【専門家監修】地震保険は液状化現象で建物に損害が発生したときに適用される?

東日本大震災では、埋め立て地を周辺に液状化現象が発生しました。それによって建物が傾いてしまうなどの被害を受けた方も多くいます。建物が倒壊や半壊はしなくても、傾いてしまってはその後住めなくなってしまいますよね。住宅ローンの残債の返済はまだ残っている場合もあるかもしれません。その場合、地震保険は適用されるのでしょうか?地震保険は、基本的に地震や地震による火災・津波などの被害が保険金支払いの対象で、特に液状化については触れていません。液状化による建物損害に保険が適用されないとなると、その後の生活はとても不安ですよね。今回は液状化による地震保険について解説します。

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液状化現象とは? 地震保険と液状化現象

液状化現象とは、地震の揺れによって地盤が液体状態になってしまうことをいいます。地盤がもともと固い地域では、液状化現象は起こる可能性は極めて低いです。建物を支えている土地が液状化すると、土台がゆるくなり、建物を支える力がなくなってしまいます。これによって建物が傾いてしまったり、支えきれず沈下してしまいます。

では、どのような土地で起こりやすいのでしょうか? 液状化しやすい土地の条件を見てみましょう。

液状化しやすい土地の3つの条件

地盤の液状化は以下の3つの条件が揃ったところで起こる可能性が高いです。
1. 砂が堆積していて、砂地盤であること
2. その砂が締め固まっていないこと
3. その砂がゆるくなっていること

液状化しやすい土地とは

●新しい土地
新しく開発されている土地は、液状化が起こりやすい可能性があります。

●昔、沼や池だった土地
もともと沼や池だった土地は、地盤の締め固まり具合によっては液状化が発生する可能性があります。

●砂鉄や砂利の採掘跡地の埋め戻し地盤
砂鉄の採掘が行われていた場所は、掘り起こした穴を周囲の土や砂で埋め戻していました。そのため地盤がゆるくなってしまっているところがあります。

●大河川の沿岸
川沿いの土地は全体的に地下水が高く、地盤の締まりがゆるい傾向があります。

その土地の危険度を調べる方法

液状化が起こりやすい条件と土地についてご紹介しましたが、実際に自分たちの目で判断するのは難しいですよね。そこで、みなさんの住んでいる土地や、これから住もうとしている土地の危険度を調べる方法をご紹介します。

●ハザードマップで調べる
最近では、インターネットでハザードマップを見ることができます。自分の住む土地を検索すれば、液状化の危険度がどのくらいあるのか調べることができます。

●謄本などでもともとの土地を調べる
謄本や地歴で、もともとその土地が昔沼だったのか、田んぼだったのか、など調べられます。

●建築会社に相談する
これから家を購入される方は、購入する建築会社や工務店に相談する方法もあります。自分たちで調べるのは難しいという方は、聞いてみるといいでしょう。

ほかにも、雨が強い日に、土地の土や砂の状態がゆるくなるかどうかを自分の目で確かめる方法もあります。

液状化による建物損害は、地震保険が適用されるのか

建物が傾いてしまったり、沈下したりしてしまっては、その後その家に住み続けることは難しいでしょう。そのため建て直しや住み替えが必要になります。それに伴う引越し費用や仮住まい費用も必要でしょう。さらに住宅ローンが残ったままであれば、残りの分を返済していかなければいけません。その費用をカバーするための地震保険は、このとき適用されるのかどうか、気になるところです。

結論から言うと、液状化に対する地震保険の補償は適用されます。

ただし、液状化の判断基準は地震や地震による津波などの被害とは認定区分や基準とは異なり、それによって保険金の支払い対象となるかどうかが判断されます。詳しい認定区分や基準について、次に説明していきます。

液状化現象の被害状況によって異なる地震保険の損害区分

地震保険の損害区分は「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つに分けられます。
液状化によって被害を受けた建物は、傾いてしまうケースや沈下してしまうケースが多いので、全損などの区分には該当しません。

実際に東日本大震災では液状化の被害が多く見られましたが、この査定方法だと実際の被害と査定結果が合致しないということで、東日本大震災以降に新しい基準が設定されました。続いて、その新しい基準についてご紹介していきます。

【全損】
[被害の状況]
●傾斜:約1°を超える場合
●最大沈下量:30センチを超える場合

[支払われる保険金額]
●地震保険金額の100%(ただし、※時価が限度)

【大半損】
[被害の状況]
●傾斜:約0.8°を超え、約1°以下の場合
●最大沈下量:20センチを超え、30センチ以下の場合

[支払われる保険金額]
●地震保険金額の60%(ただし、時価の60%が限度)

【小半損】
[被害の状況]
●傾斜:約0.5°を超え、約0.8°以下の場合
●最大沈下量:15センチを超え、20センチ以下の場合

[支払われる保険金額]
●地震保険金額の30%(ただし、時価の30%が限度)

【一部損】
[被害の状況]
●傾斜:約0.2°を超え、約0.5°以下の場合
●最大沈下量:10センチを超え、15センチ以下の場合

[支払われる保険金額]
●地震保険金額の5%(ただし、時価の5%が限度)

※時価とは、再度調達するのに必要な金額から、時間の経過や使用による消耗分を差し引いたもの。

建物と一緒に受けた庭の被害も地震保険の対象になる?

地震や液状化が起これば、もちろん家の庭などにも被害が発生します。ただ、地震によって庭にあるブロック塀が壊れたり、地割れがあったりした場合でも地震保険は適用されません。

地震保険が適用されるのは、建物と家財のみです。地震が起きて、揺れや液状化によって庭に被害を受けても、その分は支払われないので覚えておきましょう。

液状化による建物と家財の被害は地震保険で補償される!

東日本大震災のあと、地震の規模や津波の被害だけでなく、液状化現象についても心配されるようになりました。また、新しく土地を購入する際、地盤の固さや以前はどのような土地だったのか気にする人も増えました。

液状化が発生する可能性が高い地域に住んでいる、もしくはこれから住む方は、地震保険への加入をおすすめします。地震による倒壊はなかったとしても、地盤が沈下したり、建物が傾いてしまう恐れがあるからです。

今後さまざまな地域で、大きい地震が来ると予測されています。何かあったとき自分を守れるのは自分自身だけですから、事前にしっかりと準備しておきましょう。


このアイデアの監修者

元ハウスメーカーの営業職として、5年間勤務。前職の経験を生かして、暮らしやお金、不動産に関するライターとして役立つ知識をお届けしています。

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