【小さなお店 #6】緑に囲まれたテラスでカレーランチ。優しさの秘密は和風ダシ

小さな厨房で手間暇かけて作られている「ここのこれじゃなきゃだめ」なメニュー。小さくても、自分にとって代わりのない、街を訪れる理由になるお店。この連載では、そんな、わたしにとって大切な存在の「小さなお店」を紹介しています。今回ご紹介するのは、大好きなカレーの店。だけど、ここに求めるものは、他のカレー屋に求めるものとはちょっと違うんです。

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テラス付きのコンテナショップ。〔代々木カリー〕を目指し、代々木ヴィレッジへ

代々木って、ほとんど行ったことのない街でした。〔代々木カリー〕ができるまで。〔代々木ゼミナール〕旧校舎跡地、〔代々木ヴィレッジ〕の中にオープンしてまもなく5年。当初は代々木駅改札を出てから若干不安な気持ちで歩いていましたが、今は2、3分あれば、代々木ヴィレッジの入り口に到着できるようになりました。

〔代々木ヴィレッジ〕に入って右手ひとつめのコンテナが、わたしの目指すお店〔代々木カリー〕。営業時間中は通路沿いに看板やディスプレイが出ているので、初めての人でもひと目でわかるはず。

店内、つまりコンテナ内は、カウンター6席のみ。何しろ「小さなお店」好きなもので、ひとりで訪れたら迷わず店内。でも、誰かと過ごすなら、テラス席もおすすめです。

そう、実は店内よりも広いテラス席があったりします。緑あふれる代々木ヴィレッジの敷地内にあるテラス席のソファで過ごす、その心地良さといったら! これから秋に向けてはもちろんベストシーズンですが、ストーブや掘りごたつなど防寒対策バッチリなので、冬もその人気は衰えません。

「あれ食べたい!」と思い出したら止まらないのは、優しさの中に濃いめの個性が煮込まれているから?

わたしはエネルギーチャージをしたいときに、カレーをよく食べます。でも、ガツンと元気づけてくれるカレーは多々あれども、優しく癒してくれて、最後には元気になっているようなカレーが食べられるお店は、わたしにとってここだけ。

同店で提供しているカレーメニューは常時3種類。時期を見て差し替えられるのですが、前シーズンから継続するものもあれば、過去に人気のあったメニューがマイナーチェンジをして復活することも。この4月から提供されている3種類は、《ホタテのバターレモンカリー》《季節野菜のキーマカリー》《ラム肉のトマトカリー》(各980円、ランチタイムは税込、日替わりの小皿付。夜は税別)。

いちばん人気は《ホタテのバターレモンカリー》。わたしも、悩んだ末に「やっぱりこれ」と注文してしまうのがこれ。青い器に鮮やかな黄色が映えてフォトジェニック。スパイスは感じるものの、ココナッツミルクのおかげで角がなく、とてもまろやかです。

ルーにはホタテの貝ひもでとったダシで旨味を溶け込ませ、具材の貝柱は仕上げの段階で投入するため、ふっくら。途中で添えられているレモンをギュッと絞るとパッと華やかな風味が加わり、食欲がいまいちのときでも、あっという間にぺろり。

《季節野菜の和風キーマカリー》のひき肉は、醤油麹とスパイスにひと晩漬け込んで旨味を引き出し、トッピングの彩り野菜は注文ごとに素揚げしているそう。

《ラム肉のトマトカリー》のベースは、なんとカツオと昆布の合わせダシ。ラムは、脂を丁寧に取り除き、しっかりと焼きつけてから煮込むことで、臭みを感じさせない上品な仕上がりに。仕上げにかけられたバルサミコソースからも、型にはまらず、ひと皿を作品として本能で仕上げていることを感じます。

スパイスに和の食材やダシを合わせ、丁寧に仕込まれたカレーをいただくと、じんわりと身体の芯から元気に。辛さや刺激を求める人向きではありませんが、優しさを求める飲食店にありがちな“物足りなさ”はありません。小さな厨房で、手間ひまかけて仕込まれ、仕上げられたひと皿は、心身ともに満足度高し。

夜はカレーを頼む人、激減。自由なバータイム

実はこの〔代々木カリー〕、夜になると、ランチタイムとは打って変わって、カレーを注文する人がぐんと減るんです。まさかの、ひと皿もカレーが出ない日も。

なぜなら夜は、目を疑うほど、おつまみメニューが充実するから。スパイスを効かせたポテサラや唐揚げ、キャロットラペのような、カレー屋のサイドメニューらしいものから、アヒージョやコンフィ、とろっとろのビーフシチューに、ハーブが香るロールキャベツのようなビストロメニューまで。オリーブにアンチョビを詰めてフライにした《アンチョビオリーブフライ》なんてメニューが、この小さなカレー屋で食べられるなんて……! と、ついついカレー以外のメニューを試していると、カレーにたどり着く前に、満足してしまうのです。

もちろん夜だって、カレーだけを注文してサクッとお腹を満たすのもあり。逆に、種類豊富なカクテルを楽しみ、〆にカレーという使い方も。中には、仕事帰りに一杯だけという常連さんもいるとか。

カレーを目指す人、お酒を楽しむ場所として目指す人、とにかくお店を目指す人。小さいけれど、いろんな層を広い心で受け入れてくれる〔代々木カリー〕。使い方は、どこまでも自由です。

【代々木カリー】
●住所:東京都渋谷区代々木1-28-9 代々木ヴィレッジ コンテナ04
●電話:03-6300-9045
●営業時間:11:30〜14:30L.O./17:00〜22:30L.O.
●定休日:代々木ヴィレッジの休館日に準ずる

●醍醐由貴子(だいごゆきこ)
ライター。女性誌から男性誌まで、ジャンルはフードからライフスタイルまで、幅広く活動中。すっかり意見するようになった息子に助けられつつ、日々奮闘しています。

●写真 さくらいしょうこ

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