カンタン、やさしい、何でもいい! 創業120年余の昆布のプロが教えるおいしい出汁(だし)の引き方

昆布やかつお節などからていねいに出汁(だし)を引いている人には「お料理上手」というイメージがあるもの。憧れてしまいます。でも、「めんどくさいから毎日続けられない」と感じてしまうのもまた事実。

昆布出汁を取るのは面倒くさい仕事なのでしょうか。カンタンに取る方法ではおいしくならないというのは、事実なのでしょうか? プロに取材しました!

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その答えを、築地に行って聞いてきました!

出汁の引き方の答えを知るべく、明治25年(1927年)に創業した昆布専門問屋〔昆布商 吹田商店〕五代目社長で日本各地の小学校をはじめセミナーで講師も務めている吹田勝良さんに、本当においしい出汁の引きかたをうかがいました。

店頭には、日高昆布や利尻昆布、羅臼昆布や真昆布といったいくつもの種類の昆布が、扱いやすいサイズにカットしてあったり、ほぼ原型だったり、さらには加工されたりして並んでいます。これだけで期待が高まります♪

「おいしい」の感じ方は十人十色。家庭の味が出せればいい

「沸騰した鍋に放り込むだけ」のかつお節と違い、昆布出汁となると、取るのがやや面倒に感じてしまいます。その理由は「一定時間水につけておかないといけない」「沸騰させてはいけない」「温度管理に気をつけないといけない」「長時間鍋の中に入れたままにしておいてはいけない」などさまざまな「○○はいけない」がつきまとうから。

ところが吹田さんはしょっぱなから「昆布出汁の取り方なんて、何でもいいんです。『カンタン、やさしい、何でもいい』。これが基本です」と断言します。

話しながら目の前に出してくれたのは3種類の昆布出汁。飲み比べたところ、中央のものが、若干旨味成分が薄く塩分が濃く感じましたが、どれもおいしい。さすが、昆布のプロが取った出汁だなぁと納得です。

「これね、全部、鍋の中で沸騰させて取ったものなんだよ」と吹田さん。そして、百聞は一見にしかずとばかりに、鍋にカップで量った水と鍋に入る程度の大きさに折った昆布を入れ、クッキングヒーターの火力を最大に、タイマーは10分にセットしてテーブルに戻ります。

クッキングヒーターのタイマーが切れるまでの間、飲み比べをした3種類の昆布――真昆布、利尻昆布、日高昆布と羅臼昆布の歴史についてお話してくださいました。内容は、出汁として使われた最初のものは真昆布だったのに、なぜ東京近辺では真昆布より日高昆布が多く売られているのか、なぜ京都では利尻昆布が多く使われているのか、など。

驚いたのは、先ほどの飲み比べ体験で、旨味成分が薄く感じられた出汁の正体が、高級和食店などでの消費量が高い利尻昆布だったこと。たとえ旨味が濃くなくても、利尻昆布のもつ塩分のおかげで、野菜の旨味や甘味が引き立ち、殺生できないゆえ動物性のものを口にできない僧侶の多い京都で重宝がられたことなどを教えてもらいました。

そんな話をお聞きしているうちに、10分が経過。途中、ボコボコと大量の細かい泡を出しながら沸騰していた鍋の中身もすっかり落ち着いて澄んだ液体になっています。

ある程度、出汁が冷めたところで、また試飲してみることに。すると、先ほど飲み比べたものと同じ、濃厚な旨味。

「最強の火力で、温度管理なし、ついている必要なし、おしゃべりしているうちに、たった10分でおいしい出汁が取れたでしょう?」と吹田さんは笑います。

「えぐみが出る、ということはないんですか?」と質問すると、「えぐみ、感じます?」と逆に質問されることに。「感じないでしょう? 昆布がいいからね」と吹田さん。「良い素材を選びさえすれば、まずくなりようがないんだよ」。

おいしい出汁が取れる昆布は黒くない!

そうすると、気になるのが「良い昆布の見分け方」です。

吹田さんは、こう教えてくれました。「乾燥したての真新しい昆布は、黒くてピカピカしているのが特徴。でも、それを選んじゃダメ。海藻臭いから。むしろ昆布の旨味が白い粉として吹き出てきている時間が経ったもののほうが、余計な香りがしなくておいしいんですよ」。

これまでの常識がガラガラと音を立てて崩れたように感じてしまいました。

「料理に自信がない人ほど、いつでも出汁を使ってほしい」

ここまで、昆布出汁オンリーで話をお聞きしてきましたが、「東京の人だと、昆布だけでは物足りないよね」と別のコップを手渡してくれました。飲んでみると、ただただ「おいしい」という感想しか出てきません。これは、すでに取ってある昆布出汁と鰹出汁を合わせたもの。昆布のアミノ酸と鰹のイノシン酸が出会うことで相乗効果が生まれ、4倍にも8倍にもおいしく感じられるとのことでした。

「懐石のお吸い物をいただいている気分です」と伝えると、「でもこれ、塩も醤油も入っていないのよ」と吹田さん。「塩、醤油、砂糖……味付けに自信がないと、なんとなく物足りなさを感じて、次々に調味料を追加してしまいますよね。結果、味が濃いだけのものができてしまう。でも、ちゃんと出汁を引いていれば、調味料なんかいらないんです。料理に自信がない人ほど、出汁をたっぷりと使ってほしいですね」。

では、どうすればおいしい出汁を取ることができるのでしょうか。

おいしい出汁取り、おさえたいポイントはわずか3つ!

吹田さんは、「大切なのはほんのわずかなこと。それさえ守っていれば、本当に『何でもいい』んです」と言います。教えてくれたポイントは以下の3つ。

1. よい昆布を選ぶ
「細かく切ってあるものだとえぐみが出るので、できるだけ原型をとどめたものを。野菜中心の煮物に使うのであれば利尻昆布がいいし、それ以外なら真昆布がオススメ。ただ、手に入りにくい場合は日高昆布は万能です。旨味だけを味わいたいなら、1年2年経過しているようなものを選んで!」


2. 鍋に入る程度の大きさにカットする
「細かく切ったほうが旨味が出やすいと感じるかもしれませんが、命を終えてもなお自分の体を守るために、昆布はえぐみ成分を含んだ粘液を切り口から出してきます。なので、できるだけ切らないほうがいいでしょう。鍋からはみ出ない程度がオススメですね」

3. 基本の分量「1、2、3」をしっかり量る
「何でもいいとはいえ、昆布の分量が少なくては旨味も足りなくなってしまう。覚えやすいのが、水1L、昆布20g、鰹節30g。鍋に昆布と水を入れたら火にかけて10分。沸騰して少ししたら鰹節を追加して。追加した鰹節がなじんだら火を止めて、鍋の中が落ち着いたらラーメンの湯切りでも何でもいいから濾しておしまい」

水出しならもっと手間がかからない!

こんなにカンタンでいいのかと驚いていると、「昔の人は、みんなやってたんだから、面倒くさいやり方のはずがない」と吹田さんはいいます。「掃除も洗濯も、今より時間がかかっていた時代に、そんなに手間ひまかけていられないでしょう? みなさんが考えているより、カンタンで適当にやっていたはずなんです。現代人が複雑に考えすぎなんですよね」と解説してくれました。

そして、水出しはもっとカンタンだと教えてくれました。「水2Lに昆布40g。丸一日で使えるようになる。完成した昆布出汁は冷蔵庫で5日はもつので、いろいろな料理に使ってほしい」とのこと。「チキンラーメンをこれで作ると、ものすごくおいしくなりますよ」と小ネタも披露してくれました。

常備菜にもなる「出汁取りあとの昆布」

「取ったあとの昆布がもったいない、と思うなら、佃煮がオススメ」と吹田さん。2cm角に切った昆布を砂糖醤油で煮付けるだけとお手軽です。

佃煮を作る際も、3日ぶん程度の昆布を溜めておいて、まとめて作ってもOK。「作った昆布の佃煮は、冷凍保存しておけば長持ち。お弁当のおかずに、ご飯のお供に、お茶漬けに、など、常備菜として大活躍しますよ」と献立のヒントになりそうな情報も教えてくれました。

10分で取れるおいしい出汁、さっそく試してみては?

いかがでしたか? 〔昆布商 吹田商店〕では、《昆布セミナー》も開催しています。申込みは6人以上のグループから、となっていますが、今回お伝えしきれなかった内容のほか、料理別昆布の選び方などもレクチャー。

取材が終わって、真昆布(店頭では《山出し昆布》で販売)を購入し、教わった“技”をさっそく夕食づくりで実践したところ、「今日のお味噌汁は濃厚で甘みがあっておいしい!」と大評判。

本当に10分でおいしい出汁が取れるのか、ご自分の舌で確かめてみては?

【店舗情報】昆布商 吹田商店
●住所 東京都中央区築地4-11-1
●電話 03-3541-6931
●営業時間 6:00~14:00
●店休日 日・祝・休市日

●ライター 渡辺まりか


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