届を提出したら、収入とは無関係に扶養から外すところもあります。

また起業時点では扶養を外さないとしても、収入が一定金額を超えたら外す、経費を含めての収入で判断して外す、という組合もあります。

起業後の扶養の扱いは各健康保険組合で違います。もし起業(開業届の提出)を考えているのならば事前に被保険者の勤め先で確認しておきましょ

税法上の扶養のことも把握しておこう


最後に、社会保険の扶養と間違われがちな「税法上の扶養」についても触れておきます。

税法上の扶養とは扶養者の税金が控除されるというものです。原則として扶養者と被扶養者の「同居」が条件です。ただし子どもが学生で1人暮らしをしている場合などはその限りではありません。

別の条件としては「扶養される人の給与収入が少額」というものもあります。具体的には年間の合計所得金額が38万円以下です(※収入が給与のみの場合は103万円以下)。

ところで、上記の扶養ですが、「配偶者以外」に適用されるものです。配偶者の控除については2018年1月から変更がありましたので念のために記載します。

配偶者控除が適用される配偶者の年収が103万円から150万円に変更となりました。ですがこの控除を受けるには世帯主の年収が1,120万円以下である必要があります。配偶者の年収が上がらなくても、世帯主の年収が上がると控除金額も減っていきます。控除対象になるかどうかは配偶者の年収だけでなく世帯主の年収も確認してください。

扶養条件をよく理解しておこう

扶養に入れば社会保険・公的医療保険をお得に利用することができます。被扶養者が自分で保険料を払わなくていいのは経済的にも非常に助かるのではないでしょうか。また税法上の扶養もあわせて知っておくことで節税にも役立ちます。

これから仕事を探したい、収入を増やしたいと考えているのならば、扶養条件のことも考慮に入れておくことをおすすめします

プロフィール

田尻宏子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年からライター活動中。以前は複数の金融機関で勤務。その頃培った知識を元に「よく分かる金融情報」をお届けしています。

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