ボーリング場になるはずが・・・カッコいいオフィスに変身！！

異なるカルチャーの融合を目指して

「オフィスデザインを考えるにあたり、博報堂とTBWAワールドワイドという、二つの全く異なるカルチャーを融合させることを目標としました。」とは人事総務室の高橋氏。
具体的には、「TBWA HAKUHODOのビジョンでありメソッドであるDISRUPTION(R)という考え、簡単に言うと“今までに無い様なものを作る”という考えに基づき、“通常のオフィスビルに入らないこと”、“公園の様な区間をめざすこと”、“部署ごとに壁を作らないこと”」等を方針として設定し、デザインを検討されたとのこと。

赤が目を惹くエントランス

6階の受付フロアに上がり最初に目につくのは、レッドで統一された椅子たち。床にはブルーとイエローのラグが敷かれ、他社ではなかなかお目に係ることのないポップな空間に。

担当の方に到着を伝えようと、受付けカウンターへ目を向ければ、そこには赤いアナログ電話が。ここは遊び心であえてアナログ式の電話にされたそう。

受付けを終え一歩中に入れば、右手には天板を同じく赤に仕立て直したビリヤード台が。ビリヤード台の上には、天板にメッセージを照射するためのライトが設置されており、プレートを入れ替えることでメッセージを変更できるとのこと。

公園をイメージしたメインフロア

受付けフロアから見下ろした5階の執務フロアは、グリーンを基調にホワイトや木目の部材が散りばめられ、まさに公園のよう。「元々ボーリング場が予定されていたスペースだったため、通常のオフィスにはある柱がなく、開けた空間を実現できました。」

「広々としているものの音の反射が少ないため、周りの音が気になることもなく、仕事に集中しやすい環境となっています」とは広報部の藤原氏。

公園の様な5階へ下る階段は大きく立派なものであったため、ビルが施工された当初からある構造なのかと伺ったところ、「オフィスをデザインした際に、新たに設置したものです。」と総務部の阿部氏。

交流を促すカフェスペース

こちらのオフィスの目的である“二つのカルチャーの融合”を、促進する機能の一つがカフェスペース。何台ものコーヒーマシーンが並び、朝にはパンも置かれ、冬にはスープも並ぶそう。
「1階や9階にもフロアがあり、常に皆が同じフロアにいるわけでは無いので、ここで色んな部署の社員が雑談したり、コミュニケーションをとる場となっています。」とは広報部谷口氏

丘や小屋の様なミーティングスペース/ライブラリー

執務フロアに点在する丘や小屋の様な部屋は、実はミーティングスペースやライブラリー。小屋の高さや壁面のバリエーションは複数あり、4面のうち2面が透明なタイプが多く、これも開放的な空間作りの一助になっている。
一方幾つかは一面が黒い壁となっており、その用途を伺うと、「プランナーがプランやアイデア等を貼り、ディスカッションの際に使用しています」とのことだ。

ライブラリーは、一般的に実利的なスペースとなりがちなところ、こちらのオフィスでは本好き人の部屋といった趣の空間となっている。

散りばめられたボーリング場の面影

元ボーリング場予定スペースであったこともあり、フロアのところどころにはボーリングをイメージさせるものが散りばめられている。

フロアを横切るように引かれた白いライン。そのラインの端に目を向けるとボーリング玉のイラストが描かれており、白いラインをレーンに見立てている事に気付く。
そのレーンの奥に位置する天井には特徴的なダウンライトが。こちらはボーリングのピンを模しているとのことで、広告会社らしくイメージを刺激する仕掛けが施されている。

実務的なレイアウトになりがちなオフィスデザイン。TBWA HAKUHODOのメインフロアは、公園をイメージした全体のデザインと、各所に散りばめられたボーリングのデザインにより、息が詰まること無く創造的な仕事ができそうなオフィスとなっていました。特に天井高を活かした、中央の大階段は空間をより広く感じることができ、自社にも欲しいと思わずにはいられないものでした。

●物件概要
　所在地　　：東京都港区芝浦1-13-10 第3東運ビル
　築年数　　：1974年
　形態　　　：リノベーション
　設計　　　：クライン ダイサム アーキテクツ
　施工時期　：2007年

Photo　　　 ：株式会社TBWA HAKUHODO 提供、及び小久保直宣（LIMIA編集部）
Text　　　　：小川大智（LIMIA編集部）

●取材協力
　株式会社TBWA HAKUHODO
　http://www.tbwahakuhodo.co.jp/

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