敷地の良さを最大限活用する設計手法のご紹介

いくつも家を作ってきて思うのは、敷地とその周辺環境は、自分の力ではどうにも変えることができないということ。どうせ変えられないのですから、下手に逆らわない方が得策でしょう。たぶんそれは正解で、いい感じと思う家は、みんな敷地と上手いこと付き合っていることに気づきます。だから建物を描き始める前に敷地を自分の五感で実感することが、なにより重要です。砂浜で貝殻や角の丸まったガラス片を拾い集めるように、更地となった敷地で家づくりのネタを集めると、「ここでしかできない一軒」を想像することができるようになります。

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敷地への陽射しと風を読む

まずは、自然の条件を読みましょう。陽射しと風は「取込むこと」と「遮ること」の調整を上手く計画するほどに、心地よい室内を作り易くなります。陽射しについては、夏至と冬至の正午、2つの瞬間を比較をするケースをよく見受けますが、実際は24時間365日、刻々と変化するものですから、年間を通したすべての瞬間に対して思いを巡らせなければ、妙に入り、細に入る計画にはなりません。たとえば、朝夕の真横から射し込む陽射しを把握することは、夏も冬も大事なことの1つです。風の特徴を掴むことも同様です。季節毎の大きな風向きと街並を通り抜ける風、その両方に目を向けてください。

一棟一棟を日当たりシミュレーション

野原に建つ一軒家であればこんな事は考える必要はありません。ただ、そうでない家の方が多いはず。だから家を建てる時には敷地の周辺の環境も含めて全部一緒に日当たりや風通りを考えないと意味が無いのです。そうして考えると、敷地のどこに建物を配置しようか、リビングの位置はどこが良いだろうか、自ずと見えてきます。太陽と風が間取りを決めると言っても過言ではありません。もちろん敷地が違えば建物の形も違います。一棟一棟をシミュレーションして敷地の持つポテンシャルをしっかり見極めることがとても重要です。

上の画像はあるお住まいの1時間ごとの日当たりをシミュレーションした例です。お住まいだけではなく、その周辺の建物まで含めてシミュレーションをして日当たりを見える化します。

周辺環境が家に及ぼす風の影響は絶大。風の流れをシミュレーション

地域に吹風をしっかり定量的にシミュレーションする事で、家のどの部分に窓を開けると風通しがよくなるのが自然とわかってきます。これを知っててプランニングするのと、知らずにプランニングするのでは大きく結果に差がでます。風の通り道を予測して、できるだけ抗わずに寄り添って考えることで、夏の夜風を楽しめる心地よい家が実現します。

眺望を読む

但し、陽射しと風だけを条件に窓の計画をおこなっても、それが同時に視覚の心地よさを生み出すとは限りません。その敷地に昔からある樹、見事に手入れされた隣の庭、階段に座ると見える月。こんな情緒的なことも窓を通して室内に取込むことができるというのは、言わずもがな。しかし、これこそ敷地に立ってみないと知り得ない情報のひとつです。家を建てる前からあるこれらの風景は、時間の積み重ねでできたものこれらを無視して、むやみに建物だけを考えるような計画は視野が狭くなりますから、避けたいものです。

近い将来の周辺の変化を読む

敷地の周辺までも取込む計画であれば、その周辺環境の変化の可能性を見込む必要があります。たとえば、都市計画から眼前の低層の住宅地が突然中高層の集合住宅に変わる可能性を推測することができます。

以上、ご参考になりましたでしょうか。弊社では設計のご相談を頂く際に必ずお客様の敷地のポテンシャル調査を行います。その敷地で得られる最大限の「日当たり」「風通し」「眺望」をしっかり見極めることで、それらを一番効果的に活用できるプランニングをご提案することが可能になります。そうすることで夏は涼しく冬は暖かい、そこでしか出来ない家の形が見えてきます。もちろんこれだけでは未完成ですので、お客様のご要望が加わることでより具体的な家づくりへと昇華していきます。まずは一度ご相談ください。

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