収納=ラクに楽しく生きる術。大人気のプロ・宇高有香さん独占取材

「収納下手なすべての人に伝えたい。収納=人生をラクに楽しくするための行為だ」と。苦手な片付けを克服するためにライフオーガナイズを学び、行列ができるほど人気の収納のプロとなった宇高有香さん。リアルな体験を生かしてクライアントに寄り添い、アドバイスする宇高さんの内面に迫りました。

ダイニングでくつろぐライフオーガナイザーの宇高有香さん。

いつも"何か"を探していた。片付け下手なママに何が起きたか?

半地下に埋まったキッチン。白い面材を選び、明るい印象になるように工夫した。

「私、横着なんです、もともと」

そう笑いながら話す、ライフオーガナイザーの宇高有香さん。今や半年先まで予約が取れないほど人気の「収納&片付けのプロ」と「横着」の言葉はすぐには結びつかない。現に、今の宇高さんの家は、LDKも寝室もバスルームも、すべてがすっきりと片付いている。

「インテリアが好きでしたし、以前住んでいた賃貸もぱっと見は普通の家だったと思います。でも収納の中はごっちゃり。余分な物も表に出ていたな。片付けられない人間ではないけれど収納に苦手意識があって、物の管理はできていなかった。そう、いつも、何かを探していました」

使わない物や無駄な動線が多いことが小さなストレスを生む。ご主人や子供に怒りをぶつけ、それに自己嫌悪する…。5年前の宇高さんは、日本中どこにでもいる普通の主婦だった。

建築家との家づくり、そしてライフオーガナイズとの出会い

3年前に家が竣工。LDKを見ると変形した敷地形状がわかる。畳のエリアはゲストルームとしても活用できる。

約6年前、宇高さんは傾斜地に家を建てることを決めた。本人曰く、本当にひどい土地。「平らな場所は大きめのダイニングテーブルほどしかなくて! 昔から家づくりをするなら建築家と組みたいなと思っていたし、この崖地でも素敵な家が建つかも、と期待して建築家の矢作昌生さんに設計を依頼しました」。

新築した家で憧れの暮らしを手に入れるにはどうしたらいいのか。家づくりを進める中で理想と現実とのギャップに悩んだ宇高さんは、ある存在と出会う。ライフオーガナイズだ。

ライフオーガナイザーはアメリカ生まれの職業であり、一言で表すと「思考と空間の整理のプロ」。 Organize(オーガナイズ)=「計画準備する、体系づける、まとめる」。つまり、ライフオーガナイズとは家や生活、さらには人生まで、あらゆるコトとモノを効果的に整えるための概念・手法のことだ。

いらいらやストレスがなくなる⁉︎ 自分を知ることが第一歩

「いらいらしなくなったんです、私の場合。以前は片付けってなんだか気が重かった。ストレスの原因、もっと言うと、自分がどういう行動をするタイプで、何が好きなのかも気づいていなかったんですよね。ライフオーガナイズを学ぶうちに自分を知り、治すべき根本がわかり、心がスーッとしました」と振り返る。

たとえば、自分を知るきっかけのひとつとして「利き脳チェック」という手法がある。指と腕を組むことで、情報のインプット&アウトプットが「右脳タイプ」か「左脳タイプ」か、大まかに分類できるというもの。

右脳タイプの宇高さんは表に出るもののデザインを重視してセレクト。北欧のインテリアアイテムが多い。

「私はインプットが右脳タイプで、ひらめきやイメージを重視するタイプでした。きっちり論理的に仕分けるよりは、感覚や好き・きらいで物を選びたい。だから収納する際の厳密なルールを決めていないし、見た目重視で収納グッズを選んでいます」

思考の整理に加え、効率の良い動線を考えるようになり、新居の家具や収納の配置は余分な動きがないかを重視して決めるように。「いらいらしないから、いろんなことが楽になった。まわりにも優しくなれた気がする」。

ぱっと目に入ってきた言葉、「片付けるから始めない」

ボックスを活用して棚の内部もすっきり。余白を残して物を収めている。

宇高さんがセミナーや文章の中でよく使う言葉、「片付けるから始めない」。

「ライフオーガナイザー協会の理事が執筆した本の帯に『片付けるから始めるから、片付かない』といった内容が書かれていたんです。それを見てはっとした。長いこと、どこかに何かをしまうことが片付けだと思い込んでいました」。

今、見えない場所に移動するから探し物が増える。探し物が見つからずにいらいらする。片付けへの苦手意識が生まれる。

「自分で自分の首を絞めていたんだな、って。目的をはっきりさせることが片付けの本当のスタート地点だと、皆さんに伝えたいですね」。

Enjoy! My Life.  一度きりの人生を楽しむべし

クローゼットの内部。宇高さんは色別に服を分けて、視覚的に判別しやすくしている。

個人宅に行き、収納や片付けのアドバイスをする宇高さんにとって、忘れられない出来事がある。そのクライアントは40代の女性で、物選びにおいて感覚を重視する右脳タイプ。一緒にクローゼットの中身をすべて出す作業をしていたときのこと。「こんな場でこの服が使える、こういう時にこれが必要」と服選びに関しては意外にも論理的に状況に応じた服を選んでいた。宇高さんがふと「服に関してはお好きなものだけでは選ばれてないんですね」と言うと、その女性はひどく驚いてこうつぶやいた。

「確かに私、好きな服ってないのかもしれない…」

それから数ヶ月後に会ったとき、その女性は別人のようになっていた。これまでと異なる服を着て、髪型も変え、おしゃれに変身していたのだ。彼女は宇高さんの言葉をきっかけに「好きな服とは何か?」と考え続けた結果、服の買い方もクローゼットの中身も変わったのだという。

「とにかくファッションを楽しんでいる感じ。生き生きとしている彼女を見て嬉しかった。クライアントの生活や家族がいい方向に変わったという話を聞いて、毎回感動します。そのためにこの仕事を続けているのかもしれません」

フリーで活動し始めた頃、志を共にするライフオーガナイザーの足立容子さんと出会い、進むべき道、伝えるべきことが明確になったと話す宇高さん。

「Enjoy! My Life」、そう「人生を楽しもう!」。

ライフオーガナイズは人生を楽しむための手段。片付けや収納の先にある、暮らしを楽しむことを大切にしたい。「一番大事なのは、自分が楽しめるかどうかでしょ? 外食や旅行ももちろんいい。でも暮らしの土台を整えた上での活動は、きっともっと楽しい。そんな奥さんの行動は家族にも必ず伝わります。実生活をエンジョイするためにオーガナイズを活用する提案をしたい」。

関西へと居を移した足立さんと共に、今後は関東と関西でも「EML=Enjoy! My Life」セミナーを行っていきたいと考えていると話す。

「ここだけの話、すっきりとした部屋でなくても、その人がストレスを抱えず、暮らしを楽しんでいればいいのかな、とも思うんです。ライフオーガナイズは収納のテクニックではなく、楽に生きるための手段。それを感じてもらうためにも、概念をきちんと伝えていきたいですね」。

立ち止まって、自分の求める暮らしを見つめ直す

「情報化社会では、多くの情報の中から自分に合う物を取捨選択しなければなりません。本当に自分らしい暮らしを望むなら、人の真似をしていてはダメ。まずは立ち止まって、自分らしい暮らしを見つめ直してほしい。

片付けには"選び取る"行為が必要です。選択するためには自分ならではの価値観が必要ですよね? その中で助けがほしい場合は教えて下さい。そっと寄り添いますから」。

すっきりと片付いた部屋できびきびと動く宇高さんを見ていると、「片付けとは、人生を楽しくする行為」という言葉が真実味を帯びてくる。

大げさな物言いは好みじゃないと話す彼女。でも、暮らしを整えることで、生きる楽しみが増えることを体現した。

一度きりの人生、どうせなら楽しく過ごしたい。さあ、何から整えようか?


Photo_ 小林久井
Text_ 山本奈奈(LIMIA編集部)

【プロフィール】

宇高有香(うだか・ゆか)

2013年9月からライフオーガナイザーとしてフリーランスにて活動。収納・インテリア・ファッションを通し、クライアントの「オウチ」からパワーがもらえるような空間作りを提案する「ウチカラ」を主宰。家づくりの過程や暮らしを綴ったブログ「丘の上の家」も好評。書籍『子どもと暮らすラクに片づく部屋づくり』やLIMIAの記事も常に注目を集めている。ライフオーガナイザー1級。

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