【命のてがみ #2】祖母の手のひらと君の温かさ

フォトグラファー・HAL KUZUYAさんが自身の妊娠、出産体験を写真と共に綴る連載エッセイです。命はどこからやってくるのか? 妊娠と同時に“当たり前”であるはずの「自分の命が来た道」を考えるーー。第2回目は、家族と自分とお腹の子とが“繋がる”瞬間について。

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写真提供:HAL KUZUYA

初めて胎児のエコーを見たときに、
そのあまりにも小さいけれど大きな存在に、衝撃を受けた。
小さな体全身が心臓となり鼓動していた
力強い「命」の存在。

私の中にある小さな命は、一つのつながれた糸の先、
顔も名前もわからない、祖先から
大地を、時を、旅して
そして、いま受け継がれようとしている。
何者とかでは無くただ鼓動する1つの存在として。

随分と歳をとり、ぼんやりとしていることの多くなった祖母の顔が。
まだ膨らんでもいないお腹を撫でた途端に、
パッ!っと煌めいた。

手から伝わる命のエネルギー
あと数年とちょっとで戻っていく命と。
これから何十年も生きてゆくであろう命。

お腹の中の「君」は、彼女のことを、記憶しないかもしれない。
けれども確かにあなたが受け継いだのは
そこに在った命の流れなのだ。
温かいその手のぬくもりなのだ
そんな当たり前だけど、見えなくなること。
残したい。伝えたい

会えるよね?「君」の曾おばあちゃん、曾おじいちゃんと。
まだまだ元気でいてください。
抱いてください。あなた方から繋がったこの命を。

家族に妊娠を伝えたのは、安定期に入るずっと前。
まだ心拍も確認できていない妊娠8週目のとき。
サポートは多いほうがいいと夫と相談の上、早い段階での報告。
思った以上に喜ぶ家族。

家を出て自立したのが15のときだったから、少し遠い存在の家族。
それでも、こうして繋がっていて、それが家族というもの。
小さい小さい存在が、大きく思えた瞬間だ。

何年かぶりに実家で正月を迎えた。
父と母と夫と初日の出を見に近所の丘までやってきた。

「また一緒に、こんな風に初日の出を見ることがあるなんて思わなかった」
父が言った一言。

こんな機会を作ってくれた、お腹の中の命に、
心から感謝します。ありがとう。

●文、写真 HAL KUZUYA
フォトグラファー。東京と京都に拠点を置き、主にファッション、広告の分野で活動中。

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