自動車保険の「中断」テクニックで運転しない期間中も等級をキープ!

車を処分してしまったり、海外赴任で自動車に乗らなくなったりしたとき、自動車保険は解約することがほとんどでしょう。次に車に乗るようになったときに再度自動車保険の契約をすると、自動車保険の割引制度である「等級」はスタート地点である6等級に戻ります。最高等級の20等級と6等級では、年間の保険料が10万円以上も違うこともあり、長年高い等級で保険料を払っていた人にとってその負担はかなりのものになりますよね。

せっかく無事故で上がった等級がリセットされるのはもったいない……と残念に思う必要はありません。実は等級は、自動車保険の「中断」という制度を使えば以前の契約のままキープしておくことができます。今回は自動車保険をお得に利用できる中断の仕組みと、その手続き、そして自動車保険を再開するまでの流れを説明していきます。

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自動車保険の「等級」ってそもそも何?

等級とは自動車保険を契約してからの事故歴に応じて保険料を割引・割増する制度です。1~20の20段階に分かれており、新規に自動車保険を契約すると通常6等級から始まります。

1年の保険期間の内、保険を使った事故がなければ次の年度で等級が1つあがり、事故で保険を使用すると3等級下がります。上がるのは1年に1等級ですから、同じ等級まで戻すには3年間かかることになります。

等級を維持できる?自動車保険の中断とは

自動車を廃車にしたり他人に譲渡したりするとき、また海外へ渡航して長期間車に乗らないような場合、自動車保険の契約を解約しても一定期間等級を維持したままにしておくことができます。これが自動車保険の「中断」という制度です。

被保険者本人だけではなく配偶者や同居の親族が等級を引き継ぐことも可能

自動車保険の契約を中断して等級をキープできるのは、被保険者本人だけではありません。その配偶者や同居の親族が引き継ぐことも可能です。例えば、妻が独身時代に契約していた自動車保険を中断し、結婚後夫に等級を引き継ぐことができます。また祖父が車に乗らなくなったときに中断手続きをとっておけば、孫が免許をとったときに等級を引き継ぐことができるのです。

保険会社が変わっても等級を引き継ぐことが可能

A社で自動車保険の契約をしていた時に中断手続きを行っても、中断証明書さえあれば保険契約を再開する時にB社を選ぶことが可能です。数年間車に乗らなかった間に、保険料が安かったり魅力的なサービスを展開している新しい自動車保険が登場していた場合など、便利に使えるサービスです。

中断特則

自動車保険を中断し、保険の等級を引き継ぐことのできる制度を「中断特則」といいます。中断特則には以下の3種類があります。

・国内特則……車を廃車にしたり、他人に譲渡した場合などに適用される中断特則
・海外特則……海外赴任や留学などで長期間日本を離れる場合に適用される中断特則
・妊娠特則……契約している車両が二輪車や原付バイクの場合、妊娠特則を用意している自動車保険があります。ただ自動車保険を再開する際、同じ保険会社で再開手続きをしなければならないという制約があります。

自動車保険を中断できる条件は?

保険の契約をしていない間、等級をキープできるのはかなりお得な制度です。そのため、自動車保険を中断するためには厳格な条件があります。

車の状況は、次の内どれかに該当することが必要

●自動車保険の解約日または満期日までに、廃車手続きや他人への譲渡手続きが終了していること
●自動車保険の解約日または満期日までに、車検切れとなっており、継続して車検を受けていないこと
●道路運送車両法第16条に基づいて、解約日、満期日までに抹消登録していること

複数の車を所有している場合は以下の手続きを踏んでいる必要があります。

1.Aという自動車保険契約の対象となっている車を廃車にしたり他人へ譲渡した場合、被保険自動車のポジションが空く
2.その空いたポジションに、Bという自動車保険の対象となっている被保険自動車を車両入替で入れる
3.すると今度はBという自動車保険の被保険自動車のポジションが空くことになるので、Bという自動車保険が中断できる条件に該当する

保険等級が7等級以上であること

自動車保険を中断し等級を引き継ぐためには、保険等級が7等級以上であることが必要です。この等級は現在の自動車保険契約の等級ではなく、次回保険更新時の等級が適用されます。例えば現在7等級であっても、事故で保険を使うと3等級下がりますから次回の保険更新時には4等級になります。この場合、現在は7等級でも保険の中断を利用することはできません。

海外特則の場合中断日(解約日または満期日)に制限がある

海外特則の場合、出国日から6カ月遡った日以降に中断日があることが必要です。つまり12月31日に出国する場合、6カ月前の6月末日以降に自動車保険を解約したり、満期を迎える必要があるということです。

自動車保険を中断する際の手続きは?

自動車保険を中断して等級を引き継ぐためには中断証明書を発行してもらう必要があります。必要書類を揃えて保険会社や代理店などに申請するのですが、ネット申込みができるダイレクト系の自動車保険ではネット上で申請できるところもあります。各中断特則で必要になる書類は以下の通りです。

自動車保険を中断で必要書類

●国内特則
・中断証明書発行依頼書
・中断前の保険証券の写し
・登録事項証明書(車の廃車、譲渡、登録抹消、車検満了などがわかるもの)

●海外特則
・中断証明書発行依頼書

●妊娠特則
・中断証明書発行依頼書
・母子健康手帳の写し

中断証明書を請求できる期間

中断証明書を発行してもらえるのは解約または満期日から13カ月以内です(※保険会社によって異なる場合もあります)。

中断した自動車保険を再開する際の手続きは?

等級を引き継いだまま自動車保険を再開する条件

●新しい保険契約の開始日が、中断日から10年以内であること
●新しい車を所有してから1年以内であること(1カ月以内とする保険会社もあります)
●海外渡航の場合、中断日から10年以内かつ、帰国した日の翌日から1年以内であること
●中断の前後で車の所有者が同じであること(配偶者や同居の親族は同じとみなす)
●中断の前後で自動車保険の被保険者が同じであること(配偶者や同居の親族は同じとみなす)
●中断の前後で車の用途(自家用・業務用)、車種区分(自家用8車種に該当するか)が同じであること

再開手続き

新しく車を取得した日から1年以内(1カ月以内)に以下の書類を添えて新しい自動車保険の契約をします。以前の保険会社と別の会社でも問題ありません。

●中断証明書(紛失してしまった場合は元の保険会社で再発行が可能です)
●新しい車の車検証の写し(国内特則の場合)
●パスポートのコピー(海外特則の場合)
●一時的な観光目的の渡航でないという確認書類(海外特則の場合)

またダイレクト系の自動車保険ではネットでの手続きが可能な上、インターネット割引まで受けられる保険会社もあります。


中断手続きで大事な自動車保険の等級を未来へ持ち越そう

自動車保険に加入していると、等級に非常に敏感になります。なぜなら、次年度の保険料に直結してくるからです。ただ等級を維持するためだけに保険料を払い続けるのは無駄が多く、得策ではありません。

車を手放した、病気でしばらくの間車の運転ができなくなった。そんなときにはぜひ中断手続きを検討してみてください。長年の無事故で上げてきた等級は貴重な財産です。中断手続きを上手に利用して、未来に等級を持ち越しましょう。

プロフィール

杉浦 直樹
AFP、FP2級。元歌舞伎役者のファイナンシャルプランナー。以前ソニー生命に勤務していたため保険商品に強い。JSA認定ソムリエの資格も持つ。

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