マンションの売却での購入側/売却側のキャンセル条件を押さえよう!

マンションを売却する際には、購入側/売却側それぞれの都合でキャンセルが起こることがあります。特に契約後にキャンセルする場合は、トラブルを招きやすいため、購入側/売却側どちらもキャンセルするタイミングによる条件の違いを把握しておくことが重要です。キャンセルで生じる不慮の損失を回避するための基礎知識と、円満なキャンセルを成立させるための注意点をまとめました。

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売却側が知っておくべき、購入側のキャンセル条件の基本

マンションの売却では、購入側がキャンセルできる条件を知っておくことが大切です。購入側から発生するキャンセルの条件は、「契約前」と「契約後」で大きく違ってきます。

【契約前なら無条件でキャンセル可能】
購入側がマンションの売却側と契約書を交わしていなければ、無条件でキャンセルが可能です。一方、成立するまではお互いが自由な関係であるため、気に入った物件を申し込んでいても、検討が長引いて他の購入者が先に契約すれば、売却側から申し込みをキャンセルされる可能性もあります。

【契約後のキャンセルで、最もリスクが少ないのが「手付解除」】
マンションなど不動産の売却契約を成立させるためには、購入側から売却側に渡す「手付」が必要です。手付の額は、売却側が宅建業者の場合はマンション代金の20%までと規定されていますが、個人のマンション売却の場合は制限がなく、一般的には5~10%ほどとなっています。

手付は通常は購入代金の前金ですが、キャンセルの場合には「解約手付」と見なされることが民法第557条第1項に示されています。これは契約後に購入側がキャンセルする場合に、手付を全額放棄することでキャンセル可能な期間が設けることで、購入側の解約権保護を目的としたものです。

このように、手付放棄を条件に行うキャンセルを「手付解除」といいます。売却側が手付解除でキャンセルする場合は、手付の2倍額を支払わなくてはなりません。

【「手付解除期限」はいつまで?】
マンション売買での手付解除は、契約後のキャンセルで最もリスクが少なくて済む条件ですが、注意しなくてはならないのはこのキャンセル条件は「手付解除期限」の間のみ有効であることです。

現行の民法では、「当事者の一方が履行に着手するまで」と定めていますが、「履行」とは具体的なマンション売買にかかわる行動というのみで判断基準があいまいであるため、手付解除に当たるかどうかでトラブルの要因にもなってきました。

こうした手付解除期限の問題も含めた民法改正案が2017年5月26日に参院で可決・成立し、改正民法は2020年頃を目途に公布の予定です。改正民法では、「ただし、相手方が契約の履行に着手したあとは、この限りではない」と改正され、購入側/売却側の両方が履行に着手するまでは手付解除期間と判断されるようです。

手付解除期限の判断は難しいため、契約時に双方の話し合いで「手付解除期限日」を設定し、契約に明記する場合もあります。通常は1~2週間ほどとなっており、手付解除期限日以降は手付解除ができなくなります。

【手付解除期間を過ぎてからのキャンセルには違約金が必要】
手付解除期間後にキャンセルしたい場合は、手付の放棄の他に「違約金」が条件に加わります。違約金は手付よりも高く設定される場合が多く、一般的には、手付が購入価格の5~10%であるのに対し、違約金は10~20%が相場です。

契約時には、必ず売却側から違約金の説明がありますから、契約を結ぶ前にきちんと確認・理解をしておくことが大切です。一旦契約を結んだあとは、違約金が取り消されたり、減額されたりすることはほとんどの場合不可能です。違約金の損失額を理解した上で、後で確認できるように契約書の明記も確認するようにしてください。

マンション売却側がキャンセルできる条件は購入側よりも厳しい

マンションを売却する際に、売却側からキャンセルする場合は、契約前は平等ですが、契約後にはより厳しいものとなります。

【売却側からの手付解除は、支払う金額が2倍】
手付解除は、契約の一定期間の「解除権」を売却側/購入側の双方に認めた制度ですが、購入者保護の観点から、売却側がキャンセルを申し出た場合は、手付額の2倍を支払わなければなりません(民法第557条第1項)。これは、一般的には「手付倍返し」といわれています。手付解除期間以降のキャンセルでは、さらに契約書に従った違約金が必要です。

お互いが納得する結果を得るための注意点とは?

【契約時の手付額は話し合って慎重に】
マンションの売却では、個人の場合、契約の際に授受する手付の額に規定がないため、売却側はできるだけ多くの手付を受領して購入側のキャンセルを防ぎたいと考えるものです。しかし、マンションが何らかの理由で販売できなくなった場合には、それだけ高いリスクを背負うことになります。手付額は双方のキャンセルを考えて取り決めておきましょう。

【キャンセルについても契約時によく話し合っておく】
マンション販売の契約では、販売主としては購入側にキャンセルしてほしくないという気持ちが強く働くものですが、万が一のキャンセルの場合に備えて、契約に際しては、売却側から購入者に有利な手付解除の仕組みや、手付解除期間について分かりやすくきちんとした説明を行うことが重要です。

特に最もトラブルとなりやすいのが手付解除期間で、どちらがキャンセルの主体になるかによっても争点となりやすいものですから、手付解除日を設定し、契約書に明記しておくておく方法もあります。一般的には1~2週間ですが、予約設定日を過ぎると違約金がかかりますから、お互いの状況をよく話し合い、納得した上で決定することが大切です。

まとめ

マンションの売却でのキャンセルは、売却側/購入側の両方にとって大きなダメージを与えます。リスクを抑えるためにまず必要なことは、民法が認めている「解除権」の規定を売却側が理解し、購入側にきちんと説明することです。また、契約書には後日確認ができるように、確認点を明文化することも重要になります。売却側/購入側の共通理解を基本に、明快で気持ちの良いマンションの売却を目指しましょう。

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