川和保育園
子どもが「自分で考え遊ぶ」ことを理念とし、地域に根ざし創立76年を迎える川和保育園の移転建替計画。建て替えにあたり、この園に相応しい環境を用意することが我々の最初の仕事であった。地主との話し合いの末、道路向かいにある自然の地形と森や古民家に囲まれた土地への移転が可能になった。
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園から求められたのは、園庭への日照(西日)確保と、園児はそれぞれの玄関ホールから登降園し、園庭へは各保育室から出入りするという既存園の動線の踏襲、メンテナンスの容易性であった。
そうした希望を成り立たせつつ、敷地形状に合わせた柔軟性を持たせるために建物を3棟に分け、階段室を兼ねたホールで結ぶ構成を考えた。
3棟内にそれぞれ配置した保育室は、幼児用の水廻りスペースを板張りのヴォリュームとして室内に取り込んだり、大きな空間を支えるコンクリートの梁を現したりと、なんとなく空間を区切るきっかけをつくった以外はあえてつくり込まず、園の保育活動の自主性に一任した。旧園から引っ越してきた大きな遊具や家具などが置かれ、それらが子どもたちの成長や興味に合わせて日々配置を変えることで、子どもたちはその中で、またはその隙間で自ら居場所をつくり過ごす。
建物を一周するように設けた外廊下は、階段を介して2階の保育室と園庭だけでなく屋上や南側斜面にも結ばれている。屋上は斜面上部のレベルに近づくため、新しい地表の上に居るかのような心地良さが感じられる。全ての場所にアクセス可能なことは、動線的にも視覚的にも園庭と園舎、斜面相互の距離を縮め、保育の場の拡張の可能性や斜面を含めた環境全体のメンテナンス性の向上に繋がっている。
保育室には、園庭側の大きな開口のほか、各棟を結ぶ横方向にも大きな開口部を設けた。この開口部により、ホール越しに隣の保育室の声や視線が通り、夏季には風の通り道にもなり、自然換気を助長する。機械空調に頼らない保育環境のあり方も目指した。
また、子どもたちが初めて知るものを本物の素材を通して覚えてもらうため、外壁や建具の木、手摺や階段の鉄、屋上やバルコニーのコンクリート、園庭の山砂にいたるまで、本物の素材を使用することにこだわった。
既存園のイメージをなぞりながら新しい土地に定着させ、より機能的で豊かな保育園へと刷新していく作業を紡いだ結果、園舎が園庭と既存環境との間に建ち、こどもたちに様々な居場所をつくりだす大らかなプラットフォームになったのではないかと考えている。
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