医療保険で特定疾病に備えておいたほうがいいの?覚えておきたい医療保険のメリット、デメリット

特定疾病という言葉、医療保険を検討したことのある方であれば目や耳にされたことがあるのではないでしょうか。そもそも特定疾病とは何か。そして、特定疾病について医療保険で備えておくことがいいのかどうか、そのメリット・デメリットについて整理しておきたいと思います。

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特定疾病とは?

特定疾病と一口にいっても、定義はさまざまです。

介護保険法の定義によると、「特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次の1,2の要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。」としています。

1. 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む。)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。

2. 3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。

また、同法では特定疾病の範囲を次のように定めています。
●がん(がん末期)
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症
・後縦靱帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
・脳血管疾患
・閉塞性動脈硬化症
・慢性閉塞性肺疾患
・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

また、公的医療保険においては、以下の疾病を特定疾病としています。
・人工腎臓(人工透析)を実施している慢性腎不全
・血しょう分画製剤を投与している先天性血液凝固第8因子障害または、先天性血液凝固第9因子障害
・抗ウィルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染を含み、厚生労働大臣の定める者に係るものに限る)

これら介護保険、公的医療保険の対象となる特定疾病については、その医療費についてそれぞれの制度の適用を受けることができます。具体的には介護保険であれば自己負担割合は1割負担(要介護度による限度額あり)で済みますし、公的医療保険においては医療費の減免を受けることができます。

民間医療保険における特定疾病とは、介護保険や公的医療保険の対象となる特定疾病とは異なります。3大疾病とも言われる、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」を指すことが一般的です。また、最近では、3大疾病に「高血圧性疾患(高血圧症)」「糖尿病」「肝硬変」「慢性腎不全」の4疾病を加えた7大疾病に手厚い保障を設けているケースもあります。

特定疾病に医療保険で備えておくべき?

民間医療保険において、特定疾病に対する保障はどのようなものがあるのでしょうか。

●特定疾病保障保険
特定疾病保障保険は、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」について保険会社の定める所定の状態になったときに一時金、または死亡・高度障害となった場合に死亡・高度障害保険金を受け取ることができる保険商品のことです。死亡についての死因は「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」であることに限りませんが、一時金を受け取った時点で契約は終了し、死亡保険金を重複して受け取ることはできません。

●入院給付金などの上乗せ給付等
7大疾病を原因として入院した場合、入院給付金の上乗せ給付を受けられる保障を設けている保険会社もあります。保険会社によっては一時金での支払いとなる場合もあります。

●支払限度日数の延長
7大疾病を原因として入院した場合、1入院の支払限度日数が自動的に延長される保障を設けている保険会社もあります。

このような特定疾病に対する保障を医療保険で備えておくべきなのでしょうか。そのメリット・デメリットについて整理しておきましょう。

●メリット
特定疾病については、入院期間が長くなる可能性もあります。厚生労働省の平成26年患者調査によると、平均在院日数(すべての疾病における平均)は31.9日であるのに対して、疾病ごとに見てみると、7大疾病にあたる疾病では糖尿病35.5日、高血圧性疾患60.5日、脳血管疾患89.5日など入院が長期にわたっている結果になっています。特定疾病に対する保障を医療保険で備えておくことで、特定疾病となり治療を受ける際に、手厚い保障を受けられることになることがメリットと言えるでしょう。

●デメリット
手厚い保障を受けられる分、保険料が高くなるということがデメリットのひとつです。また、保険会社が定める「所定の状態」が異なる等、保障を受けられる基準が異なっています。例えば、ある保険会社の場合、脳卒中の支払い条件として、「脳卒中を発病し、その脳卒中の初診日から60日以上、言語障害、運動失調、麻痺などの他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたとき」となっています。つまり、脳卒中で診断されたからすぐに支払いをうけられるわけではないのです。このように支払い条件が厳しいケースもある点はデメリットといえるでしょう。加入検討時に、支払い基準についてもよく確認しておくようにしましょう。

特定疾病にかかると医療保険に入りにくくなる?

3大疾病、7大疾病に関わらず、特定疾病にかかると継続的な診察、投薬が必要となるケースが多いものです。特定疾病にかかってから、医療保険の必要性に気づいて加入をしようとしても、告知書にその内容を記入しなくてはなりません。投薬によって、状態が安定している場合など保険会社から加入の承諾を得られることもありますが、一般的には、保険会社から加入の承諾を得ることができなかったり、加入できたとしても部位不担保特約(※特定の身体部位についての保険給付をしないという旨の特約)が付帯されたりする可能性が高くなります。

告知要件が緩和された緩和型医療保険であれば、特定疾病にかかった後も加入できる可能性は高いといえますが、一般の医療保険と比べると、保障内容は限定的であり、保険料も割高になります。

有利な条件で、医療保険に加入するためには、特定疾病にかかってからではなく、健康な状態の時に加入することが望ましいといえます。いざ、特定疾病にかかったときに医療費や収入低下の心配をすることなく治療に専念するためにも、健康なうちから早めに医療保険について検討、加入をしておきましょう。

プロフィール

キムラミキ
株式会社ラフデッサン代表取締役。外資系生名保険会社での営業経験を経て、FPとして独立。保険代理店のスタッフ指導を行うなど企業アドバイザリー業務に携わる他、保険や住宅ローンなど身近なお金についての執筆、講演も多数行っている。

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