【小さなお店 #7】梅雨支度に。贈りもの探しに。世界中から絵本が集まる、自由な絵本屋さん

歩いていてふと看板が目に入り、吸い込まれるように入ったコーヒーショップ。駅までの途中にできて、さらに自分の暮らす街が好きになった、おいしい焼き菓子の店。この連載では、そんな、本当は秘密にしておきたい、でもやっぱり教えたい! と対極な気持ちで板挟みにされるような、とっておきの「小さなお店」を紹介しています。

今回ご紹介するのは、昨年末にオープンした絵本専門店。並んでいる絵本が自由なら、営業スタイルもとても自由。それでも、「営業日時は確認してね!」と注意を添えつつ、絵本好きな人、イラスト好きな人、贈りものを探している人、いろんな人に教えたくなる、素敵なお店です。

本サービス内ではアフィリエイト広告を利用しています

  • 17283
  • 27
  • 0
  • いいね
  • クリップ

日曜日に目黒川散歩をするなら、立ち寄り場所に〔yack yack books〕をオンリスト

〔yack yack books〕の営業について決まっているのは、「基本的に日曜日」というだけ。不定期営業なので、訪問前にはお店がインフォメーションツールとしているインスタグラムをチェックするのがマストです。

場所は目黒駅寄りの目黒川沿い。近くにはおいしいお店もたくさんあり素晴らしいロケーションですが、お店のまわりはとても静か。目黒駅から行くなら、権之助坂を下って目黒川沿いを少し歩けば、わりとすぐ着きます。

こちらの店主は、数々のラジオ番組でナビゲーターやリポーターを務めている山中タイキさん。ラジオのほかにも、スポーツや音楽関連イベントでのMCなど、しゃべりのプロとして活躍されている山中さんですが、じつは、イラストレーターとしての顔も。

子どものころから好きだったアニメーションの世界から、徐々にイラストの世界にも魅了されていき、2012年には、イラストを学ぶためにロンドンへ。山中さんがイラストを担当し、ロンドンで出会った友人と共同制作した初の『THE YOGI WALRUS』は、ロンドンで出版されていますが、これからは〔yack yack books〕でも、出版社として、自身と縁のあるイラストレーターや作家と一緒に絵本を作っていきたいと話してくれました。

ガラス戸にも描かれている可愛らしいサルのロゴも、山中さんによるもの。店名の“yack yack”はサルの鳴き声で、「意味を持たない言葉で音として響きが気にいる店名にしたかった」(山中さん)のだとか。

大人もほしくなる。眺めているだけでも楽しいインテリアのような絵本たち

店内で目を引く鮮やかなグリーンの壁に並ぶ絵本は、「自分(山中さん)が好きな絵本」ばかり。

日本語にしていないほうが好きだったりニュアンスで楽しめるものは翻訳されていないままのものを、ストーリーもわかりやすい方がよいと感じたものは日本語訳されているものを。そのあたりのさじ加減も、山中さんの感性で自由にチョイスしているそうです。

世界中からセレクトされた絵本たちは、壁に立てかけるだけでなく平置きしても目に心地よく、インテリアとしてもほしくなる美しさ。出産祝いや小さなお子さへの贈りものとしてだけでなく、自宅での暮らしを大切にしている大人への贈り物としても素敵だと思います。

わたしが初めて〔yack yack books〕を訪れた際、絵本が大好きな息子にと思い購入して帰ったのは、オーストラリアの『LOTS』という絵本でした。メルボルンで活動するマーク・マーティンというアーティストによる、南極からインド、香港、東京、アイルランドまで、美しい色彩のイラストで世界中を旅できる一冊。イラストの中に答えがある問題をわたしが作り、それを息子が探して答えるという楽しみ方をしています。

ストーリーのある一角や、時期ごとに装いを変える展示コーナーも

入り口はいって左手には、アカデミー賞の短編アニメーション部門にもノミネートされた、アメリカで活躍するアニメーションアーティスト/イラストレーター・堤大介さんによる『THE DAMKEEPER』のコーナーも。きっかけは、同氏の代表作『SKETCHTRAVEL』。「おもしろいことをやっている人がいるなあ」とフランス語版を購入し(当時はまだ日本語版が発売していなかったそう)、のちに自身のラジオ番組で紹介したことから、ご縁がつながったそうです。

そのお隣には、インドの出版社〔タラブックス〕が昨年11月から今年1月まで日本で開催していた企画展「世界を変える美しい本」のポスターと、同出版社の絵本が展示されていました。ここは、時期ごとに内容を変えて展示コーナーのようにしていこうかと考えているのだとか。わたし、〔タラブックス〕のことは、〔yack yack books〕で知りました。このコーナーも、新しい出合いをもたらしてくれそう。

撮影の日。帰り際購入したのは、ドイツの作家、ゼバスティアン・メッシェンモーザーによる『空の飛びかた』。昔、実家の屋根下に作られた巣から落ち怪我をしたスズメのひなを、飛べるようになるまで家族で育てたことがあるのですが、ストーリーがその思い出とあまりにも重なるんです。前回お店でパラパラと立ち読みをして思わず涙。その日は違う絵本を買って帰りましたが、やっぱりほしい、今日は買って帰ろうと、じつは到着前から決めていました。

そうそう、毎月〔yack yack books〕セレクトの絵本が届く定期購読のサービスもスタートしたようです。次の営業日にさっそく行ってみたいという方も、目黒まではなかなか足をのばせないという方も、〔yack yack books〕の世界観に惹かれたら、ぜひインスタグラムをチェックしてみてくださいね。

【yack yack books】
住所:東京都目黒区下目黒2-9-24
営業日/営業時間:不定期営業(基本的には日曜営業)

●醍醐由貴子
ライター。女性誌から男性誌まで、ジャンルはフードからライフスタイルまで、幅広く活動中。すっかり意見するようになった息子に助けられつつ、日々奮闘しています。

●写真 さくらいしょうこ

▽連載「小さなお店」の他の記事もチェック♪▽

  • 17283
  • 27
  • いいね
  • クリップ
コンテンツを違反報告する

あなたにおすすめ

関連キーワード

カテゴリ

このアイデアを投稿したユーザー

LIMIA編集部の公式アカウントです。手軽な家事の工夫、お得なセール情報、100均グッズ、収納アイデアなど、暮らしに関するオリジナルコンテンツを配信しています。

LIMIA編集部さんの他のアイデア

アウトドア・おでかけのデイリーランキング

おすすめのアイデア