【命のてがみ #5】臨月、出産間際。君を受け入れる準備はできています

フォトグラファーのHAL KUZUYAさんが妊娠、出産、子育てまでのできごとを綴るフォトエッセイ「命のてがみ」。臨月になりHALさんが感じたのは、人の、世界の温かさ。そしていよいよ生まれてくる“新しい命”に伝えいたこと。連載第5回目をお届けします。

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人の温かさを感じさせてくれた命に、感謝を

写真提供:HAL KUZUYA

私の宇宙船地球号

もう人生で二度と味わうことのない、今までとは完全に違う人生の第一歩…。
未来の新しい愛を得るための…静寂のひと時。
大いなる愛を実感するその瞬間を
楽しみにしつつ、
いまこの瞬間を、いとおしむ幸せ。

写真、仕事、仕事、
好きなことだけやって生きてきた私に訪れた、突然の転機。
嬉しいような、戸惑いの感情。
普段完璧な?自己管理をしているのに、
それがまったく通用しない謎の体調の悪さと、気持ちの波。

それでもじわじわと湧き上がる愛おしさ。

そんな波が行ったり来たりの数ヶ月。

それでも、せっかくだから、経験を存分に楽しまないとという
楽しむことにかなり貪欲な私は、
毎日心と体の変化を日記につけて、
朝でも昼でも、外で歩いている時も、ひたすらお腹に話しかける。
豆粒から、今や2700グラムまで急成長をする。
どうやら娘ちゃんらしい存在と必死にコミュニケーションをとる日々。

お腹の中にいるたった9ヶ月ちょっとの間に、
胎児は、生命が人間になるのと同じ進化の過程を過ごすのだという。
なん億年もの旅を、一気にかけぬるける
その生命の力強さ。

そして、それでも、想像できなかった、あと予定日まで7日という現実の数字。
そうなると女というものは、どんと肝が座るのです。
これは本当に不思議。
心も体も、君を受け入れる準備ができている。

ギリギリまで仕事を続け
普段と変わらずお仕事することに、気持ちは強くなり
普段と変わらず、ご飯食べたり、お茶したりすることにとても救われた。

この数ヶ月で
人の温かさというのを
本当に、心から感じることができたんだと思う。
これも、新しい命のくれた
大切なギフト。

行けば必ず夜ご飯を食べさせてくれた友人と家族。
そして、メッセージをくれたり、会いに来てくれたり
頑張れ会をしてくれたり、

「応援してるね」
「見守ってるね」

そう伝えてくれたり。
一つ一つがとても嬉しくて、
想像以上にパワーになって。

人とつながってるな。
支えられてるな。

命を迎えるこの世界が、
たくさんの信頼と愛で満ちてると、実感することができた。
この日々に感じたこと、思ったこと、
それは、普段気がつかないささやかなことの連続で
でも普段以上に誰かが気にかけてくれたことだから
当たり前から少しだけ、ふわっとやさしく浮き出してきて
キラキラと暖かくて輝いて見えた。

この世界は あったかいよ
楽しいよ
友人ってあったかいね
仕事っていいね
生きるって楽しいね
世界は美しいね
そんなシンプルなことを
新しい命さんには
伝えたいなーって思う。

そういう気持ちになれていること、
心から感謝します。

●文、写真 HAL KUZUYA
フォトグラファー。東京と京都に拠点を置き、主にファッション、広告の分野で活動中。

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