生命保険には贈与税がかかることも?生命保険と税金の関係を知ろう

国税庁のホームページには「保険料を負担していない人が、満期や解約又は被保険者の死亡により、生命保険金を受け取った場合には、保険料を負担した人からその生命保険金の贈与があったものとされます(以下略、No.4417 贈与税の対象になる生命保険金より)」という説明があります。これはいったいどういうことでしょうか? 生命保険金には、贈与税の他にどんな税金がかかるのでしょうか? 生命保険と税金の関係についてみていきましょう。

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生命保険に贈与税が課税される場合とは

生命保険契約を結ぶとき、「契約者」「被保険者」「受取人」を誰にするか決めなければなりません。

・契約者……保険料を負担する人。途中で契約者を変更することもできます。
・被保険者……保険の対象となる人。被保険者が死亡したり、高度障害の状態になったとき、保険会社から保険金が支払われます。原則として途中で変更することができません。
・受取人……保険金を受け取る人。被保険者に何かあった場合、受取人が保険金を受け取ります。

生命保険契約を結ぶ際には契約者と被保険者を同じ人にするケースも多いのですが、妻が専業主婦の場合などに「契約者=夫、被保険者=妻」として、夫の収入で妻の保険料を支払うケースもあります。

生命保険に加入する人の中には、「被保険者が亡くなった場合」のことを想定している人も多いでしょう。そのため「相続税がかかるのでは?」というイメージもあるかもしれません。そして実際に相続税がかかるケースがあります。またその一方で、贈与税がかかる場合もあります。

この違いはどこからくるのでしょうか?

冒頭でご紹介したように「保険料を負担していない人が、満期や解約又は被保険者の死亡により、生命保険金を受け取った場合」には贈与税がかかるとされています(国税庁ホームページより)。相続税か贈与税のどちらがかかるのかは、「保険料を負担したのが誰で、受け取ったのが誰か」に注目することで判断できます。

どんなときに贈与税がかかるの?

生命保険金を受け取り、贈与税がかかる場合の例として、次のようなケースが考えられます。

例 契約者=妻、被保険者=夫、受取人=子ども
保険料を負担してきたのが妻で、夫に万が一のことがあった場合、子どもに保険金がおりるような契約を結んでいるケースです。

●贈与税の計算方法
生命保険金だけではなく、その年の1月1日から12月31日までに贈与された財産の価額を合計します。その合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額に、税率を乗じて税額が計算されます。

税率に関しては、一般贈与財産用と特例贈与財産用に異なる税率が設けられていることに注意しましょう。

・一般贈与財産用……夫婦間や兄弟間、親から未成年の子どもへの贈与など、後述の特例贈与財産用に該当しない場合に用いる税率です。
・特例贈与財産用……直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使います

●生命保険金に相続税がかかる場合
相続税がかかるのは、契約者と被保険者が同じのときです。

例 契約者=夫、被保険者=夫、受取人=妻または子
夫が保険会社に積み立ててきた保険料を、子どもが受け取ることになるため、相続税がかかります。

●生命保険金の非課税枠
死亡保険金の受取人が相続人である場合は、非課税限度額を超える金額について、相続税が課税されます。
非課税限度額は「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。

●生命保険金に所得税がかかる場合
契約者と受取人が同じである場合、受け取った生命保険金には所得税が課されます。

例 契約者=夫、被保険者=妻、受取人=夫
夫が生命保険料を負担し、妻に万が一のことがあったときには、夫自身が生命保険金を受け取る場合です。
生命保険金は一時所得に該当することになり、課税対象額の計算方法は次の通りです。

(保険金+配当金-払い込んだ保険料-50万円)×1/2

なお保険によっては、源泉分離課税される商品もありますので、契約の時点でご確認ください。また所得税以外に住民税も課されることになります。

もっと細かく知ろう、生命保険と税金のこと

●個人年金を受け取る場合の税金は?
個人年金タイプの保険は、将来自分が受け取るために活用することも、ご家族にお金が渡るような契約にすることも可能です。契約者と受取人が同じの場合、毎年受け取る年金は所得税法上の雑所得として取り扱われます。いっぽう、契約者以外の人が年金の受取人となる場合は、年金を受け取り始めた1年目に「年金受給権の贈与」があったとみなされ贈与税が課されます。2年目以降は所得税がかかります。

●贈与税がかかった場合、所得税や住民税もかかるの?
所得税法で「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」には所得税を課さない、と定められています。また2010年7月 6日には、最高裁判所が生命保険金に対する相続税や贈与税と、所得税の二重課税に関する判決を出しており、国税庁も二重課税とならないような取扱方法を定めるなどの対応を行っています。贈与税の対象となったお金に、所得税や住民税が課されることは原則的にないのですが、不安や疑問があれば税理士や弁護士などの専門家に相談しましょう。

●給付金を受け取っても非課税となる場合
個人がケガや病気を理由として、生命保険から受け取る給付金は、その金額にかかわらず非課税となります。たとえば、入院給付金や手術給付金介護保険金、身体障がい保険金、リビングニーズ特約などが非課税となります。ただし、所得税の医療費控除を受ける際に、支払った医療費の額から、生命保険の給付金として受け取った金額を差し引いて申告する必要があります。

●生命保険の受取人に指定できる人
受取人として指定できる人については、生命保険会社ごとに範囲が決められています。基本的には、「配偶者」「親や子など一親等の親族」「祖父母、兄弟姉妹、孫などの二親等の親族」などを指定することができます。保険会社によっては、二親等以内の親族がいない場合には三親等内の親族(叔父叔母、甥姪など)を指定できたり、内縁関係のパートナーや婚約中の相手なども指定できる保険会社もあります。上記の事情にあてはまらない、血縁関係も婚姻関係もない人については、保険会社側の審査が厳しくなりますので、担当者に事情を話して相談する必要が出てきます。

生命保険を活かして節税をするなら専門家に相談を

生命保険金を受け取るということは、お金の動きが起こるということ。受け取ったお金に何らかの税金がかかる可能性が出てきます。生命保険金には相続税の非課税枠が設けられていますので、節税のために生命保険を活用したい人もいるでしょう。

でも、思わぬ勘違いや古い情報に基づいての節税対策を行い、結果的に節税効果が得られなかったとしたら、何のための対策かわかりません。生命保険を活かしての節税を考えるなら、専門家に相談しながら、間違いのないように対策を進めていきましょう。

プロフィール

河野陽炎
3級FP技能士資格を持つライター、コラムニストとして、生命保険や医療保険、金融、経済などの執筆実績が多い。次々と発売される商品や、改正の相次ぐ税制、法律が1人の生活者にどう影響を与えるかの視点を大切にする。

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