八王子染物工房見学でオリジナル藍染エコバッグ作成してみた
2017年8月25日、〔無印良品〕と中央線デザインネットワーク主催のイベント「Found MUJI 武蔵野」がおこなわれました。これは、武蔵野エリアに縁のあるクリエーターや、地域に根ざした店をつなぎ、自然と文化を意識した暮らしを探るプロジェクトです。
八王子の地場産業を特集する展示スペースが、無印良品店内丸井吉祥寺店に設けられ、各種イベントが行われています。今回は、そのイベントの1つである「きじキジツアー」に参加させていただきました。
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八王子には、実はすごい技術が詰まっている
ツアー当日、集合場所は中央線八王子駅です。この八王子にある中野上町という町内にある工房を見学します。
八王子市内は、古くから染色や織物が盛んな町として有名で、浅川には反物を洗う人の姿を数多く見ることができたと言われています。
しかし、第二次世界大戦の折に受けた空襲により、市街の90%近くが焼け野原となってしまいました。
その影響は大きく、昭和16年に八王子市全体で1,372軒あった生地の工場も、残ったのは、わずか2割の176軒になってしまったそうです。
今回ツアーで巡る八王子の中野上町は中心部から少し距離があるところです。川を挟んだ地形ということもあり、空襲を避けて、戦前から続く工場・工房が残っています。
今回藍染体験をさせて頂いたのは、主に藍染の浴衣を作っていらっしゃる《野口染物店》さんです。
こちらの野口染物店さんは、創業210年の老舗。大正12年に藍染に適した水を求めて、京橋からこの地に移ってきたそうです。その染色方法はほとんど創業当時と変わらず、全て手作業で行っています。
今回は、6代目となるご主人自ら染色体験を指導してくださいました。
藍染体験開始
今回は、使っていないコットン素材のエコバッグを染色しみました。
まずはじめに、藍の染料が浸みこみやすくするために、ぬるま湯に染めたいものを入れます。
次に、発酵した藍が入っている「藍カメ」というカメの中に染めたいものを入れます。
染料に浸しながら揉み、まんべんなく液を染み込ませていきます
用意したバッグが、きなり色のコットン素材だったため、このタイミングでは緑っぽい色になりました。
数分、液の中で揉んだ後、絞ってすぐに天日干しします。
天日干しすると不思議なことが
濡れていたときには緑色だった生地が、乾いていく過程でどんどん色が変化していき、いわゆる藍色になっていきます。
不思議なことに、このときバッグからこぼれ落ちてくる水滴は、藍色ではなく透明に近く、ほのかに青を感じる程度です。
ご主人にうかがってみると、干すことで藍が定着し、水分だけが落ちてくるとのこと。
落ちてきたしずくを手に受けても、青色になりません!
そしてここからは、好みの色になるまで染めて、干しての繰り返しになります。せっかくなのでもう一度染めて濃くしてみることにしました。
さきほどと同じ作業をもう一度繰り返し、今度は長めに浸してみました。
すると、本格的な藍色に染まってくれました!
理想の色になったのでしばらく干した後、水洗いに。
複数の桶に水を準備し、定着していない余分な藍を洗い流していきます。入れた瞬間に、透明だった水があっという間に藍色に。
だいたい、三度ほど桶を変えて洗い流して完了です。
後はしっかり乾燥させて藍を定着させ完成です。
早速、着物に合わせて持ってみました。深い藍色が期待以上の高級感を出してくれています。
今まで出番は少なかったエコバッグですが、これからはヘビーに使うことになりそうです。
工夫を凝らした染め方(絞り)1
一緒に参加した方の中には、「絞り」と呼ばれる染色に挑戦する方もいました。
布の一部をゴムなどで縛って染めると、その部分だけは元の色のままになります。白いハンカチなどであれば、藍色で周りが染まってきれいな模様を作ることができます。
白い部分が宝石がきらめいている様に染まっています。次は挑戦してみたい染め方でした。
工夫を凝らした染め方(絞り)2
一緒に参加した方の中には、「絞り」だけでなく「グラデーション」との合わせ技に挑戦している方も。
円形の紋様を出すために内側にビー玉を入れてゴムで絞り、1度目はTシャツのすその部分だけを染め、乾燥させます。
続いて、裾から少し上の部分までを藍に浸して乾燥させます。
最後に、脇下ぐらいまで浸して染めると三段階の藍のグラデーションになります。乾燥させて、水洗いをした後、結んでおいたビー球をとると、見事に円形の紋様が浮き出ました。
ちょっとした工夫や、時間をかけるだけでオリジナリティーあふれる染物をすることができます。これは、自分で作る際にも挑戦してみたい染め方です。
最後に
野口染物店で作られる浴衣は、染物の中でも珍しい、両面型染めという染め方で作られています。通常の藍染だけでも手間がかかるところ、何倍も手間と時間をかけて、染め上げます。実際の染めている様子をみてみると、着物という商品というよりかは作品といったイメージを持ちました。
プリントで柄付けされている浴衣とは異なり、裏の柄に違うパターンを染めています。日本的な古来の美意識でいうと、見えないところにこそセンスを注ぐというものがありますが、まさにそれをこの着物では感じられました。
そういった意味からも、まさにこの野口染物店が作り出す浴衣は、日本の美意識を次の世代へと継承する本物志向の浴衣に違いないと言えるのではないでしょうか。
今回の染物を参考に、次回は自宅で染色体験を行います。
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