太陽光発電での売電収入にも確定申告が必要?減価償却から補助金制度まで徹底解説

太陽光発電は家庭用の場合でも経済産業省への設備認定が義務付けられています。では、電力会社との間で発生する太陽光発電による電力の買取や設備にはどんな税金がかかるのでしょうか?太陽光発電に関わる税金の種類や計算例の具体例、確定申告の有無、システム導入時の補助金制度についてもご紹介いたします。

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太陽光発電にはどんな税金が課されるの?

【所得税の対象となる「売却益」】
太陽光発電を設置して稼働するためには、電力会社との間で「電力需給契約」を結ばなければなりません。これは、余剰の電力を買い取ってもらい、不足の場合は電力会社から電力を買う契約です。この電力会社に売った電力は「売却益」として所得税の対象になります。

太陽光発電で得た売却益は「雑所得」として計上しますが、年間の金額が200,000円未満なら非課税となっています。一般家庭用として一般的な4kW程度のシステムであれば、所得税がかかる心配はほとんどないようです。

【発電設備はソーラーパネルのタイプによって固定資産税の対象に】
太陽光発電の設備に関しては、設置された物によって固定資産税がかかる場合があります。課税されるのは、屋根と一体になったタイプのソーラーパネルです。パネル自体が屋根の一部として考えられるために課税の対象となります。課税額は調査によって決まりますが、太陽光パネル1㎡あたり約150~200円です。

4kWの太陽光発電設備なら、およそ25㎡ですから、3,750~5,000円くらいの固定資産税がかかる計算になります。一方、家庭用の架台などで屋根に乗せる据え置きタイプのソーラーパネルには固定資産税はかかりません。ただし、産業用サイズの10kW以上だと、据え置きタイプでも固定資産税が加算されます。

太陽光発電で確定申告に必要なのはどんな書類?

【太陽光発電で得た売却益の確定申告の必要書類】
売却益が年間200,000円を越えた場合には、雑所得として確定申告を行いますが、その際に必要なのが以下の5つの書類です。

1:電力会社から届く「購入電力量のお知らせ」、または、売電収入の入金が確認できる預金通帳
2:太陽光発電設備を取得した際の売買契約書と設置業者などからの請求書
3:太陽光発電設備の設置に借入金を利用した場合は、それにかかった金銭消費貸借契約書
4:電力会社との連系工事負担金が発生した場合は、追加変更故契約を結んだ契約書や、それにかかる請求書など
5:ソーラーパネルの直流電力を家庭用の交流電力に変換するための「パワーコンディショナー」の電気代にかかる納付書

他にも、修理やメンテナンスを行った場合には必要経費として計上する場合には、金額が確認できる請求書や領収書が必要になります。

太陽光発電の売電収入・減価償却の計算方法

太陽光発電を設置したら減価償却が必要になる?

事業を行う上で必要な物のうち時間とともに価値の下がるものを「減価償却資産」と言います。自動車などがこれに該当します。自動車は何年も使っていくうちに古くなり、価値が下がっていきます。この「減価償却資産」を経費として繰り入れていく際に、法定耐用年数に応じて何年かに分けます。これを「減価償却」と言うのです。

経費とは事業にかかる費用のことで、収入から差し引くことで利益が圧縮され、その分税負担が軽減されることになります。ただし減価償却費が通常の経費と違うのは、購入したその年にすべてを繰り入れることができないことです。自動車の場合は耐用年数が6年ですので、1,200,000円で購入した場合は毎年200,000円ずつを減価償却費として計上していきます。

ちなみに国税庁のホームページでは、減価償却の概要について「減価償却資産の償却に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です」と説明しています。また減価償却にするのは「建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産」となっており、太陽光発電システムの設備一式も含まれます。

太陽光発電を導入する場合、太陽電池モジュールなどの設備が必要ですが、規模によりその費用は数百万円から数千万円です。取得費が100,000円以上の場合は減価償却資産となりますので、確定申告の際に減価償却を行わなければなりません。ただしすべてのケースで減価償却が必要となる訳ではありません。このことについては次の章で詳しく説明します。

太陽光発電システムで減価償却が必要になるのは?

太陽光発電を導入するのは、次の2つのパターンに分けられます。
・自宅の電力として利用する
・太陽光発電で収入を得る(事業とする)

このうち減価償却が必要なのは太陽光発電で事業を行っている人(もしくは会社)です。売電によって利益を得るのが太陽光発電による事業ですが、利益を生み出すために購入した太陽光発電設備の費用を、減価償却費として計上していくのです。

ただし太陽光発電システムで発電した電力を自宅で消費する人の場合も減価償却しなくてはいけないケースがあります。それは余剰電力を売った場合の1年間の収入が200,000円以上となったときです。売電による収入は雑所得に区分されるのですが、雑所得が200,000円以内であれば確定申告の必要はありません。しかし雑所得が200,000円以上となると、確定申告をしなければならなくなるのです。

個人事業主などは確定申告の際に、売電収入を雑所得として合わせて計上することになります。会社員などの給与所得者の場合はご自身で確定申告をする必要があります。会社から渡される源泉徴収票などをもとに確定申告をすることになります。

計算方法

【売電収入の計算方法】
確定申告では「売却益」から「必要経費」を引いた金額を所得として申請します。例えば、発電量のひと月あたりの平均が1,000kWで、700kWを売却したとします。これを2016年の2月から固定買取制度による買取価格の「1kWあたり33~35円」で買い取ってもらった場合の売電収入を計算してみましょう。

・700kWh×33~35円/kW×11ヶ月=254,100~269,500円 

【減価償却の出し方】
前述したように、太陽光発電設備の減価償却は、売電収入を得るために行った設備投資の金額を必要経費として、利益から差し引くものです。長年にわたって使う設備の場合は、設備の経費を複数年の利益に分配します。上記の太陽光発電の設備費用として2,000,000円かかり、2016年の2月1日から太陽光発電を開始したという想定で、減価償却を計算してみましょう。2,000,000円の設備費用のうち、必要経費として計上できるのは、余剰電力の売却に必要な分のみです。1,000kW中700kWを売却しているため、売電の比率を70%として計算します。

・2,000,000円×0.7=1,400,000円 (設備投資の必要経費)

太陽光発電の場合、税務上の耐用年数は17年と定められているため、毎年の償却率は0.059になります。これを設備投資の必要経費に掛けると申告可能な経費となり、月数を掛けることで減価償却費の値を求めることができます。

・1÷17=0.059 (減価償却率)
・1,400,000×0.059=82,600円 (申告可能な経費)
・82,600×11ヶ月/12ヶ付き=75,717円 (減価償却の金額)

太陽光発電の補助金制度

CO2削減の取り組みの一環として、補助金制度が用意されている太陽光発電システム。一般家庭の場合、これまでは国、都道府県、市区町村から最大3種類の補助金を受けることができました。

しかし、太陽光発電システム自体の普及率が高まったことや設置費用が以前に比べて安価になったこと、それと同時に設置者の経済的メリットが高くなったことなどを受け、国からの補助金は2014年で打ち切られることとなりました。そのため、2017年現在で補助金制度を利用する場合は、各都道府県と市区町村の補助金制度を受けることが基本になります。

補助金は、大きく分類すると以下のような内容で受けられます。

・発電kW数に応じた金額を補助
・システム設置にかかる費用に応じた金額を補助
・一定金額の補助

ただし、補助金の内容についてはそれぞれの地方自治体が独自に決定しているので注意が必要です。太陽光発電を設置すれば必ず受けられるというものでもなく、設置の条件が細かく規定されていたり、年次ごとに定員が設けられ、早々に規定数に達してしまったりする場合などがあります。

「今年は補助金の枠に入れなかったから、来年また検討する」というのもひとつの手ではありますが、次年度も継続して補助金制度を導入しているとは限りません。年々余剰電力の買い取り価格も下がっていることを踏まえると、補助金制度を利用することにこだわるかどうかは、総合的な判断が必要です。

都道府県別の補助金制度の詳しい内容は?

2017年度の場合、実際に都道府県ごとにどのような補助金制度があるのかを見てみましょう。すでに受付が終了している場合や、太陽光発電だけではなく蓄電池との併用が必須の場合もあるのでご注意ください。下記以外の県は、残念ながら現在補助金制度を導入していません。

【東北】
・岩手県…1kWあたり20,000円
・宮城県…50,000円
 ※知事が定めた対象モジュールを設置した場合は1件あたり50,000円を上乗せ補助
・山形県…1kWあたり25,000円
・福島県…1kWあたり40,000円

【関東】
埼玉県…費用総額の10分の1
神奈川県…補助対象経費の3分の1以内

【中部】
静岡県…1kWあたり10,000円
愛知県…市町村補助額×4分の1または1kWあたり3,300円の低い方の額

【近畿】
滋賀県…40,000円

【中国】
山口県…1kWあたり8,000円

【四国】
香川県…1kWあたり20,000円

自治体によって予算は異なるため、補助金額には開きがあります。上記に紹介した内容以外にも、太陽光発電に付随した設備の設置でさらに補助金が上乗せできるケースがあるので、適用できる場合は必ず利用しましょう。また、都道府県の補助金制度がなくても市区町村単位で実施している場合もあるので、自分が住んでいる地域のホームページやお知らせなどを見逃さないことが大切です。

補助金計算の具体例

補助金制度で最も多いのは、「1kWあたりの補助金額×設置する太陽光発電モジュールの公称最大出力数」で計算した金額です。

公称最大出力とは、一定の条件下で測定された太陽光パネルの最大出力のこと。メーカーごとに数値は異なり、より出力数の高いモジュールを選べば、同じ面積でも最大出力数はアップします。補助金もそれだけ多くもらえる計算になりますが、多くの自治体では補助金の上限金額が設けられている点に注意しましょう。

【福島県の場合】
例えば福島県の補助金制度は、1kWあたり40,000円が補助金対象。3.71kWが公称最大出力のシステムを設置する場合、40,000円/kW×3.71kW=148,000円が補助金となります。1,000円未満は切り捨てとするのが一般的です。上限は160,000円まで。

【愛知県の場合】
愛知県は福島県よりも1kWあたりの補助金額が少ないため、同じ3.71kWのシステムを設置しても3,300円/kW×3.71kW=12,000円となります。

ですが、愛西市在住であればここからさらに1kWあたり20,000円の補助金制度を受けられるので、20,000円/kW×3.71kW=74,000円が補助金となります。

愛知県の補助金12,000円と愛西市の補助金74,000円で、合計86,000円の補助を受けられる計算です。

(補足)愛知県の補助金は市町村補助額×4分の1または1kWあたり3,300円のうち、低い方の額が適用されます。愛西市からの補助金が74,000円の場合、4分の1の金額は18,500円です。1kWあたりで乗じた12,000円の方が低い額になるため、こちらを適用して計算しています。

まとめ

太陽光発電システムの導入によって得た収入は200,000円を超えると課税対象となります。売電を事業と考えていない方でも、万が一、200,000円以上の収入を得てしまった場合は国税庁へ申告をする必要があります。その場合、確定申告を行わなければなりませんが、節税のためにも減価償却について十分に知識を得ておきましょう。都道府県別の補助金制度についても要チェックです。

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