【LIMIA歳時記】5月は「皐月」。新緑が明るく光り始めます

5月5日に立夏を迎え、暦の上では夏が始まりました。この時期は若芽や新緑がまぶしく、風が渡って、街中でもひととき避暑地のような雰囲気が味わえますね。「LIMIA歳時記」では、季語とそれにまつわるストーリーを月に1回ご紹介しています。

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「香水」は大正時代から使われ始めた夏の季語

5月に入ればすぐに「立夏」が訪れ、俳句の世界では、夏が始まります。気がつけばすっかり木々が葉を付け、生まれたての緑が気持ちのいい風に吹かれて光っていますよね。私は、この季節が大好きです。

さて、みなさんにはお気に入りの香水がありますか? この「香水」、実は夏の季語なのです。夏は汗をかくのでその体臭を消すために使われることが多い、という歴史から夏の季語とされました。

ちなみに18世紀のフランスには毎日入浴する習慣がなく、誰しもが体臭を消すために香水を使っていた、といいます。とはいっても、日本に今のような形の香水が伝わってきたのはほんの100年くらい前。鎖国が終わって明治になってからのことです。

では、日本人はそれまで香りのおしゃれを知らなかったのか、というと、そうではありません。日本には古来より「お香」を楽しむ文化があるのですが、お香が仏教から切り離されて、楽しみごとのひとつとして広まり始めたのは、奈良時代の後半から平安の初め頃のことだったといいます。

平安貴族たちの間ではお香を焚くのが日常となるまでに発展し、彼らは自分だけの香りを調合してその優劣を競う遊びや、香りの種類を当てる「香合わせ」という遊びに夢中になりました。

その後、平安貴族たちはお香の新たな使い方を考え出しました。籠の中でお香を焚き、その上に着物をかぶせて香りを移したのです。香りを焚きこめた着物で歩くことは、当時の最先端のおしゃれだったのです。

そして明治になり、日本に初めて輸入され売られたのは「ヘリオトロープ」という花の香りを合成調合した香水でした。この香水は夏目漱石の小説『三四郎』の中にも登場します。日本で初めて国産の香水が作られたのは大正7年のこと。季語としてはこの頃から使い始められたと考えていいでしょう。

香りの歴史を思うと、昔も今も、いろんなドラマが生まれていそうですね。

それでは「香水」を使った一句をご紹介して、今回のお別れとしましょう。

【今月の一句】
香水の中よりとどめさす言葉 檜 紀代

●文 如月サラ(きさらぎさら)
エディター、俳人。(株)マガジンハウスで『anan』『Hanako』などの編集者を経て独立。現在、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程にて女性のエンパワーメントについて研究中。

●イラスト アネタイヨシコ

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