【下町グルメ♪】谷中の街散策に彩りをそえる〔谷中岡埜栄泉〕の豆大福

東東京の町歩きスポットとして人気を集めている「谷根千」。昭和の面影を残し、半世紀以上も前から建つ古民家や寺院が点在しており、町を歩けば活気あふれる商店街、おしゃべりを楽しむおばあちゃんたちの姿、ひなたぼっこする猫に出会います。そんな谷根千で、地元の人から長きに渡り愛され続ける豆大福を紹介します。

本サービス内ではアフィリエイト広告を利用しています

  • 7019
  • 25
  • 0
  • いいね
  • クリップ

下町散歩コースのランドマーク

谷中から上野公園へと続く散歩コースには古い建物が立ち並び、昔と変わらない暮らしを大切に暮らしている町の人たちの息遣いが聞こえてきます。

上野桜木の交差点には、1916(大正5)年に建てられた木造二階建てのカフェ〔カヤバ珈琲〕が谷中を訪れる人をお出迎えしています。レトロな店内でいただく名物《ルシアン》(コーヒーとココアを半々で割ったドリンク)や厚焼き卵がサンドされたタマゴサンドを求める人で、連日、行列が途絶えない人気店です。

〔カヤバ珈琲〕をすぎ、歩を進めると、黄色い看板に「愛玉子」と書かれた看板が目に飛び込んできます。こちらは1934(昭和)9年創業の台湾の代表的デザート《愛玉子(オーギョーチイ)》の専門店。食通で知られる作家・池波正太郎をはじめ、この界隈にかつて暮らした文豪たちも多く訪れた名店です。

愛玉子とは台湾北部の山間部に自生する植物で、乾燥させたものを水のなかで揉むとゼリー状のものができます。これにレモンシロップをかけていただきます。つるんとした歯ごたえの愛玉子は、不思議な味で、一度は味わってみたいおやつです。

〔愛玉子〕の向かいに静かに佇む和菓子店〔谷中岡埜榮泉〕。1900(明治33)年に創業し、現在は4代目がその暖簾を守っています。木造二階建ての趣ある店構えは、上野公園へと続く散歩コースのシンボル的な存在となっています。

この建物は戦後に建てられたもので、創業当初の建物は、戦争の被害を最小限にとどめるために取り壊されました。現在、店先に飾られている看板は、戦時中、近所のお寺に預け守ってもらったものなのだそうです。

手作りだからこその繊細な味わいの豆大福

お店の外に張り出された「本日の豆大福ございます」は、豆大福がまだ売り切れていないという合図です。こちらの豆大福は近所の人や、足繁く通うファンの方が多く、午後の早い時間に売り切れてしまうことがあります。

ガラガラと引き戸を引き、店内へ入れば、凛とした空気が流れます。豆大福は1つ230円。「おひとつからどうぞ」と張り紙もあるので、食べ歩き用に1つ購入してみてもよいかもしれません。通りすがりで1つ買って行かれた人が、走って戻ってきて「もう1つください!」なんてうれしいこともあったのだそうです。

つきたてのお餅でこしあんを包んだ小ぶりの豆大福。ひじょうにやわらかいお餅に包まれているので食べると伸びがよく、口のなかでこしあんと一体化し、食べだしたら止まりません。あんこは、こしあんながら、小豆の豆感を感じることができ、品のある甘さで、主張しすぎることなく、お餅がもつ本来の美味しさを際立たせています。

「お餅が固くなってしまうので今日中に召し上がってくださいね」と女将さん。それでも、もし固くなってしまったら、トースターで軽くあぶるとよいのだそう。火をいれることで、おもちがとろけ、またちがった味わいになります。谷中岡埜栄泉の豆大福は、力強い豆大福というよりも、お餅、えんどう、小豆の素材の良さをたのしめるやさしい味わい。それはまるで、そこはなとなく上品で、心やさしい谷中の町のような豆大福です。

【谷中岡埜栄泉】
●住所:東京都台東区谷中6-1-26
●営業:9:30〜17:00
●定休:月・水曜


●ライター 忍章子

  • 7019
  • 25
  • いいね
  • クリップ
コンテンツを違反報告する

あなたにおすすめ

関連キーワード

カテゴリ

このアイデアを投稿したユーザー

ご家庭で簡単に作れる身近なレシピから、本場のプロの味を再現したレシピまで食を通じて生活を豊かにしてくれるアイデアを発信していきます!

LIMIA グルメ部さんの他のアイデア

食品・レシピのデイリーランキング

おすすめのアイデア