注文住宅のプランのつくり方。造り手側のはじめの一歩。

設計、はじめの一歩

東京で声をお掛けいただいた案件が１つ。
ちょうど計画を練りはじめたところ。

今日は、
私たち、作り手のはじめの一歩を簡単にご紹介しましょう。

家のプランを作るためには、、、そう！何より住まい手が必要です。
ということで、なにはともあれ、住まい手にお話を伺います。
あまり詳しくは書きませんが、
伺うのは、欲しい部屋とその大きさ、、、ではありません。

家は、条件の決められた敷地に作らなくてはならないので、
プチトマトの詰め放題のように、要望をボリュームにして押し込めば、
ご想像通り、大抵はパンクしてしまいます。

そこで、暮らしぶり＝住まい手の行動を伺うのが正解。
家族それぞれの行為を一つのリビングに重ねていくという訳です。
「部屋名からの解放」をキーワードにしてください。

暮らしぶりが頭に入ったら、
敷地と向かい合うという別の一歩を踏み出します。

実際の土地に立ってみて、いろいろ調べる一歩。
役所でこの敷地を規制する法規を確認する一歩。
周囲の建物や道路との関係について確認する一歩。
周囲の雨水が集まるか？など、地形図で敷地の特徴を掴む一歩。
敷地の気象条件を気象庁のデータなどで調べる一歩。

今日の記事のツボが見えましたね。

さて引き続き、
敷地を3Dに起こし、周りの建物を置いてみて、
敷地の陽当たりを確認する一歩。

陽当たり具合が見えてきたら、プランのことを気にせず、
とりあえずボリュームを置いてみて、陽当たりとの呼応を試す一歩。

ここまでくると、荒削りに家の姿に合点がついてきます。
アッチへコッチへ踏み出して、ひとまずこれで、ひと回り。

ここからが二歩目。ふた回り目。
最初に住まい手に伺った話しを、もう一度紐解いて、
その暮らしぶりを、改めて噛み締めます。

こんな具合に、三周、四周と様々な観点を渡り歩きながら、
家を眺めていくことで、バランスのよい計画を練り上げるのです。
ホームページの「〜だけではない家づくり」とは、
このことを言いたいのですが、判っていただけましたでしょうか。

初回のご提案

初回のご提案をクライアントに差上げました。

最初にお会いしたのが２月の末日、
それから敷地を拝見し、過去に作った家をご覧いただき、
４回目の会合で、初回のご提案となりました。
いつもは、ここまで概ね３～４週間というところです。
桜の季節を挟みましたから。

今回の提案で、いつもと大きく異なるのは配置計画。
ご両親やご親戚が家を連ねる敷地の一画に普請をするので、
大きな土地から、この家のための敷地を切抜くという計画が必要です。

いつも敷地に対して目一杯の計画をすることが多いのですが、
このような場合は、余白についてしっかりと考えることが肝要で、
不用意に建物を置いてしまってはプロ失格。

ご両親やご親戚の家への陽当たり＝快適環境を残しながら、
計画する家には、先に伺ったクライアントの暮らしぶりと
敷地から最大限に快適さを引き出す工夫を織り交ぜる。
その上手い折り合いを探るのです。

しかし、そうして練り上げた計画も、最終形をご覧いただくだけでは、
そうは簡単に腑に落としてはいただくことは適いません。
敷地と建物形状の関係について、私が試行した道のりを、
あの手この手を使って、クライアントの中にコピペするのです。

言うなれば、ご提案とは掛け合いのようなもので、
クライアントのお話しを受けて、まず私が共鳴し、
その共鳴を素に私が奏でた音に、今度はクライアントに共鳴していただく。
こんなことを重ねながら、思いを束ねることができたら、
それは、単なる発注と受注という関係を飛び越えて、
何よりの家づくりとなります。

概算の費用までを含め、概ね２時間弱のご説明の会でしたが、
幸い、差上げたご提案はクライアントの心に響いたご様子。
お返事を楽しみに、この数日を過ごしています。

いかがでしたでしょうか。こちらの記事に書いたのはほんの一部の作業です。我々造り手側はご提案の時にこんな事を考えて図面を書き起こしています。ただ単に○LDK、リビング南向き、という事では納まりきらない多くの情報がありますから、それらをうまくまとめて、住まい手の方にワクワクして、ご満足して、楽しんで住んで頂けるようなプレゼンテーションに仕上げてご覧頂いております。