医療保険で通所リハビリや訪問リハビリの費用は支給される?

リハビリテーション(リハビリ)は、ラテン語の「re(再び)」と「habilis(適した)」を合わせて生まれた言葉で、「再び適した状態になること」を意味しています。病気やケガなどで機能や能力が低下した状態になった人が、回復できるよう働きかけることを指します。単に機能回復を目指すだけでなく、社会への復帰や復権といった意味も含めて、リハビリという言葉が使われるようになっています。通所リハビリに医療保険は使えるのでしょうか? 通所リハビリのほかにも、訪問リハビリもありますが、医療保険の適用はあるのでしょうか? 確認していきましょう。

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通所リハビリと訪問リハビリ

リハビリには、施設に通って行う通所リハビリと、自宅で行う訪問リハビリがあります。それぞれに特徴があり、リハビリを受ける人の状態にあう方法で行われます。

●通所リハビリとは?
通所リハビリは、医師の指示にもとづき、病院、診療所、老人保健施設などに通院・通所してリハビリを受けることです。自宅で行うリハビリに比べると、リハビリ施設では機器や設備が充実しているので、より専門的なリハビリを受けることもできます。万が一、容体が急変した場合などの対応も、すばやく行ってもらえます。他の利用者との交流ができることや、自宅で看病・介護をしている家族の負担が軽減されることも通所リハビリのメリットです。

●通所デイサービスとは?
通所リハビリは、医師の指示にもとづいて心身の機能回復をめざすリハビリを行うことが、主な目的です。いっぽう通所デイサービスは、日常生活の支援や孤立を防ぐこと、介護をする家族の負担を軽減することが目的で提供されているサービスです。

●訪問リハビリとは?
主治医が訪問リハビリを必要としていると判断した人のために、医療スタッフや介護スタッフが自宅を訪問して行うリハビリです。外出することが難しい人もリハビリを受けることができ、マンツーマンでの施術となりますが、自宅でリハビリを受けられるような環境づくりが必要とされます。

リハビリには医療保険が適用される?

リハビリには費用がかかりますが、保険の適用が受けられると負担が抑えられます。適用される可能性があると保険は、医療保険と介護保険です。2種類の保険の適用は原則としできません(例外もあり)。

医療保険、介護保険のいずれが適用されるかの分かれ目ですが、通所リハビリ、訪問リハビリのいずれも、利用者の年齢や疾病が原因かどうか、などの条件によって、どちらの保険が適用されるかが変わってきます。

医療保険が適用されるリハビリは、治療・訓練による特化した機能回復を目指すものです。一方、介護保険が適用されるリハビリは、介護認定を受けている人が、日常生活全般の機能維持を目指すものです。

●利用者の年齢が40歳未満の場合
厚生労働大臣が定める疾病等(※1)が原因のときは、医療保険の対象となり、週4日以上、複数回の利用が可能です。

厚生労働大臣が定める疾病等以外が原因の場合は、医療保険の対象となり、週3日までの利用が可能です。

●利用者の年齢が40~64歳の場合
厚生労働大臣が定める疾病等が原因のときは、医療保険の対象となり、週4日以上、複数回の利用が可能です。

介護保険における特定疾病(※2)、厚生労働大臣が定める疾病等の両方に該当しない原因でリハビリが必要な場合は、医療保険の対象となり、週3日まで利用が可能です。

介護保険における特定疾病であり、かつ厚生労働大臣が定める疾病等以外が原因の場合は、介護保険の対象となり、ケアプランにもとづいて利用することができます。

●利用者の年齢が65歳以上の場合
厚生労働大臣が定める疾病等が原因のときは、医療保険の対象となり、週4日以上、複数回の利用が可能です。

厚生労働大臣が定める疾病等以外が原因の場合は、介護保険の対象となり、ケアプランにもとづいて利用することができます。

※1:厚生労働大臣が定める疾病等とは
○末期の悪性腫瘍 ○多発性硬化症 ○重症筋無力症 ○スモン ○筋萎縮性側索硬化症 ○脊髄小脳変性症 ○ハンチントン病 ○進行性筋ジストロフィー症 ○パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)) ○多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群) ○プリオン病 ○亜急性硬化性全脳炎 ○ライソゾーム病 ○副腎白質ジストロフィー ○脊髄性筋萎縮症 ○球脊髄性筋萎縮症 ○慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ○後天性免疫不全症候群 ○頸髄損傷 ○人工呼吸器を使用している状態

※2:介護保険における特定疾病とは
○がん【がん末期】(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがな状態に至ったと判断したものに限る。)○関節リウマチ○筋萎縮性側索硬化症○後縦靱帯骨化症○骨折を伴う骨粗鬆症○初老期における認知症○進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】○脊髄小脳変性症○脊柱管狭窄症○早老症○多系統萎縮症※○糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症○脳血管疾患○閉塞性動脈硬化症○慢性閉塞性肺疾患○両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護に特化した保険について

高齢化が進む日本では、だれかを介護する人、介護を受ける人、介護職に就く人人など、さまざまな形で「介護」に関わる人が、今後も増えるでしょう。日本国民は40歳を超えると公的な介護保険制度とのかかわりが始まります。

●公的な介護保険制度とは?
65歳以上の人が「第1号被保険者」、40歳~64歳までは「第2号被保険者」となり、40歳になった月からは介護保険料の支払いが始まります。

医療保険とは違い、介護保険を利用したい場合は「介護認定」を受けなければなりません。利用者がどの程度の介護を必要としているかが、保険者である各市区町村によって判定され、要支援1~2・要介護1~5の7段階に認定されることになります。

第1号被保険者は、要介護状態にあると認定されると、介護給付を受けることができるようになります。いっぽう第2号被保険者は、特定疾患のいずれかに該当した上で、要介護認定を受けた場合に限り、介護給付を受けることができます。認定を受けた人は、各市区町村の指定を受けた事業者のケアマネージャーにケアプランを作成してもらい、ケアプランに沿って介護サービスを受けることになります。

●民間の介護保険とは?
民間の保険会社が提供する介護保険は、各保険会社が定める介護状態になったとき、介護一時金や介護年金を給付する商品です。公的介護保険を利用しても、自己負担額が生じます。自己負担額部分を、民間の介護保険から受け取るお金でカバーすることが可能です。

通所リハビリや訪問リハビリに医療保険や介護保険が適用されるかは場合による

通所リハビリや訪問リハビリは、医療保険と介護保険のどちらが適用されるのかが、リハビリを受ける人の年齢、原因などによって変わります。リハビリが必要になったら、医師やケアマネージャーなどの専門家と相談し、必要かつ十分なリハビリを受けられるようにしましょう。自宅の環境整備に必要な資金や、介護保険の自己負担部分について、民間の介護保険で支給を受ける方法もあります。

プロフィール

河野陽炎
3級FP技能士資格を持つライター、コラムニストとして、生命保険や医療保険、金融、経済などの執筆実績が多い。次々と発売される商品や、改正の相次ぐ税制、法律が1人の生活者にどう影響を与えるかの視点を大切にする。

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