原材料や道具のディスプレイから生まれるお客様との会話【aeru meguro】

目黒駅から歩いて約3分、住宅街へ少し進んだところにある〔aeru meguro〕は、「日本の伝統や先人の智慧を現代の暮らしの中で活かし、次世代につなぐこと」を目指す株式会社和えるが展開する“0から6歳の伝統ブランド〔aeru〕の東京直営店。子どもの頃から大人になるまで、伝統や職人の技と想いの込もった“日本のホンモノ”を長く使ってほしい――そんな願いを叶えられる店内で、ホストマザー(店長)の森恵理佳さんにお話を聞きました。

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赤ちゃん・子どもの頃から使える日用品を、大人になっても大切に使う

——aeruに参画されているのはいつからですか?

森恵理佳さん(以下、森さん):〔aeru meguro〕のオープンに向けて準備している頃からです。〔aeru meguro〕は、2017年7月に3周年を迎えました。和える代表の矢島とともに、日本の伝統に出逢っていただける場所作りに取り組んできました。日本全国の職人と共に、子どもたちが生まれたときから使える日用品を生み出し、お届けしております。

——〔aeru meguro〕のコンセプトを教えてください。

森さん:私たちは、会社を人間の子どものように考え、「和えるくん」と呼んでいます。和えるくんは、会社設立と同時に誕生したので、もう7歳。このお店は、「和えるくんのお家」というコンセプトで作りました。お家にお客様をお迎えするような気持ちで、「どんな方がお越しくださるだろう」「こんな風に過ごしていただきたい」と考えながら取り組んでいます。

お店に来た方には、鞄などを置いていただき、ソファにかけたり、商品をゆっくりとご覧になったり、リラックスした時間を過ごしていただいています。

——どのような商品を扱っているのですか。

森さん:0~6歳のお子さまから使える日用品です。器やコップなど食卓でお使いいただけるものから、前掛けやブランケットなど身につけていただけるもの、ご家族で楽しんでいただける玩具まで、全国の職人さんと伝統の技を活かして生み出しています。生まれたときから、大人になっても使えるようなデザインになっており、まさに「一生もの」として使っていただきたいと思っています。

そのため、陶磁器やガラスなどが割れたり欠けたりした際は、お直しをしていただけます。つなぎ目を金や銀でお化粧をして、あえて目立たせる粋な「金継ぎ」「銀継ぎ」は、「思い出がデザインのように残っていくようで愛着が沸く」というご感想をいただくことも。お店に、職人さんをお招きして金継ぎ・銀継ぎのワークショップをすることもございます。

〔aeru〕の商品だけでなく、ご自宅の大切な器たちのお直しも承っており、〔aeru〕のお直しを選んでくださる方は年々増えています。3度、お直しをしてくださったお客様もいらっしゃるんですよ。他にも漆器は塗り直し・艶直し、『手漉き和紙のボール』は漉き直しという方法でお直しを承っています。

銀継ぎでお直しをしたaeru『徳島県から 大谷焼の こぼしにくい器』。割れた箇所が銀でつながれ、世界にひとつだけの模様ができていく。それもまた、物を大切にする心が育まれるはず。

目的は、売ることではなく日本の伝統や先人の智慧を伝えること

——お店では、ワークショップもされているんですね。

森さん:はい。毎月、さまざまなワークショップを開催しております。こちらは、三重県の伊勢型紙と愛媛県の五十崎和紙で作るオリジナルはがきのワークショップ。伊勢型紙とは、着物や帯などを染めるために使われているお道具の一つです。実は、〔aeru〕の『東京都から 江戸更紗の おでかけ前掛け』を染める際にも用いているのですよ。

ワークショップは、型紙や和紙などの伝統的なお素材やお道具の魅力と染めの技法を体感していただけるように、ご予約不要でいつでも店内にて承ります。五十崎和紙でできたはがきに、型紙を載せ、その上から色を着けていただくことで、オリジナルのはがきができあがります。

型紙はすべて、職人さんが手で彫ったもの。作る工程を体感していただくことで、日本の伝統や職人さんの技や想いを伝えたいと考えています。

——伝統を伝えることが大切なのはなぜですか?

森さん:伝統とは、語り継がれてきたもの。暮らしと深く結びついて、先人たちが生みだしてきた智慧の蓄積です。でもそれが今、産業としては規模が小さくなりつつあります。魅力的な日本の宝物がたくさんあるのに、「知られていない」という理由で、失われつつあるのではないでしょうか。だから、次世代に伝えることが必要なのです。より多くの方にご興味をもっていただくために、店内には商品と並んで原材料や工程の写真や動画、職人さんが実際に使うお道具なども飾っています。

——例えば、どんなものがありますか?

森さん:例えば、藍の葉。『徳島県から 本藍染の 出産祝いセット』を生み出すときに使っているものです。職人さんは、この葉を用いて、化学原料を一切使わずに、自然の恵みだけで染めていらっしゃるのです。

また、こちらは職人さんからいただいてきた漆の木。このように傷をつけると、漆の樹液が出てきます。その樹液を用いて、漆器が生み出されているのです。「わー! すごい」とお子さまが触れてくださることも。こういった原材料などがあると会話が自然と生まれます。お客様とは、ずっと会話させていただいているような感じです。

売ることよりも、伝えることを大切にしています。お子さまをお招きして、〔aeru〕のお茶碗やお箸を用いて日本の食事の所作についてお話させていただくワークショップや、職人さんによるトークイベントを開催することもあります。

——工房へも行かれるんですか?

森さん:はい。全国の工房に伺い、職人さんたちの仕事にかける想いや技を学ばせていただいています。実際に目にするのと、話に聞くのとではお伝えできる内容が異なってきますので、お店にいながら少しでも、職人さんのものづくりへの姿勢や先人の智慧を感じていただけるように、と考えています。

——今後、伝統をもっとたくさんの人に伝えるために、どのようなことを考えていますか?

森さん:より多くの人に、日本の伝統を「面白い」「もっと知りたい」と思っていただけるきっかけづくりをしていきたいと思っています。空間を通して日本の伝統を体感していただけるホテルのプロデュース事業“aeru room”やオーダーメイド事業“aeru oatsurae”なども展開しており、日本の伝統に出逢う仕組みをひとつずつ生み出していきたいと考えています。

家づくりの参考になる、注目のディスプレイ

自宅で真似をするのは難しいものの、特筆すべきは可動式の棚。円を描くように動く仕組みになっている。

大きな可動式の棚に、余裕をもってディスプレイされている商品。下のほうには平たいものを、上のほうに高さのあるものを配置。身につけるもの、玩具、食卓で使うものなども、まとめて配置されている。

『大分県から 竹細工の ベッドメリー』。年月を重ねると、徐々にあめ色に変わっていくのだそう。子どもたちの成長と一緒に、「育てていく」という感覚でモノとつきあう。

動きのあるものを上からつるすことで、店内により奥行きが感じられる。

小さな子どもたちが上手にすくいやすいよう、内側に反りと返しが付いた『こぼしにくい器』。森さんは「自分で食べるを応援できる」と話した。

小豆を中に入れ、すくいやすさを試せるようになっている。

【aeru meguro】
●住所:東京都品川区上大崎3-10-50 シード花房山S+105
●営業時間:11:00~18:00(水曜定休)
●アクセス:目黒駅 徒歩3分(JR山手線・東京メトロ南北線・都営三田線)
●電話番号:03-6721-9624

【aeru gojo】
100年以上佇む京町家を活かした京都直営店。aeru meguroとは異なるディスプレイを楽しめる。
●住所:京都府京都市下京区松原通室町東入玉津島町298
●営業時間:10:00〜17:00(水曜定休)
●アクセス:五条駅・四条駅 徒歩5分(地下鉄烏丸線)、烏丸駅 徒歩7分(阪急京都線)、烏丸松原 徒歩2分(市営バス)
●電話番号:075-371-3905


●ライター 栃尾江美
●カメラ 柏木鈴代

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