認知症になったら生命保険の死亡保障はもらえる?契約の見直し方法とは

近年、増加し続けている認知症患者。身近な人が認知症になった経験がある方も多いかもしれません。実は、生命保険の死亡保障は、被保険者が死亡していなくても保険金を受け取れるケースがあるのをご存知でしょうか。認知症の場合も当てはまることが多いのです。しかし保険金を受取るときに、ある問題が立ちはだかることも……。生命保険と認知症の関係について解説していきます。

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認知症は増加傾向。2025年には5人に1人が認知症!?

認知症が増えていることはなんとなくわかりますが、認知症患者はいったいどの程度いるのでしょうか。内閣府調べによると、65歳以上の認知症患者数は、2012年は462万人と、65歳以上の高齢者の7人に1人(15.0%)でした。

しかし、認知症と関係の強い糖尿病患者がこのまま増え続けた場合、2025年には約730万人、5人に1人(20.0%)が認知症になると見込まれています。さらに、2060年には、約1,154万人、3人に1人(34.3%)が認知症に(※)! もはや他人事ではないですね。

生命保険の被保険者が認知症になったら、死亡保障は受け取れる

生命保険の被保険者が認知症になったら、死亡保障は売れ取れるのでしょうか。それは、加入している生命保険の約款をよく見ると記載があります。死亡保障の受け取り条件が「死亡した場合または所定の高度障害状態に該当した時」となっている場合は、認知症でも死亡保障を受け取ることが可能です。

ただ、受け取るには、生命保険が定めている「高度障害状態」に該当することを証明する必要があります。そのため、医師に「被保険者が高度障害状態であること」と、その障害内容を証明する診断書を書いてもらってください。

障害内容が、生命保険の定める高度障害状態に当てはまらない場合は保険金が下りませんので、注意してくださいね。

認知症以外で生命保険の死亡保障が受け取れるケース

認知症以外にも、生命保険の死亡保障を受け取れる場合があります。それは、加入している生命保険が定めた「高度障害状態」に当てはまる場合です。高度障害状態は、主に以下の状態を指します。

・両眼の視力を永久に失う
・言語、またはそしゃくの機能を永久に失う
・中枢神経系や精神に著しい障害を残し、終身常に介護が必要
・臓器に著しい障害を残し、終身常に介護が必要
・両手、もしくは両足の関節以上を失い、もしくはその機能を永久に失う

よって、両目の視力を失ったり、神経系に障害を負って常に介護が必要になったり、怪我や病気で両足を切断したりした場合などに、死亡保障の対象となります。この場合も医師の診断書が必要になります。

生命保険の被保険者が認知症の場合の保険金請求方法

被保険者が認知症によって高度障害状態であることが証明できたら、次は保険金の受取人が保険金の請求をする必要があります。ここで問題になりやすいのが、被保険者が保険金の受取人にもなっていて、認知症のために手続きが取れないことです。この状態を解決する方法は主に2つありますが、どちらも問題点があるため、それも含めてご紹介します。

①指定代理人による請求

被保険者が認知症によって保険金の請求ができない場合に、指定代理人が代わりに保険会社に請求する方法です。この制度は多くの生命保険で適用されていますので、加入した生命保険の約款をご確認ください。

ただし、この請求方法は、指定代理人を1名、あらかじめ決めておく必要があります。また、指定代理人になれる条件は、「被保険者の戸籍上の配偶者」「被保険者の3親等以内の親族」が一般的です。もし、離婚によって配偶者がいなくなった場合や、指定代理人が死亡した場合は、請求する権利がなくなりますので、他の方に変更しておく必要があります。

また、指定代理人の故意によって被保険者が高度障害状態になった場合は、指定代理人による保険金請求はできません。

もし指定代理人を決めていなかった場合は、戸籍上の配偶者や子、兄弟姉妹が代理請求できる場合もありますが、もし該当者がいなかった場合は、保険金受け取り手続きができないことになります。

②成年後見制度の利用

認知症によって判断能力がなくなってしまったときに、本人の代理で手続きをしたり、本人が誤って締結してしまった契約を取り消したりすることができるのが、後見人という制度です。

後見人制度は、本人が判断能力がある状態で後見人を指定する「任意後見制度」と、本人の判断能力がなくなった後に後見人を指定する「法定後見制度」の2種類があります。

もし認知症によって被保険者が保険金請求をできなくなった場合は、法定後見人を定めて、保険金を請求してもらうことが可能です。ただ、法定後見人をつけるには、家庭裁判所での手続きや、後見人への報酬が必要になるので、やや煩雑です。保険金を受取るためだけに成年後見制度を利用するのは、ハードルが高いと言えるでしょう。

あらかじめ受取人変更や保険特約の変更をするのがおすすめ!

認知症によって保険金が受け取れないのは本末転倒です。より確実かつ簡単に保険金を受け取れる方法は何でしょうか。

①あらかじめ生命保険の受取人を健常者に変更する

生命保険の受取人が高齢になった場合は、まだ認知症などの症状がなくても、受取人を心身ともに健康な方に変更しておくことをおすすめします。できれば被保険者の子どもなど、一回り若い年代の方が良いでしょう。早期の手続きが万が一のときに役立ちます。

②保険の見直しをして、認知症に対応した保険に加入する

認知症によって保険金が受け取れなかったり、被保険者にとって不本意な使われ方をしたりと、認知症による生命保険トラブルが増加したため、最近は認知症に対応した生命保険が発売されるようになりました。

所定の認知症と診断された場合に、一時金や年金として保険金が支払われます。手続方法も、従来の生命保険の死亡保障を下ろすよりは簡単です。単体の生命保険として販売されるものや、医療保険の特約としてつけられるものもあるので、気になる認知症保険や認知症特約を今のうちに調べてみるのがおすすめです。

認知症は今後も増加! 保険の見直しをして早めに対策を

認知症は2025年に5人に1人に増加し、今後も増え続ける見込みです。5人に1人ということは、自分と配偶者、双方の両親のうち、1〜2人が認知症になるということです。

早期の対応が万が一の事態になったとき助けになります。他人事だと思わず、ご自分やご両親の保険の内容を一度見直してみてはいかがでしょうか。

プロフィール

金指 歩
法学部政治学科出身・元信託銀行勤務のフリーライター。神奈川県出身。FP3級を大学在学時に取得。金融系全般、女性のライフスタイルをテーマとした記事を中心に執筆している。

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